2020.04.28

NBAの一流選手たちのシューティングを科学して判明したカリーの凄さ

科学的な分析で改めて凄さを証明したステフィン・カリー [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 プレーヤーであれば、一度はシューティングフォームについて考えたことがあるだろう。飛距離はもちろん、正確性とリリーススピードは試合結果を大きく左右するからだ。

 もちろん、それはNBAプレーヤーでも同じ。記憶に新しい選手でいえば、ロンゾ・ボール(ニューオーリンズ・ペリカンズ)はキャリア2年目からフォーム改革に取り組み、3ポイント成功率は約7%、フリースロー成功率は約13%も向上。ロサンゼルス・レイカーズ時代からのチームメイトであるブランドン・イングラム(ペリカンズ)も、ロンゾの努力する姿勢には脱帽しており、ハーフコートオフェンスでも驚異となる選手へと成長を遂げた。

 そのシュートフォームについて、スポーツアナリティクスサイト『inpredictable』のマイク・ブオイが興味深いデータを紹介している。

 上のチャートは、NBAのトッププレーヤーたちのスリーポイントのシュートモーションをアニメーション化したもの。縦軸が高さ、横軸が水平距離を示しており、選手を真横から見て、リングが左側にあるとイメージすればわかりやすいはずだ。そして、曲線をなぞりながら移動する赤い球体がボールを表しており、それが消えたタイミングでショットが放たれている。

NBAのトッププレーヤーの中でリリースの速さが際立ったカリー [写真]=Getty Images


 まずはじめに特筆すべきは、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)の圧倒的なリリーススピードだろう。他の8選手と比較して、とにかく赤い球体が消えるのが早い。リリースポイントは低めだが、この他を凌駕するリリースの速さが、彼のショットブロックを不可能にしている。

 カリーのシューティングについては多方面で科学されてきた。例えば、2017年に『The Wall Street Journal』で紹介された記事では、数学的な観点からカリーのシュートを分析。スリーポイントシュートにおけるボールの最大到達点の平均は15.77フィート(約4.8メートル)なのに対して、カリーのアーチは16.23フィート(約5.0メートル)にまで到達。また、シュートはリングに対して45度の角度で吸い込まれていくのが理想的なアングルという数学的データが存在し、カリーのショットは46度でリングに届いているという。

 その他では、ガード不可能なショットと形容されるケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)は、かなり高い位置からショットを放っており、ラッセル・ウェストブルック(ロケッツ)は、特徴的な直線状のワインドアップがデータにも反映されている。

 一方、下のチャートは、選手の頭上からボールの軌道を見たものである。

 全選手、S字のカーブを描いているが、そのバリエーションはかなり多様。しかし、ここでもカリーの無駄のなさが際立っており、カリーがいかに洗練されたシューターであるかがお分かりいただけたのではないだろうか。

 また、動きの無駄という観点では、カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)も非常にミニマルなシュートを放っている模様。だが、ブオイ曰く、頭上から見たチャートでは、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)のデータが最も完璧なループを描いているという。

最も完璧なループを描いているというレブロンのシュートフォーム [写真]=Getty Images


『inpredictable』では、クラッチシュートやシュート前に要した時間の合計など、面白いデータが多数紹介されているので、気になる方はおうち時間を活用してサイトを覗いてみてはいかがだろうか。

文=Meiji

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