2月19日(現地時間18日)に迫った「NBAオールスターゲーム2018」。今年はイースタン・カンファレンスとウエスタン・カンファレンスによるゲームではなく、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)がキャプテンを務める「TEAMレブロン」と、ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)がキャプテンを務める「TEAMステフィン」というオリジナルチームの対決という形で行われる。そこでバスケットボールキングでは、今年のオールスター出場選手を、チーム別でそれぞれ紹介していく。
■TEAMステフィン選手紹介⑩
ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)
フォワード/211センチ/101キロ/キャリア5年目
<NBAにおける主な記録・功績>
最優秀躍進選手賞(MIP):1回(2017)
オールNBAセカンドチーム選出:1回(2017)
オールNBAディフェンシブセカンドチーム選出:1回(2017)
オールスター選出:2回(2017,18)
<2017-18シーズン 個人成績>
平均37.0分27.9得点10.4リバウンド4.7アシスト1.5スティール1.3ブロック
※2月9日(現地時間2月8日)終了時点
マッチアップ相手に“悪夢”を見させるリーグ屈指の万能戦士
今季開幕直後、リーグで最も強烈なインパクトを放っていたのはジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)でもなければ、カイリー・アービング(ボストン・セルティックス)でもない。ヤニス・アデトクンボだ。211センチという長身、221センチのウイングスパン、指を広げた状態で親指の先端から小指の先端にかけて12インチ(30.48センチ)もある大きな手と大きなストライド(歩幅)でコート上を駆け回り、得点にリバウンド、アシスト、スティール、ブロックと、あらゆることをやってのけた。
とりわけ得点面ではリング下、ペイント内を中心に相手チームのリングを何度も強襲し、ダンクやレイアップで得点を量産。10月はリーグトップの平均33.7得点、フィールドゴール成功率63.2パーセントというモンスタースタッツを残した。ウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)やシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)といった史上屈指のセンターたちに勝るとも劣らない成績を残してみせた。
その後バックスは、万能型ガードのエリック・ブレッドソー獲得やジェイソン・キッドHCの解任、得点源ジャバリ・パーカー復帰、昨季の新人王マルコム・ブログドンの戦線離脱などがあり、2月9日(同8日)終了時点でイースト4位(30勝23敗)。特にキッドHC解任後は7勝1敗と白星先行の戦いぶりを見せている。
今季はヤニスが決勝点を挙げる試合もあり、ここまで3点差以内の接戦で4戦無敗と抜群の強さを誇っている点はすばらしい。ただし、勝率5割以上を誇るチームとの戦績は13勝17敗と負け越しており、若手が多いロースターのためなのか、10点差以上離れた試合で10勝12敗とブローアウトされることもあり、イーストトップ争いをするにはまだ戦力不足ということなのだろう。
それでも、ヤニスがリーグ有数の万能戦士であり、スコアラーなことに変わりはない。また、今年のオールスターにおけるファン投票では253万211票で全体2位の得票数を記録し、プレーヤー投票では全体トップ(226票)、メディア投票でもレブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)と並ぶ全体トップ(99票)に立ち、リーグきっての人気と評価を得るまでに成長してきている。このオールスターの投票結果について、ヤニスは現地メディア『USA TODAY』へこのように語っている。
「俺にとっては信じられないこと。でもきっと、俺が毎日ハードにプレーしていることを皆が見てくれているんだと感じている。俺は毎晩、コートに入ればチームが勝利すべく、あらゆることをハードにこなしているからね。相手チームの選手たちからすれば、俺は悪夢みたいなものなんじゃないかな。だから彼らは俺に投票してくれたんだと思う」
ヤニスの意見に反論する者は皆無に等しい。特にプレーヤー投票で1位を獲得した背景には、マッチアップした選手や相手チームの選手たちが、ヤニスに対して“悪夢”のような強烈な印象を抱いているはずだ。ヤニスは今後、アウトサイドシュートに磨きをかけ、フリースローの精度を高めることで、アンストッパブルなプレーヤーへと成長を遂げると期待されている。レブロン(キャブス)やケビン・デュラント、ステフィン・カリー(共にゴールデンステート・ウォリアーズ)の次を担うスーパースター候補として台頭しているのだ。
<オールスターモーメント>
昨年の本戦でウエストのゴール目掛けてダンク連発!
14年にスキルズチャレンジ、15年はスラムダンクコンテストへ出場し、ライジングスターズには2年連続で選出。15年には12得点10リバウンド5アシスト4スティール2ブロックと、ヤニスらしいオールラウンドな数字を残した。だが最も強烈なインパクトを残したのは、昨年のオールスター本戦だろう。ペイント内から何度も滑空し、ダンクの雨を降らせた。ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)がガードすることを拒むほど猛威を振るったヤニスは、試合をとおして17本のショットのうち14本も決めて30得点。長い腕をフル回転してたたき込むウインドミルは迫力満点だった。
<今年のオールスターにおける注目点>
ダンク連発に期待しつつも、ヤニスの被害者が今年も出そう…
TEAMステフィンには、カール・アンソニー・タウンズやジョエル・エンビードといった、ヤニスと年齢の近い選手がいることから、普段の優しそうな笑顔を見せながら楽しくプレーできるだろう。スターター枠のデマー・デローザンとは、チームきっての“ダンクブラザーズ”と化してリムへダンクをたたきつけるのではないだろうか。チームメートがミスしたショットを空中で拾い、そのまま軽々とプットバックダンクを決めることができるため、“今年の被害者”が誰になるのかも気になるところ。この男が見せるダンクを回避する方法は、ほとんどないに等しいからだ。