前回のコラム(https://basketballking.jp/news/world/nba/20171114/36527.html)では、イースタン・カンファレンスでここ数年勝ち残っているにも関わらず、クリーブランド・キャバリアーズとボストン・セルティックスに「東カンファレンスの王者候補」の立場を奪われているトロント・ラプターズについて書き、デマー・デローザンとカイル・ラウリーが自分たちの認識の低さをそれほど不満ともせず、黙々とがんばっていることに触れた。
そして今回はワシントン・ウィザーズの“バックコートデュオ”、ジョン・ウォールとブラッドリー・ビール。ウォールが「東で一番のポイントガードは僕だ!」と主張すれば、ビールは「ウィザーズこそが東のベストチームだ!」と自信満々に言い放つ。どちらがいいかは別として、ラプターズのガードコンビと受け止め方が正反対なのが面白い。
11月の始めに『ESPN』のNBAトーク番組“The Jump”に2人そろって出演した時も、司会者から「あなたの“ウィザーズが一番”という発言を聞いて驚いている人もいるようですが、今でもそう思っている?」と聞かれたビールは、「思っているよ。『他のチームの方が僕たちより上』って言えというのかい? 僕は絶対に言わない。自分とチームメートが試合にどのような影響を与えられるかということに、またこのチームがどんなことを成し遂げられるかということに自信を持っている」と胸を張って答え、ウォールは、「このチームはどのチーム相手にも堂々と戦える」と公言した。
ただ、2人とも無謀にそのようなことを言っているわけではなく、ウォールは上記コメントの前に「このチームは危機を乗り越える方法を見出さなければならない」と話している。また、10月25日のロサンゼルス・レイカーズ戦では、ウィザーズとして1978-79シーズン以来のベストスタートに並ぶ開幕4連勝が懸かっていたにも関わらず、第4クォーター中盤の10点リードが守れずオーバータイムの末に敗れ、今季初黒星を喫したのだが、その時にもウォールは「クローザーとして自分がもっといいプレーをしなければならない」と話し、ビールは「100点を簡単に取ることができても100点を簡単に許すようじゃダメだ。相手は勝利を重んじていたが、僕らは軽々しく見ていた」と素直に反省した。
大きなことを平気で言う。それは、ウォールとビールにとって、「自分たちはそうであるべきだ」と言い聞かせているように見える。
「自分たちこそが一番だ」――。彼らはこれからもそう言い続けるだろう。そして、それが自分たちを奮い立たせる糧となっている。
文=山脇明子