2019.05.13

令和初の天皇杯王者は宮城MAX! 前人未到の11連覇達成!!

自身の記録を更新する天皇杯11連覇を達成した宮城MAX [写真]=張理恵
十数年にわたりラジオディレクターとして活動した後、カナダに留学。帰国後の2016年からパラスポーツの取材を始め、18年車いすバスケットボール世界選手権、アジアパラ競技大会をカバーした。

 5月12日、車いすバスケットボールのクラブチーム日本一決定戦「天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権大会」の決勝が行われた。会場は、来年の東京パラリンピックで車いすバスケットボールの競技会場となる、東京都調布市の武蔵の森総合スポーツプラザ。大会11連覇がかかる絶対王者・宮城MAX(東北ブロック)に戦いを挑むのは、初優勝を狙う埼玉ライオンズ(関東ブロック)だ。

 11,885人の大観衆が見守る中、15時30分、ティップオフの時を迎えた。

 第1クォーター、開始早々、藤本怜央の3Pが決まり勢いにのる宮城MAX。これまで10年連続で決勝の舞台に立ち続けてきた王者は、落ち着いて得点を重ねていく。

 その貫禄に押されてか、ライオンズはシュートが思うように決まらず、ペースをつかむことができない。スピードを生かした闘志あふれるプレーが光った前日の準決勝(パラ神奈川戦)とは一転、ボールが手につかない。

 スタメンで出場したライオンズ・永田裕幸は、この時の状況をこう語る。

「シュートに対して強いプレッシャーをかけられていたわけではなかった。決勝という大舞台に立った時に、自分たちの力が出せないというメンタルの弱さが出てしまった」

 宮城MAXは、パスをまわしてスクリーンのスペースを作り、パスをきってインサイドにアタックする連携が機能し、第1クォーターを終えて23-8とリードを奪う。戦略がうまくはまったことが、のびのびとしたプレーを生み、そのまま試合を有利に運んでいく。

 一方で、悪い流れを断ち切れないライオンズは、徐々に、いら立ちを見せ始める。前半を37-14で折り返し、後半に望みをかけるが、第3クォーターに入っても重い空気を引きずってしまう。

 その間にも、宮城MAXは藤本怜央、土子大輔の3P、そして、43歳のローポインター・向後寄夫が今大会初ゴールを決めるなど得点を伸ばしていく。1回戦、準決勝とほとんどプレータイムがなかった、男子日本代表キャプテン・豊島英も出場し、存在感を示す。

3Pを決めるなど、決勝でも存在感を示した宮城MAXの土子大輔 [写真]=張理恵

 そして、ついに栄光の時は訪れた。

 終始、主導権を握り続けた宮城MAXが、絶対王者のプライドを守り、71-35で圧勝! 令和初の天皇杯チャンピオンに輝き、新たな黄金時代を切り開いた。

 試合後、宮城MAX・藤井新悟ヘッドコーチは、「誰が1人欠けてもこの優勝はなかった。全員で戦い、おごらずやってきた結果。この勝利を続けていきたいと思う」と喜びをかみしめた。

 今大会、万全なチーム状況ではなかった宮城MAX。大会期間中、スピードやトランジションの速さを武器に戦う他のチームを見て、自分たちよりもはるかに格上だと感じていたという。

 だからこそ、チームで話し合いながらしっかり戦略・戦術を立て、試合での状況を細かく想定しながら、全員で確認をして、決勝に臨んだ。ベテランの精度の高さと遂行力、そして、チームワークで、11連覇という偉業を成し遂げた。

 超満員の客席からは、両チームの勇姿を称え、大きな大きな拍手が送られた。車いすバスケットボールの迫力と興奮に包まれた、決勝の舞台となった。

文・写真=張理恵

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