2020.04.15

昨年12月から急降下し、ロースター解体を断行したウルブズ/2019-20NBA通信簿チーム編⑰

2月のトレードで新たに結成されたタウンズ(左)とラッセル(右)によるドラフト同期デュオ[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編⑰ミネソタ・ティンバーウルブズ

ウェスタン・カンファレンス(ノースウェスト・ディビジョン)
総合評価:D

■ここまでの戦績
今季戦績:19勝45敗(勝率29.7%/ウェスト14位)
ホーム戦績:8勝24敗(勝率25.0%)
アウェー戦績:11勝21敗(勝率34.4%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:113.3(9位)
平均失点:117.5(28位)
平均リバウンド:44.8本(15位)
平均アシスト:23.8本(20位)
平均スティール:8.7本(3位)
平均ブロック:5.7本(4位)
オフェンシブ・レーティング:107.6(23位)
ディフェンシブ・レーティング:111.6(21位)

トレードで加入後、攻防両面でハッスルプレーが光るジョンソン[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:カール・アンソニー・タウンズ(33.9分)
平均得点:カール・アンソニー・タウンズ(26.5得点)
平均リバウンド:カール・アンソニー・タウンズ(10.8本)
平均アシスト:ディアンジェロ・ラッセル(6.6本)
平均スティール:ジェームズ・ジョンソン他1人(1.4本)
平均ブロック:ジェームズ・ジョンソン(1.4本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:ディアンジェロ・ラッセル、ジェームズ・ジョンソン、マリーク・ビーズリーフアンチョ・エルナンゴメス
退団:アンドリュー・ウィギンズ、ゴーギー・ジェン、ジェフ・ティーグシャバズ・ネイピアー

ウルブズに加入後、ビーズリーはスターターとして出場し、平均20得点をクリア[写真]=Getty Images

11月終了時点で10勝8敗も、12月以降に急降下し、ロースターを解体

 カール・アンソニー・タウンズアンドリュー・ウィギンズ(現ゴールデンステイト・ウォリアーズ)という元ドラフト1位指名の“新人王デュオ”体制5シーズン目となった今季、ウルブズは好スタートを切った。

 開幕3連勝を飾ったウルブズは、11月終了時点で10勝8敗という勝率5割超えの好成績。その立て役者となったのはタウンズだった。昨夏ガードの選手が取り組むワークアウトのメニューをこなしたビッグマンは、開幕からアウトサイドショットが絶好調。10月は平均27.1得点11.5リバウンド4.0アシスト2.8スティール1.8ブロックに加えて3ポイント成功率52.9パーセント(平均4.5本成功)と大暴れ。

 11月に入るとウィギンズが平均27.1得点5.3リバウンド4.1アシスト1.4ブロックと台頭する中、タウンズも平均25.9得点13.0リバウンド4.1アシスト1.4ブロックと両輪が好調をキープ。タウンズの3ポイントはこの月も平均3.8本成功、成功率41.7パーセントと冴えを見せた。

タウンズは3ポイントを磨き、選手としての成長も見せた[写真]=Getty Images

 ところが、12月に入って泥沼の11連敗。タウンズも左膝を痛めて途中から戦線離脱となり、終わって見れば2勝12敗、得失点差はマイナス7.8と急降下。リーグ下位に沈むウォリアーズに敗れた際には「全体的に見て、相手は僕らよりも頑張っていた」とウィギンズが言えば、「どうしてチームがハードワークできないのか…」とゴーギー・ジェン(現メンフィス・グリズリーズ)が口にするなどチームとしての姿勢に問題を抱えていたのかもしれない。

 その後サクラメント・キングス戦で2度の延長の末に勝利すると、8試合で5勝を挙げて持ち直したかに見えたが、1月12日(対ヒューストン・ロケッツ)からの19試合で13連敗を含む18敗を喫してしまい、ウェスト下位へと沈んだ。

 するとウルブズは2月のトレードデッドラインを前にロースターを刷新。今季開幕時点のロースターのうち、半数以上を放出し、ディアンジェロ・ラッセルマリーク・ビーズリーフアンチョ・エルナンゴメス、ジェームズ・ジョンソンらを獲得。

 2月9日には格上ロサンゼルス・クリッパーズから142得点を奪って大勝。NBA歴代2位タイとなる1試合26本の3ポイントを成功させる爆発を見せたのだが、その後も白星先行になるには至らず、3連敗でシーズン中断を迎えた。

親友ラッセルとの共闘が実現するも、最愛の母を失う悲劇に襲われたタウンズ

 大黒柱のタウンズは、序盤にインパクトを残したものの、左膝と左手首の負傷により、自己最少となる35試合のみの出場に終わった。12月以降に出場した19試合で勝利を飾ったのはわずか1試合と、悔しい締めくくりとなった。

 それでも、3ポイント試投数を大幅に伸ばした今季は平均3.3本も成功させ、41.2パーセントという上々の成功率を記録。平均26.5得点と4.4アシストはいずれもキャリアハイと、昨夏のワークアウトが確実に実を結んだ結果と言っていい。

 ウルブズは今季途中に加入したビーズリーが平均20.7得点5.1リバウンド、エルナンゴメスが平均12.9得点7.3リバウンド、ジョンソンが平均12.0得点4.7リバウンド3.8アシスト1.4スティール1.4ブロックという好成績。

 ビーズリーとエルナンゴメスは今季終了後に制限付きフリーエージェント(FA)、ジョンソンがプレーヤーオプションとなるため、3選手全員が来季もチームに残るかどうかは微妙ながら、奮戦していたことは評価すべきだろう。

来季のウルブズはタウンズと親友のラッセル(中央)を中心に巻き返しを狙う[写真]=Getty Images

 だが来季に向けて最大の好材料は、なんと言ってもラッセルの加入だろう。2015年のドラフト全体1位(タウンズ)と2位(ラッセル)は親友であり、念願かなってチームメートとなった。

 タウンズが左手首を負傷したため、ラッセルと共にプレーしたのは2月11日のトロント・ラプターズ戦のみとなったのだが、タウンズが「すごく楽しかったよ。この試合を間近で見ていたファンの皆は、俺たちがたくさん会話しながら楽しそうにプレーしていたことに気付いたはず。俺とディアンジェロにはケミストリーがある。シーズン途中のトレードによって多くの選手が入れ替わったけれど、俺たちはお互いのことを尊敬し、信頼している。それこそが、このチームにとって重要なことなんだ」と『The Athletic』へ話したことは、来季に期待できる大きな要素だろう。

 14日に新型コロナウイルスの合併症のため、母ジャッキーことジャクリーン・クルズ・タウンズが他界。タウンズにとって、このショックを乗り越えることは並大抵のことではないのだが、亡き母のためにも、ウルブズを背負う男として一回り成長した姿を見せてほしいところだ。

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