日本だけでなく世界のバスケットボールを長年見続けてきたNBAライター宮地陽子さんの海外日本人選手奮闘記。第2回は桜花学園高校卒業後に渡米し、ルイジアナ州大で青春を過ごしたヒル理奈選手の独占インタビューをお送りします。
※本コラムはB.MARKETING(https://www.bmarketing.jp/)に掲載された記事を編集したものです。
3月18日、ヒル理奈のルイジアナ州大(LSU)での4年間の選手生活が終わりを迎えた。テキサス州ウェイコで行われたNCAAトーナメント1回戦、LSUはカリフォルニア大相手に一歩及ばず、55対52で敗退したのだ。桜花学園高校を卒業後に渡米してから5年。バスケットボールも勉強も、常に100%で取り組んだ毎日だった。
ヒルの選手としての能力は、ボックススコアを見ただけではわかりにくい。ほぼ毎試合一桁得点で、アシストやリバウンドなども特に目立つ数字ではない。今シーズンの平均値も5.6点・1.5アシスト・1.4リバウンドだった。それでも、出場時間はほぼ毎試合、フル出場に近い。コーチに信頼される何かを持っているのは確かだ。
ニッキ・ファーガスヘッドコーチは、ヒルのチームへの貢献について「彼女がそうやって無私でいてくれることで、うちのチームは自分たちらしくいられるんです」と語る。
ヒル自身、数字に対するこだわりはあまりないという。毎試合意識しているのはディフェンスとリーダーシップ。
「チームの勝利が優先。チームの勝利に必要なことだったら100%の力でやる。(コートに出ている)5人全員が『自分が』『自分が』になると、うまくいかないと思うんですよ。そういう時にしっかり調和できるような役割の選手って必要だなと思うんで。泥臭い仕事でも、それが勝利に必要なことならやりたい」
ヒルにとって、バスケットボールにおける目標は大きく2つある。ひとつは、日本代表入りしてオリンピックに出ること。
「自分たち(アメリカにいる選手たち)は将来、代表入りしたかったり、NBAやWNBAなど、さらに大きな舞台に立つためだったり、それぞれの目標に向かうために、さらに成長できる大事なステップだと思ってアメリカに来ている。でも、アメリカに行った時点で(選考の)対象外になるケースが多い。見えるところでプレーしないと呼ばれない。そういう中でユニバーシアードの合宿に呼ばれたっていうのは、自分の中ですごく大きなステップでした」
もう一つの目標はWNBA入りだ。もっとも、大学でスタッツをあげていないことがマイナスになることも理解している。
「WNBA入りは、昔から変わらず一番の目標です。もし行けるんだったらそのレベルでやりたい。どういう形で行けるかはわからないですけれど、必ず挑戦します」
高校卒業と同時に、勉強とバスケットボールをするためにアメリカに出てきた18才のティーンエイジャーは、5年たってその熱さを持ち続けたまま、成長した。
「この5年は人としても選手としても、いろんな意味で成長できた。(バスケや勉強など)どの分野でも、ちゃんと努力して、ちゃんと常に吸収していくのがすごく大事だなと感じました」
文=宮地陽子 写真=LSU Athletics