2018.12.18

殿堂入りセンター、ムトンボの“フィンガーワッグ”を継承するジョエル・エンビード

今年1月のグローバルゲームズで共演したムトンボ(左)とエンビード(右)[写真]=Getty Images
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ブロック数で歴代2位を誇るリーグ史上有数のリム・プロテクター

 1990年代から2000年代後半にかけて、リーグ屈指のリム・プロテクターとしてペイントエリアに君臨していたビッグマンがいた。

 男の名はディケンベ・ムトンボ(元アトランタ・ホークスほか)。218センチ111キロという身体に長い腕、そして絶妙なタイミングを武器に、ムトンボはペイント内で得点やリバウンド、そしてブロックショットを量産。

ブロックを決めた後、観客席に向けて“フィンガーワッグ”を繰り出したムトンボ[写真]=Getty Images

 キャリア18シーズンで史上最多タイとなる4度の最優秀ディフェンシブプレーヤー賞獲得をはじめ、ムトンボは8度のオールスター選出、6度のオールディフェンシブチーム選出(うち3度はファーストチーム)、3度のオールNBAチーム選出を果たし、15年にバスケットボール殿堂入りしている。

 ムトンボは主にディフェンシブセンターとして活躍。通算3度のブロック王、2度のリバウンド王に輝いており、通算3,289ブロックはNBA歴代2位、通算1万2,359リバウンドはNBA歴代20位という素晴らしい実績を残した。

 そのムトンボで印象的なのは、ブロックを決めた後に人差し指を左右に動かす“フィンガーワッグ”。リーグ入り当初は相手選手に向けて繰り出していたものの、後に挑発行為とみなされ、テクニカルファウルをコールされるようになると、観客席に向けて繰り出して盛り上げていた。

オラジュワンの万能性とムトンボのエンターテインメント性を兼備する男

 09年を最後にムトンボは現役を引退したのだが、現役選手でもこの“フィンガーワッグ”の使い手がいる。フィラデルフィア・セブンティシクサーズが誇るオールスタービッグマン、ジョエル・エンビードだ。

 コンゴ民主共和国出身のムトンボと、カメルーン出身のエンビード。「NBAアフリカゲーム」でも共演したアフリカ出身のビッグマンは、ジェスチャーで魅せる点や話好きな点で似ている部分がある。

 今年11月、ムトンボはエンビードについて、現地メディア『TMZ Sports』へこう語っていた。

 「彼は現代において、ベストなビッグマンの1人。私は彼のことが大好きなんだ。ほんの少し私の要素を備えた、次代のアキーム・オラジュワン(元ヒューストン・ロケッツほか)さ。だから私は、彼にフィンガーワッグを教えているところなんだ」。

シクサーズの守護神として君臨するエンビードの“フィンガーワッグ”[写真]=Getty Images

 キャリア3シーズン目を迎えたエンビードは、12月17日(現地時間16日)終了時点で平均34.2分26.9得点13.4リバウンド3.6アシスト1.9ブロックを記録。得点、リバウンド、アシストの主要3項目は自己最高ペースで、フリースロー試投数(平均10.2本)では昨季の平均7.4本を大きく上回る成績を残している。

 シクサーズのリム・プロテクターとして、たびたび豪快なブロックをお見舞いするエンビードは、ムトンボ直伝の“フィンガーワッグ”を時折見せている。

 先日、『ESPN』の“The Jump”に出演したムトンボは、自身のシグニチャージェスチャーをエンビードが披露していることについて、「彼には使わせているんだ。あれは私のことを有名にしてくれるものだから」と上機嫌にコメントしていた。

 攻防兼備のエンビードは、ムトンボというよりも、どちらかといえばオラジュワンに近いプレースタイルの選手。だがもともとジェスチャーやコメントでも周囲を楽しませる面を持ち合わせており、その点はムトンボに似ていると言っていいだろう。

 今後も、エンビードが相手チームの得点を帳消しにするブロックをさく裂すれば、ムトンボ仕込みの“フィンガーワッグ”を得意げに見せてくれるに違いない。

リーグ有数のリム・プロテクターとして知られるエンビード。今後もムトンボ直伝のジェスチャーを繰り出すことだろう[写真]=Getty Images

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