2020.09.28

田中力にNCAA1部のユタ大学からオファー…カイル・クーズマらを輩出した名門校

将来が期待される田中力が自身の進路について言及 [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)に続く次なる日本人NBA選手候補、田中力(IMGアカデミー)が、NCAAの名門ユタ大学からのオファーを受け取ったと、自身のツイッターアカウントで明らかにした。

 

 アメリカ人の父、日本人の母を持つ田中は、小学4年生から横須賀でバスケを始めた。1試合85得点(チーム全体で87点)の伝説は、今でもミニバス時代の逸話として語り継がれている。

 坂本中学(神奈川県)では関東大会で強豪・梅丘中学(東京都)に苦渋を舐めさせられるものの、最終学年時にはU15横浜ビー・コルセアーズに所属。「B.LEAGUE U15 CHALLENGE CUP 2018」では準優勝に貢献、田中自身も大会MVPを受賞するなど、この時点で田中が世代トップクラスの実力の持ち主であることに周囲からの異論はなく、その結果として、同選手は史上最年少で日本代表候補に選出されている。

アンダーカテゴリーの日本代表にも選らばれてきた田中力 [写真]=fiba.com


 高校はアメリカ屈指の名門、IMGアカデミーへの進学を決意。同校は、テニスの錦織圭を輩出したことでも広く知られる全寮制の総合スポーツアカデミー。ジョナサン・アイザック(オーランド・マジック)やドワイト・パウエル(ダラス・マーベリックス)らの出身校であり、2016年以降は30名もの選手たちをNCAA1部の強豪大学へと送り出した実績を持つ。

 2年次からの入学になった田中は、次第に環境へと適応し、プレータイムを獲得。同校ではPGへとコンバートされるものの、持ち前の得点能力は健在。視野の広さとパスセンスには日に日に向上が見られ、ハードなディフェンスでも数々のハイライトを生み出してきた。

 高校の最終学年として今後の進路を占う2020年は、不幸にも世界的なパンデミックの影響で、実力を披露する機会が激減。しかし、世界レベルの選手たちが一堂に会し、有名校のスカウトが視察に訪れる「オール・アカデミック・バスケットボール(All Academic Basketball、通称AAB)」の参加機会を得ると、田中はここで他選手との格の違いを見せつける。

 巧みなハンドリングとスピードで相手選手を置き去りにしたかと思えば、今度は滑らかなジャンプショットから得点。現地のスカウトからは「コート上でベストだった1人」と名前を挙げられると、「卓越したフィニッシュ能力とフロアを広げる技術には安定感があり、ショットバランスもいい。注目に値する選手だ」と賛辞が送られた。

 ユタ大学は、田中の「AAB」でのプレーに感銘を受けて、リクルートに踏み切ったものと思われる。同校は、アリゾナ大学やカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)など、NCAA屈指の強豪校が名を連ねるPac-12(パシフィック12カンファレンス)に所属し、カイル・クーズマ(ロサンゼルス・レイカーズ)、デロン・ライト (ダラス・マーベリックス)、アンドレ・ミラー(元デンバー・ナゲッツほか)らを輩出した。直近の数年はNCAAトーナメントから遠ざかっているものの、IMGアカデミーと同じく国際色豊かな環境は肌にあうに違いない。

 まだ進学が決定したわけではないが、もしユタ大でプレーすることになれば、未来のNBA候補としのぎを削ることになる。各所から熱視線が送られる環境で実力を証明することができれば、プレーヤーレーティングも上昇し、自身の夢であるNBA入りが現実に近づいていくはずだ。

 本当のチャレンジが始まるのは、これから。才能のさらなる開花に期待が膨らむ。

文=Meiji