2018.05.23

QUOTES Part.2~プレーオフ名言集②~/プレーオフ特別企画29

2008年。自身初の優勝を成し遂げたガーネット[写真]=Getty Images
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4月15日(現地時間14日)から、計16チームによる今シーズンの王座を懸けた激闘、「NBAプレーオフ2018」が幕を開けた。バスケットボールキングでは、プレーオフ出場チームやシリーズ勝敗予想に加え、これまでのプレーオフにおける名シーンや印象的なシリーズ、ゲームなども順次お届けしていく。

<プレーオフ特別企画29>
QUOTES Part.2~プレーオフ名言集②~

今回は、プレーオフ期間中、主にNBAファイナルで生まれた名言集をピックアップ。相手選手のニックネームを応用した技ありのトラッシュトークから、自身の弱点をジョークで交わす選手、契約メーカーのスローガンの応用など、4つのエピソードを紹介したい。

■1997年NBAファイナル第1戦
シカゴ・ブルズ×ユタ・ジャズ
“The Mailman doesn’t deliver on Sunday” ——スコッティ・ピペン

ピペンがマローンへ放った名フレーズ

 1997年NBAファイナルでは、2連覇を目指すブルズと、フランチャイズ史上初のファイナル進出を果たしたジャズが激突。

 マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピペン、デニス・ロッドマン(いずれも元ブルズほか)という百戦錬磨の勝負師たちに加え、適材適所に有能なロールプレーヤーたちを擁するブルズに対し、ジャズはカール・マローン(元ジャズほか)とジョン・ストックトン(元ジャズ)というリーグ屈指のデュオをジェフ・ホーナセックやブライオン・ラッセル、グレッグ・オスタータグ(いずれも元ジャズほか)といったロールプレーヤーがサポートするチーム力で、ウエスタン・カンファレンスを勝ち上がってきた。

当時リーグ最強のオールラウンダーだったピペンは、攻防両面でブルズ優勝に貢献した[写真]=Getty Images

 ブルズのホーム、ユナイテッド・センターで幕を開けたシリーズ初戦は、両チームによる激しいディフェンスでロースコアの展開になる中、初のファイナルをプレーするジャズが健闘。

 82-82という同点の場面で迎えた終盤。ストックトンが放ったショットが外れると、ロングリバウンドをマローンがもぎ取り、ロッドマンがファウルしてしまう。試合時間残り9.2秒。ジャズの大黒柱マローンにフリースロー2投が与えられた。

 シーズン中における、マローンのフリースロー成功率は75.5パーセント。ここで1本でも決めることができれば、リードすることができるという絶好の場面。

 マローンがフリースローを放つべく、ルーティンをこなしていく。ボールを7回つき、目の前でボールを2回転させ、自らに言い聞かせるようにつぶやきながら、フリースローの態勢に入った。そしてマローンが1投目を放った——。

 コースは悪くなかったものの、リングから押し出されるように弾かれてミス。2投目も、同じような形でリングに嫌われてしまい、なんと2投ともミスという大失態を演じてしまう。

 するとブルズは、タイムアウト明けにジョーダンがブザービータ-でプルアップジャンパーを沈め、劇的勝利を飾った。

 実はマローンがフリースローを放つ前、ピペンは効果抜群のトラッシュトークを言い放っていた。

 「彼の耳元にささやくように『メイルマンは日曜日に配達をしない』と言ったんだ」。

 毎試合、安定してチームへ高得点をもたらすことから、“メイルマン(郵便配達人)”というニックネームが定着していたマローンにとって、ピペンの言葉が精神的な揺さぶりとなってしまったのである。

 もしマローンがフリースローを2投とも決めていたら、試合の結果は変わっていたのかもしれない。

試合終盤というプレッシャーに加え、ピペンによる巧みな術中にはまってしまったマローン[写真]=Getty Images

■2000年NBAファイナル第3戦
ロサンゼルス・レイカーズ×インディアナ・ペイサーズ
“If I did shoot 80 percent, I’d be a harder person to deal with” ——シャキール・オニール

