2020.08.07

NBAドラフト2021の有力候補が続々とGリーグ入り…カレッジ進学を選ばない理由とは

ネクスト・コービーの呼び声高いジェイレン・グリーンなどがGリーグセレクトチーム入りしている[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 現役高校生でトップクラスの実力を誇るジョナサン・クミンガ(パトリックスクール)が、カレッジ進学をパスし、Gリーグのセレクトチーム入りすることが発表された。

 これでセレクトチームには、ネクスト・コービーとの呼び声高いジェイレン・グリーン(プロリフィックプレップ)のほか、アイザイア・トッド(WOGクリスチャン・アカデミー)、ダイシェン・ニックス(トリニティインターナショナルスクール)、カイ・ソット(ザ・スキルファクトリー)と、世代屈指の選手が勢揃いした。

 これまでのNBA入りの“正規ルート”は、NCAA(全米大学体育協会)所属のカレッジに進学して活躍後、ドラフト指名を受けるというものだった。しかし、今年のリクルーティング該当選手たちは、こうして続々とGリーグ入りを決意。この理由は、どこにあるのだろうか。

 それには、NBAとGリーグが制定した新たな制度「プロフェッショナル・パス・イニシアチブ」にある。「プロフェッショナル・パス・イニシアチブ」とは、高校卒業後にGリーグで給料(1300万円〜)を受け取りながら1年間プレーし、翌年のドラフトエントリーに向けてトレーニングを積むというもの。所属先はNBA傘下の球団ではなく、特別に設立されたセレクトチーム。ここでNBA顔負けの指導を受けながら、年間10〜12試合をこなしていく予定になっている。

 そして、このセレクトチームのヘッドコーチには、フィル・ジャクソン政権のロサンゼルス・レイカーズでアシスタントコーチを務め、指導者キャリアで5度のNBA制覇に貢献したブライアン・ショウが就任。これにより、NCAAで問題視されていたサラリー制度をクリアすると同時に、トップクラスの指導が確約。こうした整った環境が、グリーンをはじめ、未来のスター選手を惹きつける理由である。

 しかし、この新制度には名門ケンタッキー大の名物コーチ、ジョン・カリパリが猛反対。Gリーグが大金で高校生を誘惑していることを非難し、彼らが教育の機会を失うことで、NBA入りができなかった選手の人生設計に支障をきたすと警鐘を鳴らした。カリパリの指摘は正しい側面もあるが、その一方でこれまで優位を築いてきたカレッジの立ち位置を揺るがす危機感から飛び出たもののようにも思える。

 いずれにせよ、セレクトチームの登場は、カレッジ各校のリクルーティングに大きな影響を与えると同時に、このチームが成功すれば「Gリーグ対カレッジ」という構図はより顕著なものになるだろう。

 NBA挑戦への新たなルート。毎年ルーキーの登場を楽しみにしているNBAファンは今後、「プロフェッショナル・パス・イニシアチブ」の動向を追いかけてみても面白いはずだ。

 文=Meiji

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