2020.04.07

馬場雄大帰国インタビュー#1「アメリカのバスケは日本やFIBAとは違いました」

今シーズンの馬場雄大はアメリカに渡ってプレーした [写真]=Getty Images
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 今シーズン、アメリカに渡り、Gリーグのテキサス・レジェンズでプレーした馬場雄大。残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンは途中でリーグは終了したが、41試合(うち先発は5試合)にプレーして平均19.6分6.3得点2.6リバウンド1.2アシスト1.0スティールを記録。特に3ポイントシュートについては成功率41.5パーセントをマークした。今回、ルーキーシーズンを終えて帰国した馬場雄大をキャッチ。アメリカで得たもの、今後の課題を聞いた。

取材=入江美紀雄

今まで感じたことのないワクワク感の中でプレー

――今シーズンを振り返っていただきたいのですが、特に渡米して良かったと思うことは何ですか?
馬場
 実際にアメリカで感じたことは、同じバスケでも色々と違うなということです。日本のバスケ、FIBAの大会でのバスケ、アメリカのNBA、Gリーグのバスケはどれも異なっていると感じました。その中でGリーグは下部組織ですが、NBAのバスケを知ることができたのは大きな収穫です。ここに属する選手はNBAに上がりたいという一心でプレーをしているので、独特な雰囲気もありました。けれど、僕と同じウイングプレーヤーのレベルもとても高いですし、今まで感じたことのないワクワク感の中でバスケをやれた経験は大きかったです。

――昨夏のFIBAワールドカップ2019(中国開催)の時に馬場選手をはじめとする日本代表の選手たちは「もっとフィジカルに戦わなければいけない」とおっしゃっていました。FIBAやNBAのスタイルはどのような点が違っていたか教えていただけますか?
馬場
 FIBAのバスケは常に体をぶつけて戦うスタイルが主体ですが、アメリカのバスケはFIBAよりも当たりが少ないと言えます。しかし、シュートを打つ際にセンターがブロックをしてくる点はFIBAより上にいっていると思います。身体能力も高いですし、特に得点に絡むプレーではではアメリカの方がフィジカルだと感じました。

――アメリカで通用したプレーはありますか?
馬場
 ディフェンスは対抗できました。自分の強みであったスティールをしてから走るスタイルもディフェンスが通用するので出していけましたし。今シーズン、大きく成長できたのは決め切る力がついたことですね。これは練習を重ねるごとに通用するようになっていきました。

――しっかり決め切ることが国際ゲームでは大切だと言われていますが、当たりに慣れたから決め切ることができるようになりましたか? それともテクニックの向上から決め切ることができるようになっていきましたか?
馬場
 ステップワークや攻める時のバリエーションの多さなどは改善の余地がありますが、気持ちの部分で抵抗がなくなりましたね。試合を重ねるにつれてそれが当たり前になり、強く当たっていけるようになりました。

――Gリーグが中断する前は3ポイントシュートの調子が良かったと思いますが、成功率が上がったのには何か理由がありますか?
馬場
 まず練習量が増えたことですね。日本と練習量が全く違いますし、練習を通してずっと打っていたと思います。加えて気持ちの問題です。みんな「点を取りたい」、「結果を残したい」と思ってプレーをしているので、パスをすることを考えてないんです。まずはシュートを打って点を取ることを考えています。最初にパスがよぎってしまうと、シュートを躊躇してしまうのですが、徐々に「シュートを打たなければ」という意識が強くなりました。そこから自ずとシュートの成功率も上がっていったのだと思います。

「ルカHCから学んだことはアメリカでも生きていました」

――よくシュートを打たないとパスが回ってこないと言われますが、これは本当でしたか?
馬場
 僕の場合、言葉の壁もあったこともあり、結果を出さないとパスは回ってこないですし、結果を出していても集中力が欠けたプレーをするとチームメートもわかっているのでパスが回ってこなくなることもありましたね。一瞬の気の緩みも許されなかったです。

――そのような環境に身を置いたことが自身の成長につながったのですね。
馬場
 常に全力でプレーをするというバスケットボールに対する考え方、向き合い方の違いを直接肌で感じることでより、一層勉強することができました。

――英語は上達しましたか?
馬場
 アメリカに住んでいたのでもちろん上達はしました。ですが、7カ月ほどしか現地にいなかったので流暢に会話の中で切り返すことはまだできません。それでもネイティブが話すスピードには慣れたと思います。

――コーチから色々なアドバイスももらったと思いますが、コーチとのコミュニケーションも半年経つとスムーズになりましたか?
馬場
 バスケに関する英語はルカ(パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチが指導していたアルバルク東京の時からやっていたので、抵抗はなかったです。バスケに関する会話は理解もできますし、それなりに意見も言えましたが、日常会話は別で。そこは苦労しました。

――コーチからアドバイスされたことで役立ったことはありますか?
馬場
 コーチにはポイントが入らなかった時のドライブからの状況判断がもう少し成長できたらNBAも夢じゃないと言っていただけました。このアドバイスをいただいた時にアメリカでの課題が明確になったのでとても勉強になりました。

――シュートに行けないのならドライブやキックアウトするという状況判断ということですか?
馬場
 そうですね。そのようなプレーやその後のフィニッシュについては日本ではあまり考えていなかったとも言えます。

――その辺りはルカHCから指導を受けたことが役に立ったわけですね。
馬場
 ピック&ロールはルカHCとの練習の中で身についたことですし、日本にいる外国籍選手の方がピック&ロールに対する対応にも慣れていたので、Gリーグでは意外と空間の空きも見ることができました。ピック&ロールをはじめとして、ルカHCから学んだことはアメリカでも生きていましたね。
(Part2に続く)

馬場選手へのインタビューはネットを通じて行われた

Part2はこちら

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