2019.06.24

ステフィン・カリーが今後のキャリアについて言及「来年以降も勝ち続けていきたい」

笑顔を交えながら現在の心境について語ったカリー[写真]=兼子愼一郎
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「『もう終わりじゃないか』と言う人がいますが、そんなことは絶対させない」

 6月23日、国際基督教大学(東京都三鷹市)で行われた「Underrated Tour, powered by Rakuten」(以降、「Underrated Tour」)へ登場したステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)が、メディアセッションで今季や現状について自身の想いを語った。

 カリー擁するウォリアーズは、今季NBA史上4チーム目となる3連覇を目指してNBAファイナルまで勝ち上がったものの、トロント・ラプターズとのシリーズに2勝4敗で敗れて長かったシーズンを終えた。

 今季について、カリーは「本当に、すばらしいシーズンだったと思います。実際、5年連続でファイナルに出場したことは1960年代以降では初のことですので。最後負けてしまった時はがっかりしました。ただ、我々が1年を通してやってきたことに対して本当に誇りに思っています」と振り返ると、来季以降もチャンピオンシップを勝ち取るべく、プレーしていくと言及。

「我々のストーリーというのは、今後も続いていきます。多くの人が『もう終わりじゃないか』と言っていますが、私が絶対にそんなことはさせない。また戻ってくることを楽しみにしていますし、来季以降もさらにチャンピオンシップを求めていきます」。

3連覇を逃したウォリアーズとカリー(中央)[写真]=Getty Images

 ウォリアーズは今夏、ケビン・デュラントがプレーヤーオプションを破棄すれば制限なしフリーエージェント(FA)、クレイ・トンプソンデマーカス・カズンズケボン・ルーニーらが制限なしFAになるだけでなく、来季の契約がチームオプションのショーン・リビングストンは引退する可能性があるため、ロースターが大きく変わる可能性が高い。

「身体にせよ、我々の精神面にせよ、まずはそこを回復させることからスタートしなければいけないと思っています。新しいチームメートも多分入ってくるでしょうし、高いレベルで戦うということを考えて、やっていきたいと思っています」とカリーは語っていたのだが、ファイナル終了からわずか1週間だったこともあり、「まだ焦らずに、まずは今回の東京への訪問を楽しんで、また9月から頑張っていきたいと思います」と口にしていた。

 カリーはプレーオフに過去7年連続で出場、ファイナルには5年連続で進出している。5年連続というのは1950年代から60年代にかけて8連覇を達成したボストン・セルティックス以来、約半世紀ぶりの快挙。その点で見れば、今季カリーとウォリアーズが成し遂げた記録は驚異的と言っていい。

 だからこそ、今は来季に向けてリフレッシュする時間と見ているのだろう。

 ちなみに、2年連続通算3度目となった日本について聞かれると、カリーは「本当に、日本の皆さんのことを大好きになりましたし、この街が大好きになりました。毎回、ここへ来て思うんですけど、移動する際に車の窓から見える街の風景を楽しみにしていますし、日本を楽しんでいます」と語り、好印象を持っていることを明かした。

 そして、「できれば、来年はオリンピックのためにまたここに帰ってきたいと思っています」と来年のゴールの1つに「東京オリンピック2020」へ出場することを挙げていた。

「私はこれまで、ワールドカップで2度、アメリカ代表としてプレーしたことはありますが、オリンピックではまだプレーしていません。過去に出場したことがある人たちからは、オリンピックでプレーすることはほかとは比べることができないほどの経験だと聞いています」と語っていることから、来夏カリーがアメリカ代表の一員としてオリンピックでプレーする可能性は十分ありそうだ。

カリーが2020年にアメリカ代表へ選出されれば、2014年以来となる[写真]=fiba.com

選手として進化していくこととゲームへの適応を理想像に挙げたカリー

 今季でキャリア10年目を終えたカリーは、3度の優勝や2度のシーズンMVPなど数多くの勲章を手にしてきた。そして自慢の3ポイントではキャリア平均43.6パーセントという高確率で平均3.6本も沈めている。

 通算成功数で見ても、プレーオフ(470本)とファイナル(121本)で歴代最多。レギュラーシーズンでは今季終了時点で2,483本に到達しており、レジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ/2,560本)の記録まで残り77本と射程圏内に迫っている。長期欠場がないかぎり、来季中に歴代2位へ浮上することは確実だろう。

 かつてアメリカの子どもたちがマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)に憧れたように、今ではカリーを目標に、多くの子どもたちが3ポイントを磨いている。カリーは31歳にしてNBA史上、唯一無二の選手としての地位を確立したと言っていい。

 では、そのカリーが思い描くベストプレーヤー像、あるいは理想像とはどんな選手なのか。そう聞かれたカリーは「私と言っていいかもしれませんね」と切り出したのだが、“現状維持=衰退”と認識しているかのように「選手としては、シュートを決める必要がありますし、パスもうまくなければいけません。ディフェンスもできなければいけません。そして常に改善する、常に向上していくということも求められてくると思います」と、進化していくことが必要だと語っていた。

 また、「NBAそのものも変わってきておりまして、以前と比べると3ポイントを放つことが多くなりましたし、(ゲームの)展開も速くなってきていると思います。いろんなポジションでプレーする選手も出てきていると思います」と口にしていた。

3ポイントで対戦相手から恐れられるカリー。シュートに関する一連の流れは美しいかぎりだ[写真]=Getty Images

 常に変化していくNBAで、自身のプレーを改善あるいは向上させ、ゲームスタイルにアジャスト(適応)していくことを挙げたカリー。選手としてのキャリアは、今後も続いていく。いつか現役を終える日は来るのだが、その時カリーにはどんな称号が与えられるのだろうか。

「史上最高の3ポイントシューター」「3ポイントでNBAの歴史を変えた男」「21世紀に最も成功を収めたウォリアーズのリーダー」「史上有数の勝者」など、カリーのキャリアを振り返ると、その候補はいくつも挙がる。

 今後のキャリアで、カリーがどんな道を歩んでいくのか。もしかするとあと4回優勝して、ジョーダンの優勝回数を超えるかもしれない。あるいは、もう2度と優勝できない可能性も決してゼロではない。だからこそ、今後もカリーが魅せる一挙手一投足に注目していきたい。

文=秋山裕之

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