2019.02.16

大阪カップ開幕!オーストラリアを撃破した日本、世界銀のイギリスにもあと一歩の惜敗

「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」が大阪で2月15日開幕。女子日本代表はチーム一丸となって世界のトップと戦う [写真]=エックスワン
新潟県出身。大学卒業後、業界紙、編集プロダクションを経て、2006年よりスポーツ専門ウェブサイトで記事を執筆。車いすバスケットボールの取材は11年より国内外で精力的に活動を開始。パラリンピックは12年ロンドンから3大会連続、世界選手権は14年仁川、18年ハンブルク、アジアパラ競技大会も14年仁川、18年ジャカルタの各大会をカバーした。

2月15日、丸善インテックアリーナ大阪では「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」(大阪カップ)が開幕。日本、オランダ、イギリス、オーストラリアの4カ国が参加している今大会、日本は初戦でオーストラリアを56-43で破り、白星スタート。続くイギリス戦も前半はリードして折り返したものの、後半に逆転を許し、惜しくも60-54と敗れた。連勝とはならなかったが、いずれも遂行力の高い内容ある試合。選手たちは多くの手応えと大きな自信をつかんでいた。

文=斎藤寿子
写真=エックスワン

強固な守備力と多彩な得点源

 高さが武器のオーストラリアに対し、日本のディフェンスがしっかりと機能した。軸とするプレスディフェンスで相手の動きを止め、攻撃の芽を摘んだ日本。さらにハーフコートのディフェンスでも、素早いスイッチやカバーリングなど連携の取れたディフェンスで、ハイポインター陣をアウトサイドに締め出した。

 一方、オフェンスでも「全員バスケ」を遂行した。網本麻里(4.5)の10得点を筆頭に、土田真由美(4.0)と清水千浪(3.0)が9得点、藤井郁美(4.0)と萩野真世(1.5)が8得点、北田千尋(4.5)が6得点。得点源がハイポインターに偏ることなく、ミドルポインター、ローポインターからもバランスよく得点が生まれた。

 試合後、選手たちは口々に「もっと差を広げて勝ちたかった」と語り、悔しさをにじませた。実は、オーストラリアは今年5月のU25世界選手権を見据え、アンダー世代を半数の6人入れた若いチーム構成で今大会に臨んでいる。それだけにフル代表の日本とすれば、13点差では不満を感じていたのだ。

 しかし、内容はチームとして手応えが十分にあったはずだ。攻防の両面で日本の「形」が明確に表されていた試合だった。

イギリスを負かしたスピード勝負

 そして、日本の強さがより明らかとなったのが、イギリス戦。14年から若手を育成し、長期的に強化を図ってきたイギリスは、昨年の世界選手権では銀メダルを獲得している。

 そのイギリスとの試合、第1クォーターはオールコートでの速いバスケが展開され、スピード勝負となった。その結果、軍配が上がったのは日本。14-8とリードを奪い、好スタートを切った。

 これはイギリスにとって予想外の展開だった。特に日本のプレスディフェンスの質の高さに、マイルズ・トンプソンヘッドコーチは驚きを隠せなかったという。

「日本のオールコートでのディフェンスには、驚きました。今までの印象とは全く違って、ここまでのディフェンスをしてくるとは、正直予想していなかった」

 日本が得意とするプレスディフェンスは、世界2位の強豪にとって確実に脅威となっていたのだ。

 逆に、第3クォーターではプレスに慣れ始めてきた相手に対し、リズム変化を狙い、ハーフコートでのディフェンスを敷いた日本。結果的には逆転を許したものの、先を見据えた戦略はチーム作りには不可欠。さらに前半と同じく2桁得点を挙げ、オフェンス面での手応えもあった。

 16日には、世界選手権金メダルのオランダとの試合に臨む。先週、親善試合として2試合を行い、連敗を喫している相手だが、網本はこう語る。

「本当の意味で、自分たちはどこまで改善できているのか、どこまで強くなっているのか。怖さもありますが、楽しみな部分もあります」

 世界女王を相手に、日本の力が試される。

オーストラリア戦で10得点をあげた網本麻里。16日に行われるオランダ戦に向けて「楽しみな部分もあります」と抱負を語った [写真]=エックスワン

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