2022.01.25

女子日本代表が始動…「スペシャリストたちの力を生かしながらチーム作りを」と恩塚HC

メディア対応を行った女子日本代表の恩塚亨HC [写真]=バスケットボールキング
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 2月10日~13日に、おおきにアリーナ舞洲(大阪府)にて開催予定の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022 予選」(以下ワールドカップ予選)。同大会に向けて女子日本代表チームが1月17日より活動を開始している。

 この大会は文字通り、今秋、オーストラリアにて開催が予定されているワールドカップの予選。セルビア、日本、アメリカ会場で4グループに分かれて行われるもので(セルビアは2グループ開催)、日本は、地元でカナダ、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナを迎え撃つ。予選では、各グループ上位3チームにワールドカップの出場権が与えられることになっている。

 大会に臨む女子日本代表候補選手は19名が選出されており、林咲希(ENEOSサンフラワーズ)、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)ら大会5連覇を果たした「FIBA女子アジアカップ2021」のメンバーに髙田真希(デンソーアイリス)ら昨夏の東京オリンピックの銀メダリストが加わった。さらには、大ケガから復帰した渡嘉敷来夢(ENEOS)やシャンソン化粧品シャンソンVマジックのルーキーで自身2度目の選出となった吉田舞衣、現役復帰1年目に代表復帰となった藤岡麻菜美(シャンソン化粧品)も名を連ねている。

 この選手選考について1月23日のオンライン会見に登壇した恩塚亨ヘッドコーチは、「スペシャリスト、何か特別に秀でた力を持ってる選手を(選考の)ポイントにしました。あるいは総合的に見て総合力が高いという意味でのスペシャリストもあります」とコメント。それには「今回は(チームを)作り込む時間があまりないと感じていたので、そういったスペシャリストの力を生かしながら、チーム作りをしていきたい」という考えもあるという。

 若手中心で構成されたアジアカップのメンバーから高田、渡嘉敷らベテラン選手が加入したが、「髙田、渡嘉敷の両選手は、アジアカップを経験した選手たちに『こういう時はどうなんだろう?』などと積極的に質問しています。それで自分自身も学ぶし、『教えてありがとう』という姿勢や言葉が相手に自信を与えることにもつながっている。そういった関係を築きながら、(選手たちは)伸び伸びとやっているように感じます」と恩塚ヘッドコーチは言う。

 ワールドカップ予選を望むにあたって指揮官は「アジアカップメンバーとオリンピックメンバーの融合」をカギに挙げており、「オリンピックのメダリストたちの強さは自分の役割を理解し、規律を遂行し続ける力だと思っています。その力を存分に発揮してもらうことを期待しています」と語気を強める。

『世界一のアジリティ』を武器に世界の高さに対抗

 現在は、合宿の第2クール目に入っており、新たに加入した選手を含めて「世界一のアジリティという強みを最大生かせるように、原則のインストールとポジティブなワクワクのマインドセット」をしているところ。

『世界一のアジリティ』というチームスタイルはアジアカップと同様に変わらないが、「これまでも日本代表はスピードで勝負してきたと思うのですが、それを一段階高めたい。速さや幅に深みを持たせたいと考えています。アジリティという言葉はただの物理的な速さだけではなく、目まぐるしく変わる状況を理解し、素早く良い選択ができる能力の高さ。適応能力を伴った速さを発揮し続けることで、先手を取り、(相手の)高さを凌駕することを目指しているので、メンタル的な心の切り替えの速さも含まれると考えています」と恩塚ヘッドコーチは改めて目指す方向性を細かく語ってくれた。

「アジアカップでチームを導いてくれた林選手の存在が大きかったので、林選手に大役をお願いした」というようにアジアカップに続いて林がキャプテンを務め、副キャプテンには、東京オリンピックではキャプテンとして銀メダル獲得に大きく貢献した髙田が就任。恩塚ヘッドコーチも「一度チームを率いた人が次を支えるという流れができることはこれからのバスケット界にとってもいいのではないかと感じています。キャプテンを経験したからこそ副キャプテンとして新キャプテンを支えていってほしい」と期待を寄せている。

 2月の本番まで決して時間があるわけではないが、まずはワールドカップの出場権を確実に手に入れたいところ。また、その先を見据える恩塚ヘッドコーチは、「この活動がパリオリンピックで金メダルを取ることにつながりますし、『バスケットボールで日本を元気に』というJBAの理念を大切にしながら、夢や活力を与えられるような活動を目指していきたいです」と志高く、その思いを発していた。

取材・文=田島早苗

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