2019.12.01

車いすバスケ“及川ジャパン”、タイに圧勝で白星発進!

日本は初戦に圧勝 [写真]=斎藤寿子
新潟県出身。大学卒業後、業界紙、編集プロダクションを経て、2006年よりスポーツ専門ウェブサイトで記事を執筆。車いすバスケットボールの取材は11年より国内外で精力的に活動を開始。パラリンピックは12年ロンドンから3大会連続、世界選手権は14年仁川、18年ハンブルク、アジアパラ競技大会も14年仁川、18年ジャカルタの各大会をカバーした。

 11月29日に開幕した車いすバスケットボールの「アジアオセアニアチャンピオンシップス」(タイ・パタヤ)。大会2日目の30日、及川晋平HC率いる男子日本代表は、予選リーグの初戦で地元タイと対戦し、64-37で圧勝。優勝に向けて、白星スタートを切った。

チームに流れを引き寄せた第2クォーター

 来年の東京パラリンピックの予選を兼ねて行われている今大会、開催国枠が与えられている日本を除いて、男子は上位3カ国が東京への切符を手にする。 14カ国・地域が参加している今大会は、ディビジョン1(6チーム)とディビジョン2(8チーム)に分かれて予選リーグが行われ、ディビジョン1にディビジョン2の上位2チームが加わった8チームで決勝トーナメントが行われる。

 日本は、オーストラリア、イラン、韓国、タイ、中国と同じディビジョン1。予選の順位によって決勝トーナメントでの組み合わせが決まることになる。

 その大事な初戦、日本は「40分間、ディフェンスで圧倒する」ことをテーマに臨んだ。その象徴となったのが、チームに流れを引き寄せた第2クォーターだった。11-12とビハインドを負って第1クォーターを終え、第2クォーターで送り出されたのはキャプテンの豊島英、香西宏昭、秋田啓、宮島徹也、岩井孝義という、高さと速さを兼ね備えたラインナップだった。

第2Qで流れを変えた日本 [写真]=斎藤寿子

 3Pを得意とする相手エースに対し、3Pラインよりもさらに高い位置から厳しくコンタクトしてプレッシャーをかけるなど、常にタフショットを打たせる強固なディフェンスを敷いた日本。タイの攻撃の芽を摘み、わずか5失点に抑えて流れを引き寄せた。

示した今大会No.1の選手層

 これが、オフェンスにも好影響を与えた。滑りやすく、ボールの跳ね返りが大きい性質を持つ今大会のコートのコンディションに苦戦し、2Qも前半こそミスが出たものの、後半に向けて徐々にアジャストしていくと、本領を発揮。なかでも香西は得意のミドルシュートのほか、レイバックシュートなど、次々と鮮やかなカットインプレーを披露。フィールドゴール成功率は71%を誇り、10得点を挙げて、チームを勢いづけた。

 また、高さを活かした献身的なプレーでチームを支えたのが、宮島だった。ディフェンスでは果敢にリバウンドに飛び込み、オフェンスでは常にインサイドにアタックし、相手を引き寄せて味方のシュートシチュエーションを作りだした。最後にブザービーターで宮島自身が決めたゴール下のシュートは、そんな献身的なプレーのもとに生まれたシーンだった。

ブザービーターを沈めた宮島 [写真]=斎藤寿子

 この第2クォーターをきっかけに、日本は攻守にわたって圧倒。第3クォーターでは、無得点に終わった第1クォーターの借りを返すかのように、鳥海連志や古澤拓也にも得点が生まれるなど、地力の差を見せつける形で快勝した。

 そしてこの試合で示した日本の強さといえば、「今大会の参加国の中で随一」と指揮官が自信を持つ選手層の厚さだ。12人全員が出場し、どのラインナップもトーンを落とすことなく、継続していい流れを作り続けた。

そして、得点源が2人のハイポインターに絞られたタイとは対照的に、日本は8人が得点を挙げ、そのうち最多得点の藤本(13)、香西(10)、秋田啓(10)の3人が2ケタを数えた。さらに村上、鳥海、宮島もフィールドゴール成功率が50%を超える活躍を見せた。

今大会で優勝し、アジアオセアニア王者として東京パラリンピックへ――その第一歩を圧勝というかたちで大きく踏み出した及川ジャパン。予選第2戦では、アジア王者のイランと対戦する。ライバルとの大一番に勝利し、結果として日本の強さを示すつもりだ。

文・写真=斎藤寿子

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