2020.01.14

車いすバスケ「皇后杯」、カクテルが6連覇!

大会史上2チーム目となる6連覇を達成したカクテル[写真]=斎藤寿子
新潟県出身。大学卒業後、業界紙、編集プロダクションを経て、2006年よりスポーツ専門ウェブサイトで記事を執筆。2011年よりパラリンピック競技を中心に、国内外で精力的に活動を開始。パラリンピックは12年ロンドン、16年リオ、18年平昌、アジアパラ競技大会も14年仁川、18年ジャカルタの各大会をカバーした。

 1月13日、神戸市中央体育館で行われた「皇后杯 日本女子車いすバスケットボール選手権大会」。3大会連続で同一カードとなったカクテル(近畿)とSCRATCH(東北)との決勝は、終始オールコートのプレスディフェンスでSCRATCHを苦しめたカクテルが70-51で制し、6連覇を達成。令和の初代女王に輝いた。

決勝への伏線となった初戦での反省

 3年連続6度目となったカクテルとSCRATCHとの決勝は、第1クォーターからカクテルが得意のマンツーマンのプレスディフェンスでスティールや相手のミスを誘うなどして、試合の主導権を握り始めた。それでも第1クォーターはSCRATCHも食らいつき、18-14とその差はわずか4点。どちらに転んでもおかしくない様相を呈していた。

 そんななか、試合を決定付けたのは、続く第2クォーターだった。キャプテンの北田千尋と網本麻里のハイポインター陣が得点を量産していくカクテルに対し、SCRATCHはカクテルの執拗なプレスディフェンスに苦戦を強いられ、8分もの間、無得点。結局、16得点を挙げたカクテルに対し、SCRATCHはわずか5得点に抑えられ、34-19とカクテルのリードは一気に2ケタに広がった。

 結果的には、70-51というスコアだったこの試合、実は後半だけを見ると、36-32と第1クォーター同様にそれほどの差はない。つまり、第2クォーターでカクテルがSCRATCHの攻撃をほぼ完璧に封じたことが、2ケタという大差のついた結果をもたらしたのだ。

第2クォーターのディフェンスが勝利を決定付けた [写真]=斎藤寿子

 実はこの伏線は、初戦にあった。大会初日に行われたパッション(四国)との1回戦、カクテルは攻守で圧倒し、60-17で大勝。最高の滑り出しをしたかに見えた。ところが試合後、チームから語られたのは反省の言葉だった。チームでの連携を重視し、味方をヘルプすることを意識するあまり、プレスディフェンスの基本である「1 on 1」がおろそかとなったために逆にブレイクを許すなど、納得できるものではなかったのだという。

 しかし、それがプラスに働いた。初戦でこうした課題が浮き彫りとなり、それを修正しなければならないという反省の気持ちが、緩みを生じさせなかったのだ。そして「1 on 1」の重要性を再認識し、準決勝で修正をかけたことによって、決勝では最高のパフォーマンスを発揮する準備万端の状態で臨むことができたに違いない。カクテルの強さは、勝敗以外のこうしたところにもある。

 これまで平成の時代に史上最多となる9度の優勝を誇ったカクテル。今回は令和という新時代の幕開けに記念すべき10度目の栄冠を獲得。“カクテル時代”に終止符に打たせるつもりはまだまだない。

文・写真=斎藤寿子