2019.02.14

ドラフト最下位から球宴へと躍進したアイザイア・トーマス/オールスター特別企画④

2016、17年にオールスターへ出場したトーマス[写真]=Getty Images
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2月18日(現地時間17日)にノースカロライナ州シャーロットのスペクトラム・センターで行われる「NBAオールスターゲーム2019」。オールスターの出場選手が発表され、開催が刻一刻と近づいてきている。そこでバスケットボールキングでは、68回目となるオールスター出場選手紹介に加え、オールスターにまつわる記録や大盛り上がりしたイベント、印象的なゲームや選手なども順次お届けしていく。

<オールスター特別企画④>
ドラフト最下位指名から球宴の舞台へと躍進したアイザイア・トーマス

キングスでNBAデビュー、3季目で平均20得点の大台を突破

 今年のオールスターでは、Gリーグ出身でキャリア7年目のクリス・ミドルトン(ミルウォーキー・バックス)、8年目のニコラ・ブーチェビッチ(オーランド・マジック)が初のオールスターに選出され、これまでの苦労を語りつつ、満面の笑顔を見せた。オールスターの常連選手ともなれば、キャリア2、3年目あたりに初選出され、ほぼ毎年オールスターの舞台に立つケースが多いのだが、NBA選手全員がその道をたどることができるわけではない。

 そこで今回紹介したいのは、2016年にオールスター入りしたアイザイア・トーマス(現デンバー・ナゲッツ)だ。11年のドラフト最下位(2巡目全体60位)でサクラメント・キングスに指名されたトーマスは、NBAで最も小柄な部類に入る175センチの小兵。

ドラフト最下位指名のトーマスは、ルーキーシーズンから開幕ロースターを勝ち取り、NBAキャリアをスタートさせた[写真]=Getty Images

 持ち前の明るいキャラクターとは裏腹に、筋骨隆々の肉体を持つサウスポーのスコアリングガードは、キャリア最初の3シーズンをキングスでプレー。13-14シーズンには平均20.3得点6.3アシストという好成績を残し、14年夏にフェニックス・サンズへと移籍した。

 14-15シーズンのサンズは、トーマスだけでなくエリック・ブレッドソー(現バックス)、ゴラン・ドラギッチ(現マイアミ・ヒート)というポイントガードをロースターにそろえ、3人体制を敷いて臨んだ。

 もっとも、この3人体制はうまく機能せず、15年2月20日(同19日)にドラギッチがヒートへ、トーマスはセルティックスへトレードとなり、1シーズンを待たずにそれぞれが新たな道を歩むこととなった。

セルティックスでチャンスをモノにし、キャリア5年目で念願のオールスターへ

 だが、セルティックスに加入したトーマスにとって、このトレードがキャリアの分岐点となった。シックスマンとしてプレーした21試合で、トーマスはチームトップの平均19.0得点に5.4アシストをマーク。出場した試合でチームを14勝7敗(オールスター以降はチーム全体で計20勝11敗)へと導き、プレーオフ出場を果たす原動力に。

 迎えた15-16シーズン。トーマスは開幕4試合目から先発へと昇格し、セルティックスのトップスコアラーとして躍動。12月に平均20.9得点7.7アシストを挙げると、1月にはその数字を平均22.7得点6.2アシストへと伸ばし、エースに定着。

 すると各チームのヘッドコーチたちによる投票で、オールスターのリザーブ入りを果たした。発表当日、正式な発表は夜だったにもかかわらず、複数の現地メディアがトーマスのオールスター選出をリポートし、早くも話題になったのである。

 「僕は嘘をつくつもりはない。(最下位指名という屈辱に終わった)ドラフトは終わったんだ」と現地メディア『Mass Live』へ語ったトーマス。すると自信たっぷりにこう続けた。

 「僕がオールスター入りしたことは重要だ。僕はこれまで、すごくハードに練習し、自分のスキルを磨き上げてきた。僕個人だけでなく、チームとしてもね。僕らはチームとしても勝利を収めており、イースト5位にいる。チームとしてハイレベルなプレーができているんだ。僕は今後も努力を続けて、前進し続けていく」。

 5フィート10インチ(178センチ)以下の選手として、1979年のカルビン・マーフィー(元ヒューストン・ロケッツ)以来のオールスター選手となったトーマスは、ベンチスタートで約19分プレーし、9得点3リバウンド1アシスト1スティールを残した。

ドラフト最下位指名という屈辱から約5年後、トーマスは球宴の舞台に立った[写真]=Getty Images

ナゲッツでリーグ3位の平均得点を残した一昨季の姿を取り戻せるか?

 スコアラーとして凄みを増したトーマスは、オールスター期間中に「僕は誰が相手であろうと恐れたりはしない。僕のスピードとクイックネスを持ってすれば、どこへでも向かっていくことができるし、ボールがリムへくぐり抜ける方法を見つけ出すことができる。僕は今、そのレベルに達したんだ」と複数の現地メディアへ語り、自慢のスコアリングについて言及。

 確固たる自信を得たトーマスは、翌17年にもオールスター入りし、4本の3ポイント成功を含む20得点に3アシストを記録した。16-17シーズンはキャリアベストとなる平均28.9得点(リーグ3位)をたたき出し、名実共にリーグ屈指のスコアリングガードとしての地位を確立した。

17年のオールスターゲームでは20得点をマークし、リーグ有数のスコアラーとしての実力をアピール[写真]=Getty Images

 クリーブランド・キャバリアーズとロサンゼルス・レイカーズに所属した昨季は、一昨季に負った股関節のケガに苦しみ、不完全燃焼に終わったトーマス。心機一転を図るべく、昨夏はキングス在籍時の恩師マイク・マローンHCが指揮するナゲッツと1年契約を締結。

 長かったリハビリとトレーニングを経て、トーマスは2月14日(同13日)のサクラメント・キングス戦で復帰を果たす。昨年3月下旬に股関節の手術のためシーズンを終えたトーマスにとって、約1年ぶりの公式戦出場となる。

 2月13日(同12日)終了時点でウエスタン・カンファレンス2位(38勝18敗)のナゲッツにとって、ベンチから得点力とリーダーシップをもたらすトーマスの存在は、今後のプレーオフ出場争いとプレーオフを戦い抜くうえで、貴重な武器となるに違いない。

 「僕はただ、このチームの一部になりたい。そして自分が手助けできることをして勝利をもたらしたい」と『NBA.com』へ語ったトーマス。昨年まで2年連続で1勝差に泣いてプレーオフ出場を逃してしまったナゲッツで自らの役割を遂行し、再び輝きを取り戻してほしいと願うばかりだ。

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