Bリーグが終了すると、いよいよ8月31日開幕するFIBAワールドカップ(以下W杯)に向けた準備が徐々に始まっていく。日本が13年ぶりに出場するW杯には32チームが出場。その中から日本が予選リーグで対戦するトルコ、チェコ、アメリカを対戦順に紹介していきたい。2回目は古くから日本とは関係の深いチェコ(FIBAランキング24位)を紹介する。
文=小永吉陽子
W杯予選を通じて急成長したチェコ。若手も次々台頭
W杯初出場ながら、近年著しい成長を見せているのがチェコだ。W杯予選では序盤から快進撃を続けたことで、全大陸予選の中で最速となるWindow4終了時に出場を確定させている(チェコ、ドイツ、ギリシャ、リトアニア、ナイジェリア、チュニジアの6カ国がWindow4終了時点で出場権獲得)。
また、ここ数年は日本と交流が深い点でも注目したいチームだ。4年前の2015年には日本代表がチェコ遠征を行い、A代表と対戦。その直後、今度はB代表が来日して強化試合を2試合開催している。アンダーカテゴリーではU16代表がチェコで開催されるクリスタル・ボヘミアカップに出場して2年連続で優勝。2017年にはワールドカップに出場したU19代表が沖縄で強化試合を行っている。そして忘れもしない2016年には、リオ五輪をかけたOQT(世界最終予選)で対戦して71-87で敗れた相手だ。
4年前に対戦したときのチェコはFIBAランキング49位でヨーロッパでも低迷中だったが、翌年のOQTでは42位に浮上。さらに、強豪がひしめきあうヨーロッパで地道に勝ち星を重ねていったことで、いまや24位へと躍進しているのだから、この数年の成長ぶりは注目に値するといっていいだろう。
成長著しいチームの柱となるのが201センチの大型司令塔トーマス・サトランスキー(27歳)と身体能力が高い213センチのビッグマン、ヤン・ヴェセリ―(29歳)だ。サトランスキーはワシントン・ウィザーズに所属し、ゲームメイク、得点、リバウンド、アシストと何でもできる万能型のガードとして活躍中。ヤン・ヴェセリ―は2011年にNBAドラフト6位で指名を受け、ワシントン・ウィザーズとデンバー・ナゲッツで3シーズンプレーしたのち、現在はトルコの強豪クラブ、フェネルバフチェの主軸となっている。今季はユーロリーグでシーズンMVPを獲得した。
そんなチェコの顔である2人がオフシーズンのWindow4に参戦したことで、チェコのチーム作りは着実に進められている。それを証明したのがWindow4でロシアを大接戦の末に80-78で下した試合だ。このゲームはサトランスキーが18得点、8リバウンド、6アシストと大車輪の活躍でチームをリード。得意の中央突破からのドライブで勝負を決定づけたシーンは圧巻だった。
彼ら2人のエースが不在時を牽引したのは2016年のOQTにも名を連ねたフォワード陣。ワールドカップ予選で平均13.2得点4.3リバウンド2.6アシストとオールラウンドに活躍したヴォイチェフ・ハルバン(202センチ、29歳)と、平均12.2得点、3.8リバウンドをマークしたアメリカからの帰化選手、ブレイク・シウブ(199センチ、35歳)の2人だ。
また、新しいスターとして台頭してきたのがシューターのヤロミール・ボハーチック(197センチ、26歳)。予選全12ゲームに出場し、平均13.6得点、武器の3ポイントは46%(29/63本)をマーク。とくにWindow4と5のロシア戦では、それぞれ3ポイントを45.5%(5/11本)と60%(6/10本)という高確率で決めている。
ただ、成長中ではあるが、完成度という点では発展途上のチームだ。W杯出場を早々に決めたあと、2大エースが抜けたWindow5以降はフランスとロシアに完敗。最終的にはグループ3位になったことからも、チームプレーの精度に関しては課題を残している。