2021.06.11

格下相手に苦しむも女子代表の指揮官は「選手たちはいい勉強になった」と手応え

「選手たちはいい勉強になった」と手応えを感じたホーバスHC [写真]=伊藤大允
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 6月10日、「三井不動産カップ2021(神奈川大会)」第1戦が横浜武道館で行われ、女子日本代表が69−47でポルトガル女子代表に勝利。2010年のFIBA 東京2020オリンピック予選大会以来となる海外のチームとの対戦を白星を飾った。

 世界ランク10位の日本と48位のポルトガルとの顔合わせということもあり、最終的に20点以上の大差をつけての勝利を収めた。しかし、第3クォーターまではなかなか得点のペースが上がらず、やきもきしたファンも多かったことだっただろう。それでも最後の10分間は、それまでのうっぷんを晴らすかのように29−7とポルトガルを振り切った。

 試合後の記者会見でこの日の感想を聞かれたトム・ホーバスヘッドコーチは「シュートが入らず我慢の試合。最後に三好(南穂)のシュートが入ってよかった」と振り返った。エントリーされた16名がコートに立った。東京五輪に出場できる12名を決めるためのトライアウトも兼ねた今大会。新たに代表入りした選手も多く、噛み合わないシーンも度々見受けられた。

 その中でホーバスHCはポジティブな姿勢を崩さなかった。

「選手たちはいい勉強になったと思う。うちのオフェンスの何が良いか、ディフェンスの何が良いかを確認できたはず。後半、いろいろなディフェンスを試したが、それに選手が対応してくれた。トライアウトの中でいい勉強になったと思う」

「外からのシュートにこだわりすぎた選手もいた」(ホーバスHC)の前半から修正できたこと。さらには自分たちのエンジンがかかるまで足を使ったディフェンスで相手の得点を抑える“我慢”のプレーを遂行できたことに及第点をつけたと言える。もちろん本番で金メダル獲得を目標に掲げるチームにとっては不満の残る内容だったが、1年以上国際ゲームから離れたことも加味し、HCから否定的なコメントは聞かれなかった。

 その中、昨年の11月、女子日本代表第1次強化合宿中に前十字靭帯損傷の大ケガをした本橋菜子が復帰を果たした。自身ではまだ70パーセントのコンディションとのことだが、2019年のFIBA女子アジアカップMVPであり、同様のケガでエントリーから渡嘉敷来夢が外れた中、貴重なチームの得点源がコートに復帰した。

「彼女がコートにいることがうれしい。シュートも悪くなかった。彼女がコートに戻って本当に良かったと思う。大事な選手です」と、本橋について質問が及ぶと指揮官は表情を崩した。エースの復帰にもまた1つ手応えを感じたようだ。

文=入江美紀雄

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