2019.09.26

ロケッツのマイク・ダントーニHC「日本人選手がNBAに来ることを歓迎しています」

ジャパンゲームズを前に、日本や日本人選手に対する印象を口にしたダントーニHC[写真]=Getty Images
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2006年以来の来日となるダントーニHCは田臥がNBA入りした当時の指揮官

 9月24日。来月さいたまスーパーアリーナで開催されるトロント・ラプターズとのジャパンゲームズに先駆けて、ヒューストン・ロケッツのマイク・ダントーニHC(ヘッドコーチ)の合同電話インタビューが行われた。

 ロケッツは一昨季にリーグベストの65勝17敗、昨季もウェスタン・カンファレンス4位の53勝29敗を挙げたリーグ有数の強豪チーム。今夏はラッセル・ウェストブルックというリーグきってのポイントガードをロースターに加え、ジェームズ・ハーデンとの“MVPデュオ”を形成。ダントーニHCの下、今季もロケッツは優勝候補の一角として挑むこととなる。

 トレーニングキャンプが間近に迫る中、ダントーニHCは「シーズンが開幕するということで、チームのテンション自体がすごく高いです。今回、こうして東京(日本)で試合できるということを非常に楽しみにしています。(日本へ)行ったことのない選手たちにとっても、(ジャパンゲームズは)いい経験になるのではないかと思っています」と口にした。

 ダントーニHCは現役時代、カンザスシティ・キングスやサンアントニオ・スパーズでプレー後、イタリアへと渡って活躍。その後イタリアのチームでコーチングキャリアをスタートさせた。

 1990年代後半からアシスタントコーチ(AC)としてデンバー・ナゲッツに加入すると、ナゲッツやフェニックス・サンズ、ニューヨーク・ニックス、ロサンゼルス・レイカーズ、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ(アソシエイトHC)でコーチを務め、2016-17シーズンからロケッツの指揮官に就任し、今季で4シーズン目を迎える。

 また、アメリカ代表のコーチングスタッフとして、日本で行われた「FIBAバスケットボール世界選手権」(現ワールドカップ)では“コーチK”ことマイク・シャシェフスキーHC(元アメリカ代表HC/デューク大学HC)の下で同代表を3位に導く手助けをしてきた経験を持つ。

「私としては2006年を最後に日本には行っていないんですが、本当にすばらしい街で、楽しみです」と当時を振り返るも、「今回はビジネストリップということで、(チームとして)一緒にいる時間がほとんどになると思います。チームの中におけるカルチャーをしっかり作り上げて、全員で東京を経験できることを楽しみにしています」と気を引き締めた。

 ダントーニHCと日本には、06年の世界選手権だけでなく、もう1つの結びつきがある。04年にサンズの一員として開幕ロースターに入り込み、日本人史上初のNBA選手となった田臥勇太宇都宮ブレックス)を当時コーチしていたのが、ほかならぬダントーニHCだった。「私はサンズ時代に、田臥勇太のことをコーチしていました。当時、彼は本当にすばらしい選手だったことを覚えています」と明かしてくれた。

2006年に日本で行われた世界選手権より。ダントーニHC(左)はコーチK(中央)の下でコーチを務めていた[写真]=Getty Images

「新人ですが、しっかりと活躍していくことができるでしょう」と八村にも期待

 昨季は渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ/2ウェイ契約)が日本人史上2人目となるNBAデビュー。今季は今年のドラフト1巡目9位でワシントン・ウィザーズから指名された八村塁が開幕からローテーション入りすることが期待されており、先日ダラス・マーベリックスとトレーニングキャンプの契約を結んだ馬場雄大にも、今季NBAのコートに立つチャンスがあることは、日本のバスケットボール界にとってとても明るい兆候となっている。

 レギュラーシーズンで対戦した渡邊、今夏のサマーリーグでロケッツと対決した馬場について聞かれたダントーニHCは「正直、そこまで詳しくは知らないんですけど、当然(彼らのことを)見てはいますし、覚えてもいます。ただ、しっかりとどういう選手なのかを評価するのは、どちらかというとスカウトの仕事なので、彼らに任せています。ですが、私は日本人選手たちがNBAに来ることをとても歓迎しています」と返答。

 八村についても「とても才能のある選手だと思っています。NBAのルーキーというのは毎年大変なところがあるんですけど、彼はしっかり活躍していくことができると楽しみにしています」と期待を寄せていた。

ウィザーズで先発入りも期待されている八村[写真]=Getty Images

 アメリカだけでなくイタリアでプレーするなど、選手として複数の国でバスケットボールキャリアを積み、さまざまな環境でコーチを務めてきたダントーニHCは「今後こうやって日本人に限らず、世界中の選手たちがこうしてNBAに集まってくることは非常にいいことだと思っています」と電話を通じて語っていた。

 ロケッツにもスイス出身のクリント・カペラやタボ・セフォローシャ、カナダ出身のアンソニー・ベネット、オーストラリア出身の新人ウィリアム・マクドーウェル・ホワイトがおり、ロースターの国際化が進んでいる。

 約1か月後に開幕する今季のレギュラーシーズンで、ダントーニHCが指揮するロケッツが八村や渡邊と対戦する機会があれば、ぜひともその感想を聞いてみたいところだ。

文=秋山裕之

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