2017.11.07

【NBA COLUMNS from LA】デマーカス・カズンズ、不機嫌な表情の裏にある優しさ

子どもたちと触れ合うペリカンズのカズンズ [写真]=Getty Images
ロサンゼルス在住。1995年に渡米、現在は通信社の通信員として、MLB、NBAを中心に取材を行っている。

 デマーカス・カズンズと聞いて、どのようなイメージがあるだろうか。「いつも怒っているイメージ」。そういう人は多いと思う。実際、昨季はテクニカル数リーグ最多という嬉しくない「1位」になってしまった。

 10月23日(現地時間22日)のロサンゼルス・レイカーズ戦で、ニューオーリンズ・ペリカンズは22点のリードを第4クォーターに逆転された。最終的には、カズンズのカギとなる得点で勝ったのだが、22得点11リバウンドに加え、8アシスト2ブロックショットを記録したにも関わらず、見るからに不機嫌な表情でロッカールームに戻ってきて、スタッツを見ながらプリプリ怒っている。大量リードを守れなかったのが、悔しかったのだ。 ところが、オフシーズンに著しいコミュニティ活動を行ったとして“NBA Cares Community Assist Award”を与えられたのがカズンズだ。

カズンズは昨季途中にトレードによりキングスからペリカンズへ移籍した[写真]=Getty Images

 カズンズは地元アラバマ州のモービル市でバスケットボール施設の建設資金を寄付し、サクラメントとアラバマ州バーミンガム市で300人の子どもを集めてバスケットボールキャンプを行った。サクラメントのキャンプに参加した子ども全員に、保険があっても高くつく視力検査を無料で受けさせ、バーミンガムの子ども全員には新学期のためのバックパックと文房具を贈った。サクラメントとモービルでは、子どもやその家族のためにパーティーも開催し、ゲームやご馳走で楽しませた。NBAのアフリカゲームにも参加し、バスケットボールクリニックも手伝った。 シャワーを浴び、気持ちも落ち着いたカズンズはコミュニティ活動について、「僕の母親は率先して人を助ける人間で、小さい頃からそういう環境にいた。賞を得て人に認識してほしいからやっているんじゃない。正しいことだからやっている」と無表情で話した。

「NBA Cares Community Assist Award」に選ばれ、笑顔見せるカズンズ(左)[写真]=Getty Images

 少年の成長を自分のことのように喜ぶ優しい面もある。サクラメント・キングスのキャンプ時代に出会ったキャメロン・オリバー。ネバダ大学を経て、今年ドラフト外からロケッツとの複数年契約に漕ぎつけた。不幸にも10月に右手を骨折し解雇されたが、未来が明るい選手だ。オリバーが高校の時に出会って以来、ずっと交流を持っていたカズンズは、「彼が目標にたどり着くことができてすごくうれしい」と目を細めた。実はオリバーの質問をした時に、“R”と“V”の発音がうまくできず、通じなかった。「誰?」とお得意のしかめっ面になってしまったカズンズ。やっとオリバーのことだとわかってもらえ、「すみません」と謝ると、「気にしないで」という意外な言葉が戻ってきて、「彼はいつでも驚くようなプレーをするんだ」と嬉しそうにオリバーの話してくれた。

 人に与えることを当然のこととして行い、夢を持つ少年の成長に心を躍らせる。 不機嫌な表情の裏には、優しさが溢れている。

文=山脇明子