2021.10.01

【短期連載・TOKYOの先へ】宮崎早織(ENEOS/女子日本代表)

ENEOSのポイントガードを務める宮崎早織[写真]=Wリーグ
取材歴17年目でミニバス、中学、高校、大学、トップリーグに日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 東京2020オリンピックでは、3x3女子日本代表がメダルこそ届かなかったものの5位と健闘。そして5人制では快進撃を続けて準優勝、銀メダルを獲得した。

 日本だけでなく世界を熱狂させた日本代表選手たちにオリンピックのことや10月から始まるWリーグ、さらにはその先についての話を聞いた。

 第10回はポイントガードの宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)。国内トップのスピードを持つガードは、その速さを武器に果敢にリングへと向かった。初めて経験したオリンピックでスピードスターが感じたものとは⁉

オリンピックという舞台での戦い「スピードは通用したと思います」

――宮崎選手にとっては初めてのオリンピックでした。
宮崎 未だにメダリストになった実感がないのですが、SNSを通して皆さんからいただく声が今まで以上に増えたので、そこで『本当にメダリストになったんだ』と思い、不思議な感覚があります。

――オリンピックに向けた合宿では、ポジション争いも激しかったのでは?
宮崎 最初は調子が良かったので、気負わずやれました。でも、メンバーが絞られていくにつれ、『何のために頑張っているんだろう』とか、『本当にメンバーに残れるのか』『残りたいのか』など、いろんな感情が出てきて。そこからパフォーマンスが下がっていき、つらかったですね。

 個人的にはレンさん(安間志織/トヨタ自動車アンテロープス)と一緒にメンバー入りしたかったです。前のシーズンではお互いに飛躍したシーズンを過ごすことができたので。今でも思い出すと泣けるくらい、2人とも苦しかったし、たくさん怒られました。でも、それだけ私たちに期待してくれているということも感じていました。最後は、レンさんが「頑張ってね」と背中を押してくれました。

――オリンピックではなかなか試合に出られないもどかしさがあったのでは。
宮崎 そうですね。自信が少しなくなり、期間中は本当に苦しかったです。

――ただ、初戦の予選ラウンド・フランス戦は終盤の大事な場面でコートに立っていました。
宮崎 (ヘッドコーチの)トム(ホーバス)さんと(アシスタントコーチの)恩塚(亨)さんが、私を出すかどうか話をしているのが聞こえたので、正直、『ここで⁉』とは思っていました(笑)。でも、試合では最後にモエコさん(長岡萌映子/トヨタ自動車)がシュートを決めてくれて、うれしかったし救われました。

――フランス戦、しっかり役割を果たしたと思います。
宮崎 『なんで私?』とは思いましたが、ルイさん(町田瑠唯/富士通レッドウェーブ)も疲れていたので。ルイさんが交代する時に「ごめん」と言っていて、『ホントごめんだよ!』とは思いましたが(笑)、でも、試合を通して最後はちょっと成長することができたのかなと。いつもなら慌てるところが、慌てずにプレーできたと思います。

――そのような経験をして自信につながったのでは?
宮崎 自信になりましたし、人を信じてパスを出すって、こういうことなんだと感じました。ここぞという時にモエコさんが決めてくれて、シュートを打っていないリツさん(髙田真希/デンソーアイリス)までもガッツポーズしてくれた。みんなが本当に喜んでいたので、良かったなと感じました。

――個人的に大会を通してプラスになったことや手応えはありますか?
宮崎 全体的にプラスになりました。あとはミスをしても引きずらなくなったとも思います。それは昨シーズンのWリーグからそういったところはありましたが、オリンピックでも自分の気持ちがブレずにできた。それは自分の力を信じた結果だと思います。

 スピードは通用したと思うし、ドライブはブロックされましたけど、どのタイミングでブロックされるのかを学べたことで、今はブロックのかわし方を勉強しながら練習をするようになりました。『もっと成長できる』というのを教えてくれた大会でしたね。

