2020.02.20

八村塁がルイ・ヴィトン、ディオールのデザイナーとジョーダンのイベントに参加

ジョーダン・ブランドの顔としてNBAオールスターウィークエンドでも様々なイベントに参加した八村塁 [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

「NBAオールスター2020」の週末、シカゴは今年一の盛り上がりを見せた。それもそのはず。前回この地でオールスターゲームが実施されたのは、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)がMVPを受賞した32年前の1988年にまで遡る。久しぶりの祭典ということもあり、舞台のユナイテッド・センター(イリノイ州シカゴ)は終日満員御礼。しかし、期間中は周辺各所でも「NBAオールスター2020」に付随した非公式のオフコートイベントが催された。

 そのひとつが、ジョーダン・ブランド主催の「HUB23」だ。シカゴ・パブリック・リーグ(CPL)の開催地としても利用されているジェネラル・リチャード・L・ジョーンズ・アーマリーで行われた「HUB23」では、NBAオールスターゲームのシカゴ凱旋を祝し、地元出身の才能溢れるクリエイターたちとのコラボレーションが発表された。同時に、ジョーダン・ブランドから教育や奨学金制度などのサポートを受ける「ジョーダン・ウイングス」プログラムの学生のために、パネルディスカッションを開催。そこに、ライジングスターズチャレンジ出場からまもない、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)が登壇した。

 驚くべきは、八村が一緒にディスカッションをしたメンバーだ。一人は、ナイキとのスニーカーコラボでストリートを騒がせるオフホワイトのデザイナー、ヴァージル・アブロー。彼は新時代の旗手として現代のクリエイティブシーンを牽引し、黒人として初めてルイ・ヴィトンのデザイナーに起用された人物である。また、この空間にはディオールのデザイナーを務めるキム・ジョーンズも同席。彼は前述のヴァージルも一目置く世界トップクラスのデザイナーであり、発売が待望されているディオール×エア ジョーダン 1の仕掛け人でもある。すなわち、八村は現代のメンズファッション界を動かす重鎮たちとともに椅子に腰かけ、若者たちに向けて未来へのヒントを投げかけたのだ。

 ディスカッション内では、さまざまなインスピレーションや刺激が飛び交った。ヴァージルは、「君たちの座っている椅子は、僕たちが座っている椅子よりも価値がある。なぜなら、若い世代というのは君たちが想像している以上のエネルギーを秘めているからね」と語り、一方のジョーンズは「自分のスタイルを広げてみるべきだと思います。大きなリスクを取ることを恐れないでね」と若者の背中を押した。そして、ジョーダン・ブランドは八村の印象的なコメントとして、以下のメッセージを公式Twitterで紹介している。

「全てがカルチャーだと思ってください。みんながどのようにバスケットボールをするかは、何を着るか、どんな音楽を聴くかに関係しているんです」

 オフホワイトやディオールの洋服を着ても3ポイントシュートの確率が上がることはなく、流行りのヒップホップを聞いてもハンドリングが向上することはないだろう。しかし、新しいバスケットシューズを下ろす時、気持ちが高揚する感覚を誰もが一度は感じたことがあるはずだ。八村の言葉も直接的ではなくモチベーショナルな意味合いであり、噛み砕くと「ライフスタイル=バスケットボール」ということではないだろうか。それは日々の行いや規則的な生活はもちろんのこと、クールなものに触れればコート上での感性が研ぎ澄まされ、聴く音楽がアグレッシブなプレー可能にする、ということかもしれない。

 また、プロになること、ひいてはプレーすることが全てではない。なぜなら、バスケットボールほど他のカルチャーと密接な関係にあるスポーツは存在しないからだ。そういう観点から、バスケットボールをひとつの競技として捉えるのではなく、さまざまなエッセンスが相互作用を起こすひとつのカルチャーとして捉え、「HUB23」に凝縮されたようなオフコートのコンテンツにも目を向ければ、バスケットボールが今よりも一層楽しめるのではないだろうか。

文=Meiji

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