ドンチッチのコートビジョンに衝撃を受けた大ベテラン
今年のドラフト1巡目5位で、ダラス・マーベリックスはトレイ・ヤングを指名すると、将来のドラフト指名権を付けてアトランタ・ホークスが3位で指名したルカ・ドンチッチとトレードした。
ヤングは昨季のNCAAで得点とアシストの2冠を獲得したガードなのに対して、ドンチッチはスロベニア出身のオールラウンダー。さらには昨季のユーロリーグでMVPを獲得し、レアル・マドリードを優勝へと導くと、19歳という史上最年少でファイナル4のMVPにも輝いた。
ドンチッチは今年のラスベガス・サマーリーグには出場していないものの、新人王予想で上位に入るなど、NBAデビュー前から大きな話題を集めている逸材である。
そんな中、マブスでキャリア21年目を迎える40歳の大ベテラン、ダーク・ノビツキーがドンチッチについてコメントしていたので紹介したい。
9月12日(現地時間11日)、ノビツキーはダラスのラジオ番組『Ben & Skin』に出演し、このように語っていた。
「(19歳の頃)僕は少しショットを決めることができた。でもコートビジョンはまったくと言っていいほど持ち合わせていなかった。その点、彼(ドンチッチ)は判断力もゲームに持ち込むことができるんだ。ピック&ロールでチームメートをリードすることができるんじゃないかな。もしディフェンダーが下がればショットを決めることができるだろう。彼はきっと、見ていて楽しい選手になると思う」。
201センチのドンチッチは、ボールハンドリングにたけているだけでなく、シュート力も兼備しているため、ポイントガードを務めつつ、時間帯によってはスコアラーとして活躍するシーンもあるかもしれない。
自身の経験を活かし、NBAで適応できるようサポートすると語ったノビツキー
もっとも、ユーロリーグや国際大会で経験を積んでいるとはいえ、ドンチッチはまだ19歳。異国の地で一気にスターダムを駆け上がることができるかは、現時点ではさすがに未知数だろう。
ノビツキーも自身の体験を思い出し、NBAデビューとなった1998-99シーズンについてこう振り返っていた。
「もちろん、彼に対して過剰にプレッシャーを与えるようなことはしたくない。僕は今から約20年前、彼と同じように異なる国からアメリカにやって来た。当時、僕はいろんなことにアジャストしなければならなかったからタフだったよ。また一つ新たな文化に触れ、これまでとは異なるゲームにプレースタイル、コーチングにアジャストしなきゃいけない。僕はそのアジャストに1年かかったんだ。キャリア最初のシーズンは本当にタフだったんだ」。
ノビツキーのルーキーシーズンは、ロックアウトによって50試合の短縮シーズンとなったのだが、47試合(うち先発は24試合)に出場し、平均20.4分8.2得点3.4リバウンド1.0アシスト。フィールドゴール成功率は40.5パーセントで、3ポイントシュート成功率にいたっては、わずか20.6パーセントに終わっていた。
ドンチッチにとっては、自身と同じような境遇でNBA入りしてきた大先輩(ノビツキー)がいることは心強いはず。ノビツキーはこう続けていた。
「僕らは彼が成長できるように、できることならなんでもサポートしていくつもりだ。2、3年でベストな彼を見ることができるようにね。ただ、彼には信じられないほどすばらしい才能があるんだ」。
現在はダラスでスクリメージを行っているというドンチッチ。ノビツキーはドンチッチが繰り出すピック&ロールを絶賛しており、特に視野の広さに驚いているという。
今夏、マブスにはインサイドで豪快なフィニッシュを決めるディアンドレ・ジョーダンも加わり、魅力的なロースターになった。驚異的な身体能力を誇るデニス・スミスJr.やハリソン・バーンズらと共に、ドンチッチが今季どのようなプレーで魅せてくれるのか、楽しみでならない。