苦手なフリースローをジョークで交わした大男

 2000年NBAファイナル。第2戦までを終えてレイカーズが2連勝とし、ペイサーズのホームで行われた第3戦に、レイカーズはシリーズ初黒星を喫した。

 この試合に91-100で敗れたレイカーズだったが、シャックことシャキール・オニール(元レイカーズほか)は、13投中10本のフリースローをミス。33得点を挙げてはいたものの、フリースローを着実に決めていれば、机上ではレイカーズが勝つことができていた。「どうしてフリースローを極めようとしないのか?」と聞かれたシャックはこう答えていた。

 「物事にはすべてにおいて理由があると思ってる。もし俺が80パーセントもフリースローを決めてしまえば、(完璧すぎて)皆を相手にすることが困難になるかもしれない。このこと(フリースローが不得意なこと)が俺を謙虚なままでいさせてくれるのさ。俺がレジー・ミラー(元ペイサーズ/当時のエース)と同じ成功率をゲームで残したと想像してみてくれ。そうなってしまえば、俺は君たち(記者たち)にでさえ話さないかもしれない。その必要がなくなるからね」。

ファイナルという大舞台、しかもアウェーでは一斉にブーイングを浴びた[写真]=Getty Images

 216センチ147キロの巨体から、シャックはペイントエリアでパワフルかつスピーディーな動きを見せ、リーグを支配していた。レイカーズはこの年のファイナルでペイサーズを4勝2敗で下して優勝を勝ち取ったのだが、ファイナルMVPに輝いたシャックは別格だった。シリーズ平均38.0得点16.7リバウンド2.7ブロック、フィールドゴール成功率61.1パーセントという圧巻のパフォーマンスを見せていた。

 ところが、フリースローに関しては成功率わずか38.7パーセント。1試合平均15.5本も放ちながら、平均6.0本しか決めることができなかった。対するミラーは、リーグ屈指の名シューターだけあって、初出場となったファイナルで46投中45本も成功させ、97.8パーセントという驚異的な確率をマーク。

 ペイサーズ側からすれば「ふざけるな」と文句を言いたくもなるが、それをジョークに変えてしまうシャックのキャラクターは、記者をはじめ、テレビ局などのメディアをおおいに喜ばせた。

独特の世界観で面白コメントを連発したシャック[写真]=Getty Images

■2008年NBAファイナル第6戦
ボストン・セルティックス×ロサンゼルス・レイカーズ
“Anything Is Possible!!!” ——ケビン・ガーネット

キャリア13季目で悲願の初優勝を果たしたKG

 2007年オフ。ミネソタ・ティンバーウルブズで12シーズンをプレーしてきたKGことケビン・ガーネット(元ウルブズほか)が、7(5選手とドラフト指名権2つ)対1という超大型トレードでボストン・セルティックスに移籍。

セルティックスの守護神、かつ精神的支柱として君臨したガーネット[写真]=Getty Images

 04年にはシーズンMVPを獲得し、平均20得点10リバウンド5アシストを計算できるリーグ最上級のビッグマンだったKGは、セルティックスで生え抜きのポール・ピアース(元セルティックスほか)、レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか)と共に“ビッグ3”を形成。07-08シーズンをリーグトップの66勝16敗で駆け抜けた。

 08年のプレーオフでは、苦しみながらもイースタン・カンファレンスを制し、レイカーズとのファイナルを迎えた。ホームで行われた最初の2戦に連勝し、アウェーの第4戦では第1クォーター終了時に21点ビハインドを背負うも、ピアースを中心に反撃し、見事逆転勝利。3勝2敗で王手を懸けたセルティックスは、ホームで行われた第6戦で鉄壁ディフェンスを見せつけて39点差の圧勝。KGはキャリア13シーズン目にして初優勝となった。

 感極まったKGはマイクに向かって、“Anything Is Possible!!(不可能なんてないんだ!)”と大声を張り上げたことを覚えている人もいるだろう。

 主にディフェンス面でチームの屋台骨となり、毎試合ハードなプレーを続けてきたKG。エゴのない、アンセルフィッシュなチームへと変貌したセルティックスは、大型補強からわずか1年でフランチャイズ史上17度目の優勝を飾ったのである。

