2018.02.20

【NBA COLUMNS from LA】デローザン、地元開催のオールスターでMVPを欲した理由

チームステフィンの一員としてオールスターに出場したデマー・デローザン [写真]=Getty Images
ロサンゼルス在住。1995年に渡米、現在は通信社の通信員として、MLB、NBAを中心に取材を行っている。

 2月19日(現地時間18日)にカリフォルニア州ロサンゼルスのステープルズ・センターで行われたNBAオールスターゲーム2018は、接戦の末、チームレブロンが148-145でチームステフィンを破った。

 試合後、チームステフィンでデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)とともにチーム最多の21得点をマークしたデマー・デローザン(トロント・ラプターズ)は、メディアから「過去2回、ロサンゼルスで行われたオールスターのMVP(最優秀選手)はシャック(シャキール・オニール/元ロサンゼルス・レイカーズほか)とコービー(ブライアント/元レイカーズ)だった。あなたのチームが勝っていたら、MVPはあなただったのではないかと思いますが、どう思いますか?」と聞かれた。オニール氏もブライアント氏もデローザンのようにロサンゼルス出身ではないが、MVPを得た時はレイカーズに所属していたため、ロサンゼルスの選手と考えての質問だった。

 するとデローザンは、「君は僕の心をもっと傷つけたいんだね」と苦笑いした。

試合後の会見で心情を吐露したデローザン [写真]=Getty Images

 彼にとっては、天国から地獄に落とされたような試合だった。第3クォーターをわずか3点リードで終えたチームステフィンは、第4クォーター序盤、デローザンのダンクとターンアラウンド・ショットでリードを7点に広げた。中盤にデローザンが2本のフリースローを決めた時点で11点リード。リラードも続き13点リードを奪った。

 同点に追いつかれた試合終了残り40.2秒、相手のカイリー・アービング(ボストン・セルティックス)のミスショットのリバウンドを奪ったのがデローザン。ファウルを得たが決めたフリースローは1本だけ。その直後、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)のレイアップで逆転された。

 次のポゼッションでジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)が外したが、デローザンがオフェンスリバウンドを奪い、チームステフィンは再びチャンスを得た。しかしデローザンはターンオーバーを犯してしまい、チームレブロンに加点されて敗れた。

 地元のオールスターであったこと以外に、できることならMVPを獲得したい理由がデローザンにはあった。

カリフォルニア州コンプトン出身のデローザン [写真]=Getty Images

 現在、父が重い病気を患っており、シーズン中に何度もロサンゼルスに戻って父を訪ねている。「父は僕のすべて。僕の手にバスケットボールを置いてくれたのも父だ。父は僕を公園へ連れて行ってくれた。父がいたから僕はスポーツをした。父を尊敬している。それは永遠に変わらない」。母親も長年、全身性エリテマトーデスに苦しまされている。

 オールスターウィークエンド中には、午前3時に「鬱になっている」とツイートしていたが、翌日のインタビューセッションでは元気な姿を見せた。その中でデローザンは、「両親に自分を誇りに思ってほしい」と話していた。

 デローザンは「MVPを得たかった」と心の底から思っていただろう。そして、彼の両親は、MVPトロフィーがなくても息子を十分に誇りに思っているはずだ。

文=山脇明子

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