2021.09.06

銀メダルを勝ち取った香西宏昭「それぞれ役割を果たしてきた12人だった」

香西は大学時代のチームメートでもあるスティーブ・セリオと健闘を称えあった[写真]=Getty Images
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 9月5日、東京パラリンピックの車いすバスケットボール競技の男子決勝戦が行われ、快進撃を続ける日本代表は、リオ大会の優勝チームであるアメリカ代表と対戦した。

 一進一退の試合展開となるが、最終クォーターの中盤にアメリカに逆転を許すと、最後は60-64とわずか4点差で敗戦。金メダルには届かなかったものの、日本はパラリンピックで初となる銀メダルを獲得し、今大会を終えた。

 試合後にメディア対応を行った香西宏昭は「ディフェンスはすごく機能していたと思います。早いローテーションで向こうのシュートを落とさせて、リバウンドを取るという流れができていました。途中にプレスでリズムを変えるなど、ディフェンスに変化をつけて苦しめることが40分近くできていました。ただ、第4クォーターのターンオーバーや、数字にも現れないような小さなミスが高くついた試合だったと思います」と決勝戦を振り返った。

 決勝でチームハイの18得点をマークした香西は、アメリカのスティーブ・セリオとイリノイ大学でのチームメートでもある。「スティーブはやっぱりタフショットを決めるなと。フリースローも決めていましたし、脱帽です。大学時代に、この選手と一緒にやれていたのは、すごく光栄なことだったんだなと実感しました」と語り、28得点を挙げてアメリカを金メダルに導いた、元チームメートにも称賛の声を送った。

 また、試合後に涙を流した香西は「負けて悔しいというものもあるんですけど、この大会で最後にするという選手が数人います。この選手たちともうバスケができないんだなと思うと、最後勝って終わりたかったなという気持ちで涙が出てきてしまいました」とその理由を明かしてくれた。

模索し続けた5年間

 歴史的な銀メダル獲得について、心境を聞かれた香西は「まだあんまり実感が湧いていない」とコメント。今は僅差での敗戦の悔しさが強いと話しつつも「それでも(メダルを)実際にかけてみて重いなと思ったり、メダルセレモニーに自分たちがいること、一番の場所ではなかったですが日の丸が3つの国旗のなかにあるのを見てると本当に銀メダルなんだなと、ちょっとずつ実感しています」と噛み締めるように語った。

 香西は今大会を振り返って「初日のコロンビア戦から1戦1戦成長していくチームでした。若い選手たちも躍動しましたし、ベテランの選手たちもそれに負けじと、それぞれ役割を果たしてきた12人だったと思います」と代表チームを総括。

 さらに「代表に選ばれなかったメンバーもいて、それでも一緒に合宿をして戦ってくれました。ここにいるのは12人なんですが、それだけじゃないメンバーがいて、みんなに感謝をしたいなと思います」と東京大会のメンバーに残れなかった選手たちへの感謝の思いを示した。

 リオ大会からの苦しい5年間を越えて、ついに男子日本代表は銀メダルという結果を勝ち取った。その激闘を終えた香西は、最後に笑顔を見せながら締め括った。

「2006年くらいから日本代表に選んでいただいていますけど、ずっと9位や7位など、負けることがすごく多かったです。高さがない日本がどうやったら戦えるかと模索しながらこの5年間をやってきました。たくさん走り込みもしてきましたし、いろいろメンタルトレーニングもしてきました。まずは自分にお疲れ様と言いたいのと、僕はリオ後から願掛けでラーメン断ちをしていたので、ちょっと食べようかなと思います」

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