 ちなみに、その頃アディダスと契約を結んでいたKGは、自身のシグニチャーシューズを着用していた。当時のスローガンは“Impossible Is Nothing”。KGが言い放ったフレーズと全く同じ意味のフレーズで、自身の初優勝を盛大にアピールしていた。

4勝2敗でキャリア初優勝を達成し、喜びを爆発させたガーネット[写真]=Getty Images

■“Ball Don’t Lie!!!” ——ラシード・ウォーレス

暴言王ラシードのシグニチャーフレーズ

 ラシード・ウォーレスは1995年にワシントン・ブレッツ(現ウィザーズ)から1巡目全体4位でドラフト指名され、ブレッツ、ポートランド・トレイルブレイザーズ、アトランタ・ホークス、デトロイト・ピストンズ、ボストン・セルティックス、ニューヨーク・ニックスと渡り歩き、キャリア16シーズンをプレー。

 211センチ102キロという恵まれたサイズから、ウォーレスはポストプレーにフェイドアウェイ・ジャンパー、3ポイントシュートまで決める高いシュート力を誇り、ディフェンダーとしてもキャリアを積むごとに評価を高めていった万能型ビッグマンだった。04年にはピストンズの主力として優勝も経験し、4度のオールスター選出経験を誇る。

試合終盤でも長距離砲を決める勝負強さを誇ったラシード[写真]=Getty Images

 しかしながら、ウォーレスは一度コートに足を踏み入れるとあふれんばかりの情熱が前面に出てしまい、つい暴言を吐いてレフェリーからテクニカル・ファウルや退場処分を受けることが多々あった。エース格でありながら、プレーオフの大切な試合でテクニカル・ファウルを連発してしまい、退場処分を食らってしまうこともあったのだが、この男を公に激しく批判する者はほとんどいなかった。それは、ラシードがコートを離れると、温厚とまではいかないまでも、比較的おとなしい人間だったからだ。

 そのウォーレスが発した言葉で印象的なフレーズがある。それがここで紹介する“Ball Don’t Lie!!(ボールは嘘をついたりしない!)”である。

 ディフェンス時やリバウンド、ルーズボール争いにおいて、自身がファウルしてもいないのに、レフェリーにファウルをコールされ、マッチアップ相手にフリースローを与えてしまうことがある。これはプレーオフに限らずレギュラーシーズンでもあるのだが、その場面で相手チームの選手がフリースローをミスすると、ラシードはそのたびに“Ball Don’t Lie!!”と大声で叫び、「見ろ、ボールは俺がファウルしていないとわかってるじゃないか!」と言わんばかりにアピールしていたのだ。

 ブレイザーズ在籍時からラシードはこのフレーズを使っており、ニックス在籍時にはこの発言だけでレフェリーからテクニカウル・ファウルを宣告されるほど強烈だった。レフェリーとしては、フラストレーションがたまるものだったのだろう。

試合中は感情の起伏が激しく、レフェリーと口論してテクニカルファウルを宣告されることもあったラシード[写真]=Getty Images

 ここまでくると“口撃面”のインパクトが先行してしまうラシードだが、ピストンズ加入後はチームメートとしての評価が上昇。アンセルフィッシュなプレーとタフなディフェンス、確実性の高いポストプレーなどで04年のピストンズ優勝に大きく貢献。チーム内では“ヴォーカルリーダー”としても活躍していた。

 この男の暴走は、ときに所属チームを勝利から敗北へと突き落としたのだが、チームを活気づけ、勇気を与えていたことも忘れてはならない。

WOWOW NBA チーフプロデューサー 内濱和敏が語るNBAの名フレーズ
「90年代後半のブルズvsジャズは名場面だらけでしたね。『メイルマンは日曜に配達しないだろ』ってオシャレ。今では反則となるトラッシュトーク時代が懐かしいです。NBAは規格外の選手だらけだったので、当時小柄なアレン・アイバーソンの存在は衝撃的でした。『体のサイズは関係ない、ハートのサイズが大切なんだ!』という彼の言葉通り、コービー&シャックを擁する無敵のレイカーズ陣へ果敢に切り込んでいく姿はカッコ良かったです」。