【NBA】オールスター出場選手紹介 TEAMステフィン⑪/ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)

6年連続6度目のオールスター選出となったハーデン[写真]=Getty Images

2月19日(現地時間18日)に迫った「NBAオールスターゲーム2018」。今年はイースタン・カンファレンスとウエスタン・カンファレンスによるゲームではなく、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)がキャプテンを務める「TEAMレブロン」と、ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)がキャプテンを務める「TEAMステフィン」というオリジナルチームの対決という形で行われる。そこでバスケットボールキングでは、今年のオールスター出場選手を、チーム別でそれぞれ紹介していく。

■TEAMステフィン選手紹介⑪
ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)

ガード/196センチ/100キロ/キャリア9年目

<NBAにおける主な記録・功績>
最優秀シックスマン賞:1回(2012)
オールNBAファーストチーム選出:3回(2014,15,17)
オールNBAサードチーム選出:1回(2013)
オールスター選出:6回(2013~18)
アシスト王:1回(2017)
平均出場時間トップ:1回(2016)

<2017-18シーズン 個人成績>
平均35.8分31.3得点5.0リバウンド8.9アシスト1.8スティール
※2月13日(現地時間2月12日)終了時点

リーグ最強のスコアリングマシンと化したMVP筆頭候補
 昨年10月のこと。約3シーズン、ハーデンの指揮官を務めたケビン・マクヘイル元HCが、現地メディア『ESPN』を通じて教え子(ハーデン)を批判した。「正直なところ、彼はおどけもので、リーダーではない」。

 確かに、ハーデンはリーダーとしてロケッツをNBAファイナルへと導いたことはない。とはいえ、コート上で放つ存在感はリーグ随一のものがある。昨季はマイク・ダントーニHC指揮の下、ポイントガードとして起用され、選手として1ランクアップ。MVP投票では2位となったこともあり、マクヘイルの批判はハーデンにとって、ただの発奮材料に過ぎなかった。

 ハーデンは今季、さらにすごみを増した。1月上旬に7試合欠場したものの、2月13日(同12日)終了時点で、出場した48試合のうち、なんと46試合で20得点以上をマークしている。しかも安定感だけではない。8試合で40得点以上、そのうち4試合は50得点以上と、アンストッパブルなスコアリングマシンへと進化を続けているのだ。

 特に際立っていたのは1月31日(同30日)のオーランド・マジック戦。NBA史上誰も成し遂げたことのなかった60得点以上のトリプルダブル(60得点10リバウンド11アシスト)を達成し、新たな歴史を刻んでいる。

 その理由の1つとして、クリス・ポール加入も挙げられるだろう。生粋のポイントガードであるポールは、ディフェンスの穴を見つけることにたけており、互いが必要とするスペースを確保し、効率的に加点している。ただ、最大の要因として挙げたいのは、ハーデンだからこそ残すことのできる“200-700”というスタッツ。

 ハーデンは過去3シーズン連続で3ポイントシュート成功200本以上、フリースロー成功数700本以上をマークしている。NBA史上、同等の成績を残したことのある選手はハーデンだけ。ファストブレイク時、ピック&ロールからステップバック、1対1の状況からサイドステップを使ってスペースを作り、ハーデンは長距離砲を放っている。試投数はリーグトップとなる10.7本と多いものの、成功率は38.1パーセントと決して悪くない。相手選手へダメージを与えるには十分すぎる精度を誇っている。

カペラ(左)とのピック&ロールでもショット、アシスト、ドライブと多彩な選択肢から得点機会をクリエイトする[写真]=Getty Images

 また、ドライブでは筋骨隆々な肉体と独特のスペーシングを駆使し、相手選手のファウルを誘ってフリースローを得る。ピック&ロールからの展開もうまく、パス、ドライブ、シュートのセレクションは、マイク・ダントーニHCから絶大な信頼を得ている。

 2月上旬、ハーデンは現地メディア『ESPN』の取材でこのように語っている。

 「俺は(MVPについて)話したくない。まだ早すぎる」。

 だが、ハーデンは今季、自身の選手としての能力を誰よりも誇示しているように見える。昨季MVPに輝いたラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)とハーデンを比較した場合、チーム成績はロケッツが上回っていた。ただし、“トリプルダブル”の回数でハーデンの22回に対してウェストブルックは42回、そしてシーズン平均のトリプルダブルを達成していた。スタッツ上のインパクトが、MVP投票に大きな影響を与えていたと言っても過言ではない。

積極的に放つ3ポイントが不調な日もあるが、フリースローでも得点を稼げる点が強み[写真]=Getty Images

 だからこそ、今季のハーデンは持ち得る能力をすべて毎試合コート上に持ち込み、かつロケッツを勝利へと導いているのである。憎きライバルであるゴールデンステート・ウォリアーズとの直接対決では2勝1敗と勝ち越しているため、ウォリアーズと勝率が並んだ場合、ロケッツが上位となる。「全てはウォリアーズに勝つため」と、ダレル・モーリーGMも現地メディア『ESPN』ラジオの『The Ryen Russillo Show』という番組で語っており、チーム全体で勝ちに行く姿勢を見せている。

 本人が語ったように、ハーデンをMVP最有力候補と呼ぶのは時期尚早なのかもしれない。だが、今後もロケッツの勢いが止まるとは到底思えない。おそらくこのペースでシーズン最後までプレーし続けることができるならば、今季の最優秀選手はハーデンをおいて他にいない。

<オールスターモーメント>
スター選手が集結する中で存在感を発揮

 2015,16年に出場した3ポイントコンテストではあまり大きなインパクトを残すことはなかったものの、“ゲーム”では存在感を見せてきた。まずライジングスターズでは、10年(22得点5リバウンド)、11年(30得点)といずれもベンチから高得点を奪取。昨季まで5年連続で出場している本戦では平均17.4得点6.2アシストをマークしており、フィールドゴール成功率54.2パーセント、3ポイントシュート成功率48.9パーセントと好調だ。15年には29得点8リバウンド8アシストとオールラウンドな成績を残している。

2015年には、29得点8リバウンド8アシスト。ハーデンらしいマルチな成績を残している[写真]=Getty Images

<今年のオールスターにおける注目点>
ダントーニHCが指揮するTEAMステフィンでMVP獲得なるか?

 TEAMステフィンの指揮官はマイク・ダントーニHC。昨季就任したロケッツで、ハーデンをポイントガードに抜てきし、リーグ屈指の選手へと促進させた名将だ。ステフィン・カリーヤニス・アデトクンボといったリーグ屈指のスター選手がいるとはいえ、このチームでは普段良好な関係を築いているハーデンこそが、ファーストオプションになるだろう。ハーデンはカリーやクレイ・トンプソンデイミアン・リラードと共に驚異の“シューティング・カルテット”をけん引するだけでなく、アデトクンボやデマー・デローザンジョエル・エンビードといったフィニッシャーたちを活かすべく、レッグスルーパスやロブパスでハイライトシーンを演出するはずだ。TEAMステフィンが勝利するとなれば、ハーデンがMVPを獲得する可能性が最も高そうだ。

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