2019.09.02

最終戦で死闘を制した日本が勝ち越しーー「自信につながった」

大接戦の中で決勝点を挙げた藤井郁美[写真]=張理恵
十数年にわたりラジオディレクターとして活動した後、カナダに留学。帰国後の2016年からパラスポーツの取材を始め、18年車いすバスケットボール世界選手権、アジアパラ競技大会をカバーした。

 車いすバスケットボール女子日本代表の国際強化試合「日本生命 WOMEN’S CHALLENGE MATCH 2019」。東京都調布市の武蔵野の森総合スポーツプラザを舞台にオーストラリアとの3試合が行われた。

 大会最終日の9月1日、6,554人の大観衆が会場を埋め尽くす中、集大成となる第3戦に臨んだ女子日本代表。ここまで1勝1敗の両者による、40分間の真剣勝負が始まった。

 立ち上がりから激しい攻防戦となった第1クォーター。オーストラリアは、長身のエース、アンバー・メリット(4.5)とエラー・ザブンヤク(1.0)の得点で波に乗ると、若手成長株のハイポインター、アナベル・リンザィ(4.5)が高確率で次々とシュートを決めていく。一方、日本のシュートはことごとくリングに嫌われ、10-20と2ケタ差をつけられてしまった。

 しかし、第2クォーターに入ると、北田千尋(4.5)と藤井郁美(4.0)のシュートで流れをつかんだ日本。強化してきた走力とスピードを生かした速い攻撃で追い上げを見せる。一気に3点差まで詰め寄り、26-29で前半を終えた。

 後半に入っても良い流れをキープする日本。車いすをこぐ手を休めることなく、さらにそのスピードは加速していく。ついに逆転に成功し、41-40で運命の最終クォーターへ。

 第4クォーターでは、一時は逆転を許した日本だが、それでも試合時間残り6分32秒で若手のエース・柳本あまね(2.5)のミドルシュートで同点に追い付く。そして、そこから緊迫のシーソーゲームへと突入した。

 日本が一歩抜け出したかと思えば、オーストラリアも意地を見せ、残り25.0秒で55-56のオーストラリアのリード。手に汗握る展開に会場のボルテージも最高潮に達した。

 満員の観衆が固唾をのんで見守る中、藤井がフリースロー2本をきっちり決め57-56。しかし今度はオーストラリアのアナベルが得点を奪い57-58。そして残り4.0秒…。ラストチャンスに望みをかける日本。それぞれが持ち場につくと、緊張と静寂が会場を包んだ。

 萩野真世がスローインからコートに入れたボールは藤井に渡り、藤井は渾身のシュートを放つ。きれいな弧を描いたボールはネットを揺らし、嵐のような拍手の中、試合終了を告げるホイッスルが鳴った。

 安堵の表情へと変わった藤井は笑顔を浮かべ、選手たちは涙でお互いの健闘を称え合った。日本は59-58で最終戦を制し、2勝1敗でオーストラリアとの戦いの幕を下ろした。

 試合後、「今まで最後の試合を負けて終わることが続いていたので、ここで勝てたことは自信につながりました」とキャプテンの藤井。「とにかくみんなで走り切れたことがよかったです」と勝因も語った。

 また、岩佐義明ヘッドコーチは「毎試合、毎試合、テーマを持ってやってきた成果。大会を通じて、いいディフェンスができました」と手応えを口にした。

オーストラリアとの激戦を制して喜ぶ日本の選手たち[写真]=張理恵

 すでに指揮官の目は次なる戦いの舞台、11月末から開催されるアジア・オセアニア・チャンピオンシップに向いている。今大会で得た“自信”を大きな力に換え、東京パラリンピックでのメダル獲得に向け、女子日本代表の挑戦は続く。

文・写真=張理恵