2019.06.25

キャリア6年目でMVPまで上りつめたアデトクンボ「勝利を重ねたことが大きな要因」

過去40年では史上3番目の若さでMVPを獲得したアデトクンボ[写真]=Getty Images
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「コートに出て、チームが勝利すべくできるかぎりのことをこなしてきた」

 6月25日(現地時間24日)にバーカー・ハンガー(カリフォルニア州サンタモニカ)で行われた『2019 NBAアウォーズ』で、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)が今季の最優秀選手(MVP)に輝いた。

 今季リーグトップの60勝22敗をマークしたバックスからは、アデトクンボのほか、マイク・ブーデンホルザーHC(ヘッドコーチ)が最優秀ヘッドコーチ賞、ジョン・ホルストが最優秀エグゼクティブ賞を受賞。

3つのアウォード賞を勝ち取ったバックス(左からブーデンホルザーHC、アデトクンボ、ホルスト)[写真]=Getty Images

 トロント・ラプターズとのイースタン・カンファレンス・ファイナルを2勝4敗で終えたバックスだが、新たに就任したブーデンホルザーHCとアデトクンボを中心に怒濤の勢いで勝ち進み、すばらしいシーズンを送ったと言っていい。

 そのバックスで、アデトクンボはいずれもチームトップとなる平均32.8分27.7得点12.5リバウンド5.9アシストに加えて、1.3スティール1.5ブロックと大車輪の働きを見せてチームをけん引。

 アデトクンボと共にMVPの最終候補に入ったジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、ポール・ジョージ(オクラホマシティ・サンダー)を上回る得票数を獲得し、ここ40シーズンでは3番目の若さとなる24歳と201日で勝ち取ってみせた。

 MVP受賞後の会見で、記者からいつだってメディア側は選手たちが残したスタッツや特筆すべき数字について語り合っている中、MVPについてどう思っているのかと聞かれたアデトクンボは、「MVPというのはスタッツや数字ではないんだ。スタッツだけで言えば、ジェームズ・ハーデンは信じられないものを残したし、ポール・ジョージもすごかった。でも何よりも重要なのは勝利なんだ」と勝利を強調。

 ロケッツはウエスタン・カンファレンス4位の53勝29敗ながら、ハーデンは2年連続の得点王となる平均36.1得点に加えて、6.6リバウンド7.5アシスト2.0スティールという驚異的な成績。ウエスト6位の49勝33敗となったサンダーのエース、ジョージも平均28.0得点8.2リバウンド4.1アシスト2.2スティールと、軒並みキャリアハイをマーク。平均得点だけで見れば、両選手ともアデトクンボを上回る成績を残しているが、所属チームの戦績を見ればその差は明らか。アデトクンボは続ける。

「チームメートたちとコートに出て、チームが勝利すべく、できるかぎりすべてのことをこなす。それこそが、今季の僕らがチームとしてやってきたことなんだと思ってる。シーズンを通して習慣を作り出し、チームとして一丸となることができたんだ。だからこそ、僕らは毎試合勝利するチャンスを手にすることができ、60試合も勝つことができたんだ」。

会場で男泣きしたアデトクンボ、コービーの言葉がモチベーションだったと言及

 2017年9月末。アデトクンボは父が心臓発作で他界し、苦しい時期もあった。幼少期にはその日の食費を確保すべく、道端で手持ちのものを売って現金に換える生活をするなど、貧しい環境を乗り越え、NBAの最優秀選手という称号を手にしたことは、手放しで称賛すべき人生と言っていい。

 もっとも、「昨日、家族とも話したんだけど、もし自分が選ばれたとしても、感情的になったりはしないと思ってたんだ」と明かしたアデトクンボだが、「自分の名前を呼ばれて壇上に上がったら、これまでのハードワークやこれまでにやってきたことを思い出して、つい感情的になってしまった」と男泣きを見せていた。

壇上で感情的になってしまい、思わず涙がこぼれ落ちたアデトクンボ[写真]=Getty Images

 また、数年前にアデトクンボは、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)に対して、ツイッターで「僕へのチャレンジ、待ってます」と送り、コービーから「リーグのMVPを勝ち取るんだ」とメッセ―ジをもらったことについて聞かれると、アデトクンボはこう切り返した。

「間違いなく、あれは本当に僕のモチベーションになった。コービーは僕がリーグのMVPになることができる、と言ってくれたんだ。だから僕は、(MVPを)自分のゴールとしなければならなかったから、発奮材料になったよ。あの言葉が自分をより良い選手にしてくれたと思う」。

 ギリシャが誇る211センチ109キロの“規格外の万能戦士”は、今季リーグ最高の選手という評価を手にした。だが練習の虫として知られるアデトクンボは、バックスを優勝へと導くべく、今夏もハードなトレーニングを自らに課し、新たな武器を身に付けて来季を迎えることだろう。

 リーグきっての人気者となり、リーグ有数の実力者へと成長を遂げたアデトクンボのキャリアはまだまだ続いていく。

アデトクンボ(左)の成長に一役買ったコービー(右)。次のチャレンジを伝えるのか?[写真]=Getty Images

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