2019.12.04

車いすバスケ女子日本代表、豪州に惜敗… 悔しさに勝利を誓う

オーストラリアに敗れ、大会3連敗を喫した日本 [写真]=張 理恵
十数年にわたりラジオディレクターとして活動した後、カナダに留学。帰国後の2016年からパラスポーツの取材を始め、18年車いすバスケットボール世界選手権、アジアパラ競技大会をカバーした。

 タイのパタヤで開催されている「2019アジアオセアニアチャンピオンシップス」。大会5日目の12月3日、車いすバスケットボール女子日本代表は、予選2ラウンド目となるオーストラリアとの対戦に臨んだ。

 2試合を戦い、ここまで勝ち星のない日本にとっては、なんとしても勝利が必要だった。勝ちたいという思いの強さは、ウォーミングアップ時の声の大きさからも伝わってきた。

「パッショーン!!」

 ティップオフ前のベンチ、拳を胸に当て“一致団結”して戦うことを全員で誓った。

 試合は立ちあがりから、凄まじい走り合いとなった。開始早々、オーストラリアが連続得点を挙げ勢いに乗るが、萩野真世、北田千尋のポイントでリードを奪う日本。一番障がいが重いクラスである「持ち点1.0」の北間優衣もベースラインからのショットを決め、14-15で第1クォーターを終えた。

 続く、第2クォーターでは、果敢にボールプレッシャーにいき相手のシュートミスを誘う。運動量の多いタフなゲーム展開の中、闘争心をむき出しにしてゴールを狙う。この日絶好調の北田、キャプテンの藤井郁美が得点を重ね、29-23と6点リードで試合を折り返した。

シュートを狙う北田千尋 [写真]=張 理恵

 しかし、第3クォーター序盤で一気に同点に追いつかれるとすぐに逆転を許してしまう。プレスで圧倒したい日本は、ベンチからは「止めろ! 止めろ!」と岩佐義明ヘッドコーチの檄が飛ぶ。粘りを見せ、40-41で最終クォーターへとつないだ。

 オーストラリアのリードは続き、4点、6点と差が広がる。それでも、必死に食らいつき、試合時間残り3秒で網本麻里が3ポイントシュートを沈めるも、55-58とわずかに及ばず、悔しい負けを喫した。

 どんよりと肩を落とすメンバーたち。その中で、人目もはばからず大粒の涙を流したのは、北田千尋だった。誰よりも大きな声で、コートの中でも外でも仲間を鼓舞し続ける姿がトレードマーク。両チーム最多の26点を叩き出しただけでなく、積極的にボールカットを狙うなど攻守にわたりチームに貢献した。しかし、緊迫した最後の場面で「自分の弱さが出て」思うようなディフェンスをすることができなかったことを悔んだ。

「最後まで勝利を引き寄せるためにプレーしたかったんですが、それができなかった自分に腹が立ちます。ただ、チームは段々と自分たちがやってきたバスケットをコートで表現することができているので、明日も自分たちのバスケットをやりきって中国にしっかり勝ちたいと思います」

 そして、40分間、声を枯らしながら指揮を執った岩佐HCもまた、つかみかけた勝利を逃した悔しさをにじませた。

「チーム全員が目標に向かってやれたというのは評価できますが、今日は最後の場面での“集中力”に課題が残りました。『いい大会になった』、『いい経験をした』で終わらせたくありません。チーム力が上がっているからこそ、最後の終わり方、作り方をもう1回練習して、明日の試合に臨みたいと思います」

 負けた悔しさよりも、自らの力を出し切れなかったことへの悔しさ。

 これまで一つひとつ積み上げてきたものへの自信、そして、それをやりきれる自信があるからこそ、こみ上げてきた悔しさ。

「優勝」への道が閉ざされたわけではない。その悔しさを糧に、日本の底力を見せる時は、もうすぐだ。

4日は世界4位の中国と対戦[写真]=張 理恵

文・写真=張理恵

BASKETBALLKING VIDEO