「平均30得点するとは言ってない。でも僕はハイレベルなプレーができるんだ」
今夏ワシントン・ウィザーズと1年契約を結んだアイザイア・トーマスは、ワークアウトをしていた9月中旬に利き手である左手親指の外側側副靭帯を断裂してしまい、開幕に出遅れてしまった。
それでも、開幕3試合目となった10月27日(現地時間26日)のサンアントニオ・スパーズ戦で戦列復帰。ベンチスタートで19分37秒のプレータイムながら16得点5アシストと、ウィザーズは黒星を喫したものの、初戦としては及第点を与えられる活躍を見せていた。
その後も2ケタ得点を連発したトーマスは、11月5日(同4日)のデトロイト・ピストンズ戦からスターターに昇格。この試合は9得点に終わったものの、2リバウンド6アシスト1スティール1ブロックをマークして勝利に貢献。
14日(同13日)に行われた古巣のボストン・セルティックス戦では、約33分をプレーして18得点7アシスト。フィールドゴール14投中7本(うち3ポイントは6投中3本)を成功、フリースロー1本を確実に沈めており、ブラッドリー・ビール(44得点)、八村塁(21得点)に次ぐチーム3位の得点を挙げている。
セルティックス在籍時、トーマスはオールスターに2度も選ばれ、2017年にはオールNBAセカンドチーム入りと、リーグ有数のスコアリングガードとして活躍。その後は股関節のケガに悩まされ、苦しい時間を過ごしてきたが、今季は久々にスコアリングマシンとして活躍を見せている。
今季のトーマスは7試合を終えて平均24.1分13.9得点2.0リバウンド6.3アシスト。ビールに次ぐ2、3番手のオプションとして、175センチのトーマスはフィールドゴール成功率44.0パーセント、3ポイント成功率38.5パーセント、フリースロー成功率100パーセントを残しており、上々の働きと言っていい。
もっとも、トーマスが現状で満足することはありえない。14日(同13日)に地元メディア『The Washington Post』へ掲載された記事の中で、トーマスはこう語っている。
「僕ならば、再びオールスターになれる。オールNBAチームにも入ることができると分かってる。別に平均30得点するとは言ってない。それができるかも分からないけどね。でも僕はハイレベルなプレーができるんだ。そうすることによって、リーグの中でもベストなガードの1人になりたい。僕にはそれができると分かってるよ」。
今後トーマスが徐々にリズムをつかみ、個人成績をさらに伸ばすことができれば、スタッツ上ではリーグ有数のスコアリングガードとしての評価を取り戻すことができるだろう。
だが現実として、今季オールスターに選出される可能性があるかと聞かれると、限りなく低いと言わざるをえない。オールスターのファン投票でリーグ上位に入ればその可能性が残るものの、ヘッドコーチによるリザーブ投票では各カンファレンスのプレーオフ圏内(8位以内)に入っているチームの選手に投票が集まる傾向にあるからだ。
はたして、復活を遂げた小兵トーマスは、リーグ下位に沈むウィザーズへ勝ち星をもたらすことができるのか。今後のトーマスのパフォーマンスに期待したい。