2020.04.02

成績低迷を機にベテランを放出して来季を見据えるピストンズ/2019-20NBA通信簿チーム編⑧

チーム最古参のドラモンド(左)が2月に移籍、主砲グリフィン(右)は膝の痛みによりわずか18試合の出場に終わった[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編⑧デトロイト・ピストンズ

イースタン・カンファレンス(セントラル・ディビジョン)
総合評価:D

■ここまでの戦績
今季戦績:20勝46敗(勝率30.3%/イースト13位)
ホーム戦績:11勝22敗(勝率33.3%)
アウェー戦績:9勝24敗(勝率27.3%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:107.2(24位)
平均失点:110.8(15位)
平均リバウンド:41.7本(30位)
平均アシスト:24.1本(15位)
平均スティール:7.4本(21位)
平均ブロック:4.5本(23位)
オフェンシブ・レーティング:108.8(21位)
ディフェンシブ・レーティング:112.3(22位)

ボールハンドラー役もこなしたケナードの長期離脱も響いた[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:ルーク・ケナード(32.9分)
平均得点:デリック・ローズ(18.1得点)
平均リバウンド:クリスチャン・ウッド(6.3本)
平均アシスト:デリック・ローズ(5.6本)
平均スティール:ブルース・ブラウン(1.1本)
平均ブロック:クリスチャン・ウッド(0.9本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:ジョン・ヘンソン、ブランドン・ナイト(トレード)、ジョーダン・マクレイ
退団:アンドレ・ドラモンド(トレード)、レジー・ジャクソンマーキーフ・モリス(解雇)

ローズは得点面だけでなく、プレーメイクの面でもピストンズをけん引[写真]=Getty Images

グリフィン、ケナードらがケガに見舞われ低迷し、2月にベテラン陣を放出

 主砲ブレイク・グリフィンが開幕から出遅れる中、アンドレ・ドラモンドと新加入のデリック・ローズが軸となり、何とか勝率5割近くを残すも、11月上旬から5連敗。その期間中、グリフィンが戦列復帰したものの、黒星先行が続いてしまう。

 12月に入って5試合で4勝を挙げて巻き返すかと思われたが、中旬から行われた9試合で8敗を喫する不振に陥る悪循環。するとグリフィンは同月下旬から再び戦列を離れ、1月に入って左膝の手術によって無期限の離脱。ピストンズは早くも昨季のチーム得点王を失った。

ケイシーHCのピストンズ2年目は、残念な結末となった[写真]=Getty Images

 一昨季までトロント・ラプターズを指揮していたドウェイン・ケイシーHC(ヘッドコーチ)が就任した昨季、ピストンズはプレーオフ進出を果たし、今季はローズやマーキーフ・モリスといった即戦力を加えることに成功。

 昨夏の来日時、「今シーズンはホームコートでプレーオフを迎えることが目標」とケイシーHCは話していたが、グリフィンに加え、ルーク・ケナードやローズも15試合以上を欠場するなど戦力がそろわず、厳しいシーズンに。

 するとピストンズは、2月に入ってチーム最古参のドラモンドをクリーブランド・キャバリアーズへ放出し、レジー・ジャクソンとモリスを解雇。その一方でロサンゼルス・レイカーズからトレードのオファーがあったローズについては「我々は彼をトレードするつもりはない。ドウェイン・ケイシーHCは彼が好きだ。来年、我々にとって重要な存在になると思っている」と、ピストンズ側が拒否したと『ESPN』が報道。今後シーズンが再開したとしてもプレーオフ進出は絶望的のため、ピストンズは来季を見据えて戦うことになる。

ドラモンド放出後にウッズがオールスターセンターたちを相手に大活躍

 チームが低迷する中、ドラモンドは平均17.8得点15.8リバウンド2.8アシスト2.0スティール1.7ブロックと攻防両面で暴れ回り、ローズもシックスマンとして平均18.1得点5.6アシストと奮戦。第4クォーターで勝負強さを発揮し、貴重な白星をもたらす活躍を見せていたことは十分評価に値するものだった。

 しかし、グリフィンはいずれもキャリアワーストの平均15.5得点にフィールドゴール成功率35.2パーセントと苦しみ、昨季のプレーオフで頭角を現したケナードが平均15.8得点4.1アシストを残すもケガのため28試合の出場に終わる不完全燃焼に。

 その中でうれしい誤算になったのが、クリスチャン・ウッドの成長だろう。キャリア4年目を迎えた208センチ97キロのビッグマンは、開幕からローテーション入りすることに成功。ドラモンド移籍後は活躍の場を増やし、2月には平均19.3得点9.0リバウンド、3月は平均26.6得点9.4リバウンドと大爆発。

今季加入したピストンズで飛躍したウッド[写真]=Getty Images

 3月8日のユタ・ジャズ戦ではルディ・ゴベアを相手に30得点11リバウンド、12日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦ではジョエル・エンビードを相手に32得点7リバウンド3スティール2ブロックと、オールスターセンターを相手にキャリアハイの得点を更新する活躍を見せていた。

 ゴベアとの激しいマッチアップを繰り広げていたウッドは、その試合の数日後に発熱があったため検査をした結果、新型コロナウイルスに感染していたことが発覚したものの、チームのメディカルスタッフによる管理の下で自主隔離をしながら回復。3月26日に代理人が地元メディア『Detroit Free Press』へウッドが完治したと明かしている。

 今季終了後に制限なしフリーエージェントとなる24歳のウッドは、ピストンズと再契約を結び、主力として活躍を続けることが期待されている有望株だ。

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