2019.12.05

車いすバスケ女子代表、予選全敗も「気持ちは切れていない」

決勝進出を目指す[写真]=張 理恵
十数年にわたりラジオディレクターとして活動した後、カナダに留学。帰国後の2016年からパラスポーツの取材を始め、18年車いすバスケットボール世界選手権、アジアパラ競技大会をカバーした。

 東京パラリンピック・アジアオセアニア地区の予選会を兼ねた公式戦「2019アジアオセアニアチャンピオンシップス」(タイ・パタヤ)。大会6日目の12月4日、ここまで0勝3敗の女子日本代表は、予選ラウンド最終戦となる中国戦に臨んだ。

「どの試合も私たちは”挑戦者”という気持ちで臨んでいます。1戦目の中国戦ではディフェンスがよく機能したのでそれを継続しつつ、女子日本代表が目指す、速攻、アーリーを生かしたバスケットを出していこうとチームで確認して挑みました」

 今大会、全試合でスタメン出場している北間優衣の言葉に象徴されるように、前回の対戦で世界4位の中国に8点差にまで迫った日本がどこまで距離を縮められるのか、”挑戦”の40分が始まった。

 開始早々、日本に立ちはだかったのは中国の「プレスディフェンス」と「高さ」だった。

 オールコートでプレスを仕掛けてきた中国にパスコースを塞がれ、いきなり8秒バイオレーションをとられる日本。それに対し、今度は日本が中国に24秒バイオレーションを与える好守備を見せる。萩野真世のミドルシュートで先制点を奪った日本は、高さに加え、速さのミスマッチを使いながらボールを奪いにくる相手のディフェンスに苦しみながらも、ボールを運び得点を重ねていく。

先制点を奪った荻野真世 [写真]=張 理恵

 第2クォーター序盤、中国のプレスを破ったのは日本の速い攻撃。しなやかに背中を逸らしゴール下からのシュートを網本麻里が沈め同点にすると、日本はそのままリズムに乗るかと思われた。しかし、3人のビッグマンを擁する中国にフリースローを含む8連続得点を許し、一気に15点差にまで引き離されてしまう。「ディフェンス、継続ね!」とリーダーシップをとるキャプテン・藤井郁美が自らフリースロー2本とミドルシュートを決め、18-31で前半を終えた。

 後半、プレスへの対応力を見せる日本。チーム最年少・大学3年生の柳本あまねが果敢にゴールを狙う。柳本は、障がいの程度によるクラス分けで中間のクラスに当たる、持ち点2.5の「ミドルポインター」と呼ばれるプレーヤー。オフェンスとディフェンス、両方での役割が求められるなか、自分がシューターになることでスレッドとなり、得点源となるハイポインターへの負担を減らしたいと話す。その覚悟を体現するかのようにコートを駆け抜けシュートを打ち、チームを勢いづかせた。

中国に挑んだ北間優衣 [写真]=張 理恵

 この日、特に際立ったのは中国のオフェンスリバウンド。シュートを落としても2本目のシュートを狙いダイブし、しぶとくゴールを脅かす。日本の4に対し、倍以上の9つのオフェンスリバウンドを奪って得点につなげた。 最後まで”挑戦者”としての姿勢を見せ続けた日本だが、第2クォーターに大量リードを許したことが大きく響き、37-52で敗れ、予選ラウンド4連敗を喫した。

「世界トップクラスの中国ですが、ここでいい勝負をしないと先はないと思っています。高さがない分、走るしかない。原点に戻ってそこをもう一回確認して、このバスケを打破したいです」と岩佐義明HC。

 チーム最長のプレータイムで、自身の2倍以上もの高さを誇る相手ハイポインター陣にひるむことなく挑み続けた北間は、「予選で4敗して本当に悔しいの一言ですが、まだまだ全員、気持ちは切れていません。一番の勝負はあさっての準決勝。ここから下剋上が始まると思っています。チームの目標である優勝に向けて、もう一回、良かったところや改善点をしっかり話し合って、準決勝に挑みたいと思います」と闘志を燃やした。

 修正力、集中力、結束力…。勝ちこそ逃しているものの、チーム力が上がっていることは確かだ。さらなる挑戦が待ち受ける決勝トーナメントへ。12月6日、決勝進出をかけた大一番を迎える。

女子代表が大一番に挑む [写真]=張 理恵

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