2020.03.18

デローザンがスパーズ退団を検討? 新天地候補は再建が期待される2つの球団

退団が噂されるスパーズのデローザン[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 デマー・デローザンは、2シーズンを過ごしたサンアントニオ・スパーズでの現状に満足がいっていないようだ。

 スパーズの事情に深く精通する『CNBC』のスポーツジャーナリスト、ジャバリ・ヤング氏は、先週金曜日に放送されたラジオ番組「ESPN San Antonio」に出演。そこで、デローザンの現状に言及し、「彼は球団に不満を抱いている」と発言したのだ。

 これを機に、彼のスパーズ加入までを振り返ってみたい。2009年に全体9位でトロント・ラプターズにドラフト指名されたデローザンは、フランチャイズプレーヤーとしてチームとともに成長を続けてきた。盟友カイル・ラウリーが加入してからはレギュラーシーズンで目覚ましい成績を残し、2016年には愛すべきチームのサラリーキャップを優先するべく、自身を犠牲にして新契約を締結。しかし、2018年のプレーオフでクリーブランド・キャバリアーズにスイープされたことをきっかけに、ラプターズはチーム改革に踏み切る。同年、年間最優秀監督賞を受賞したドウェイン・ケイシーを解雇し、さらにカワイ・レナードとのトレードでデローザンを放出。結果として翌年にラプターズは悲願の優勝を成し遂げるわけだが、改革の張本人となった球団会長のマサイ・ウジリは、優勝した後にこの決断がどれだけ辛いものだったかをまるで涙を堪えるような口調で公言している。

 一方、新天地で新たなスタートを切ったデローザンにとっては、望んでいた結果がついてきているとは言い難い。コロナウイルスの関係でNBAのレギュラーシーズンは無期限延期になったものの、今季のチームは17試合中4勝しかあげれなかった11月の負け越しが未だに尾を引いて、順位はウェスタン・カンファレンス12位にまで沈んでいる。4度のオールスター出場を誇るスパーズの#10は、1試合平均22.2得点、5.6リバウンド、5.6アシストとシーズンベストの好調を維持しているものの、このままいけば球団のプレーオフ連続出場記録は22シーズンでストップしてしまうだろう。

新天地候補に挙げられる、2つの球団

決して好調とは言えないシーズンを送るスパーズ[写真]=Getty Images

 今年1月中旬には、スパーズがデローザンをトレードで放出するという噂が持ち上がった。しかし、それと時を同じくしてスパーズが同選手に契約延長を申し出るという真逆の可能性も浮上し、NBAファンたちはどちらの噂が真実か、続報が気がかりだったことはずだ。だが、『Yahoo Sports』のクリス・ヘインズ氏も「6月下旬までに契約延長がなければ、デローザンは約29億円のプレーヤーオプションを辞退し、FAになるだろう」と伝えており、方向はシーズン終了後の退団に傾いているのかもしれない。

 そんな彼の新天地候補には、2つの球団が挙げられている。そのひとつが、マイアミ・ヒートだ。今季のトレード期間中、ヒートはデローザン獲得の可能性を模索していたという。また、冒頭に登場した記者のヤング氏は「デローザンと親しい関係にある」としてジミー・バトラーの名前を挙げており、彼の存在がデローザンのヒート加入を後押しすると推測している。

 しかし、デローザンがFAになった場合、今季の補強に失敗したニューヨーク・ニックスもビッグネームの獲得に本腰を入れる可能性があるようだ。ニックスは万年再建が期待されており、最近はスティーブ・ミルズ氏を解雇し、新球団会長にレオン・ローズ氏が就任。ローズ氏は大手代理人事務所である「CAA」バスケットボール部門の共同代表で、これまでレブロン・ジェームズカーメロ・アンソニークリス・ポールといったNBAを代表する選手たちを担当してきた輝かしい経歴を持つ。兼ねてから経営陣に問題があるとされていたニックスだが、今回のテコ入れは球団に大きな変化をもたらすと期待されており、もしデローザンの獲得に成功すれば、RJ・バレットやジュリアン・ランドルらと久しぶりのプレーオフ進出を狙えるようなケミストリーを起こすかもしれない。

 果たして、不遇のスタープレーヤーは2020-21年シーズンをどこで過ごすことになるのだろうか。今後の動向に注目が集まる。

文=Meiji

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