 あと、リュウさん(吉田亜沙美/現東京医療保健大学アシスタントコーチ)には本当につらくなった時などに連絡をしていたのですが、その時に「楽しむのが一番だよ。自分が活躍するために頑張ってきたんだから、あとは楽しむだけ」と言ってもらって。確かにそうだなと思ったら、いろんな不安や怖さ、緊張がなくなり、最後のアメリカ戦は思い切ってでき、楽しめました。最後、ダブルクラッチのシュートを外してしまったのは、私らしいなとは思いましたが(笑)

オリンピックという舞台で様々な収穫を得た宮崎[写真]=fiba.com

「ENEOSは、勝ちたいという気持ちがどこよりも強いチーム」

――日本代表ではムードメーカー役を担っていました。
宮崎 騒いでいただけですよ(笑)

――意識的にやっていたところもあったのでは?
宮崎 そうですね、結構頑張っていたかもしれません(笑)。普段、仲良い人たちと一緒にいると、私は話さないことが多いんですよ。でも、日本代表では私が静かだとみんなが気を使うだろうなと思って。喋らないと「今日元気ないね」と言われるので、私なりに騒ぐ時は騒いでいました。それもあってか、合宿中は自分の部屋に戻ると疲れていました(笑)。でも騒いでいたことでバスケットのことを考え過ぎず、自分を追い込まないで済んだとも思っています。

――さて、シーズンが始まりますが、ENEOSではこの経験をどう生かしていきたいですか?
宮崎 オリンピックに出たことで誰のシュートが当たっているのか、今は誰にパスをしなくてはいけないのかなどの判断は見て学べました。それと勝ちたいという気持ちが大事だということも改めて感じました。ENEOSは、勝ちたいという気持ちがどこよりも強いと思うので、それがスタートの5人だけではなく、サブメンバーも含め、みんなで一緒にその気持ちで戦えるように。個人的には、私が頑張ることで、その姿を見せて、チームメイトが何かを感じてくれればと思うので、まずは、がむしゃらに頑張ることが一番ですね。

――昨シーズン、Wリーグのプレーオフ・ファイナルが終わった時はどういった心境でしたか?
宮崎 あまり負けた感じがしなかったです。全力を尽くしたし、全部を出し切ったので、頑張ったねという感じでした。ベンチメンバーもみんな、誰が出ても同じように戦えたし、決勝まで行けたのは本当に大きかったです。

――今シーズンは宮澤夕貴選手(富士通レッドウェーブ)らが移籍し、メンバー構成も変わります。
宮崎 アースさん(宮澤)とニニさん(中村優花/富士通レッドウェーブ)が抜けたのは悲しいし、戦力的にも影響はあります。ただ、3番ポジションの奥山(理々嘉)や藤本(愛瑚)は、良いものを持っているので、期待したいです。

――新シーズンは楽しみですか?
宮崎 楽しみですよ! 昨シーズンあれだけシュートも打って、ドライブにもいっているので、絶対に私のところを止めにくると思います。でも、そうなった場合、(インサイドにいる)タクさん(渡嘉敷来夢)やジュナ(梅沢カディシャ樹奈)にパスを出すなど、周りを生かしたいですね。

――注目されているシーズンです。
宮崎 『まあ見ててください』という感じですね(笑)。今まで7年間頑張ってきたので。

――どういったプレーを見せていきたいですか?
宮崎 昨シーズンはスピードだけでなく、緩急も使えるようになったので、スピードをうまく使ったプレーや3ポイントシュートを見て欲しいです。特にフィニッシュのところは注目してもらいたいですね。どこからでもシュートを打てるプレーヤーを目指したいし、『今までのガードとは違うね』『ENEOSって楽しいバスケットが見られるよね』と思ってもらえるように頑張ります。

取材・文=田島早苗

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