2022.08.13

オリパラ銀メダリストが夢の競演…バスケットボールが見せる新たな社会貢献の形とは?

5人制の代表戦実施に併せ、車いすバスケットの体験会が開催された
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 久しぶりに訪れた行動制限のないお盆休み。バスケットボール界では、宮城県仙台市にて8月11日から14日にかけて女子日本代表の「三井不動産カップ2022(宮城大会)」、男子日本代表の「SoftBank カップ 2022」が開催されている。

 この大会期間中、日本バスケットボール協会(JBA)と日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)は、『ALL BASKETBALL ACTION 2022 in 仙台 Supported by日本生命』を実施。12、13日の試合中ハーフタイムに、5人制や車いすバスケットボールの枠を超えた豪華メンバーにてエキシビジョンを披露した。

 車いすバスケットボールからは、先の「東京2020パラリンピック競技大会」にて銀メダルを獲得した男子代表の藤本怜央と香西宏昭が、女子では、同大会で6位入賞を果たした元代表の藤井郁美さんと現代表の石川理恵が参加。5人制からは、12日に男子代表の寺嶋良広島ドラゴンフライズ)、西田優大シーホース三河)、河村勇輝横浜ビー・コルセアーズ)の3選手が、13日には女子代表の髙田真希(デンソー アイリス)と元代表の三好南穂(現トヨタ自動車 アンテロープスサポートコーチ)さんが参加した。

 また、12、13日の16時から18時にかけて、大会会場のゼビオアリーナに隣接するハレオドームにて車いすバスケットボールの体験会を開催。競技用車いすの操作体験やシュート体験なども併せて実施した。メダリストを含む豪華な参加者の参集や、大規模な体験会の実施にはJBAがバスケットボールファミリー全体で「バスケで日本を元気に」の理念の実現を目指す取り組みに対する本気度がうかがえる。JWBFの積極的な協力に加え、このJBAの理念に賛同した日本生命保険相互会社(日本生命)のサポートも大きな後押しとなった。

香西に見守られながら競技用車いすを操作する参加者

 13日のエキシビジョンと体験会に参加した三好さんは囲み取材に応じ、この日に行われたイベントについて感想を問われると「4本打って3本決めましたよ!」と笑顔を見せると、続けて「車いすの操作に腕の力を使うので、シュートする前に疲れてしまうか心配でした。難しいですが、実際にプレーしてみるととても面白く、本当に素敵な経験をさせていただきました」と語った。ALL BASKETBALL ACTIONの意義については「5人制も車いすも男子も女子もなく一緒にバスケットボールを楽しむことができるし、それを伝えることができる素晴らしい取り組みですね。また参加できるのを楽しみにしています」と感想を述べた。

 両日のイベントに参加した香西は「今回は、5人制の試合に呼んでいただいた形になりましたが、今度はぜひ車いすバスケの大会に5人制の選手の皆さんに来ていただければうれしいですね」と語ると、「今日のイベントをきっかけに車いすバスケに興味を持ってもらって、車いすバスケの試合にも足を運んでくれると、(車いすバスケ特有のルールである)持ち点制の面白味など、もっともっと魅力も伝えられると思います」と締めた。同じく車いすバスケを代表して参加した藤本は「これまで、どうして一緒にイベントに参加する取り組みがなかったのかと思うほど、楽しく参加することができました」と話すと、「パラリンピックから1年が経過した、このタイミングで今回のような機会をいただいたのは本当にありがたいこと」と感謝の気持ちを口にした。

イベントに参加した三好さん(左)、藤本(右)

 日本生命コーポレートプロモーション部の中嶋知彦さんは今回のイベントへ賛同した理由について「東京大会の前からJBA、JWBFの応援を続けており、大勢の従業員が応援や体験イベントに参加しており、今回のイベントを実施する素地はありました」と明かすと、続けて「東京オリンピック・パラリンピック大会から1年が経過したこのタイミングである今こそ、そのレガシーを改めて考える大切な機会だと考えていましたし、プラスアルファの新しい取り組みを行わなければならないと思いました。代表戦のエキシビジョンは短い時間ではありましたが、パラスポーツと5人制の競技が行き来することのできる、大きな一歩になったと考えています」と述べる。大勢の参加者が訪れた体験会の様子を眺めながら「見るだけではなく、やってみると全然違うと思います。多くの方に車いすバスケの魅力を知ってもらういい機会ですし、とても意義があることだと思います」と笑顔を見せた。

 今回は仙台で開催されたALL BASKETBALL ACTION。今後も取り組みが継続され、ジェンダーや国籍、障がいの有無などの違いを越えて、あらゆる人が楽しむことのできるバスケットボールによって、日本社会におけるダイバーシティ(多様性)とエクイティ(公正性) を高める一助となることを期待したい。

取材・文=村上成

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