2020.04.29

相次ぐケガとトレードで、リーグ最下位に沈んだウォリアーズ/2019-20NBA通信簿チーム編21

カリー(左)が序盤に長期離脱を余儀なくされ、カーHC(右)にとっても苦悩のシーズンとなった[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編21 ゴールデンステイト・ウォリアーズ

ウェスタン・カンファレンス(パシフィック・ディビジョン)
総合評価:E

■ここまでの戦績
今季戦績:15勝50敗(勝率23.1%/ウェスト15位)
ホーム戦績:8勝26敗(勝率23.5%)
アウェー戦績:7勝24敗(勝率22.6%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:106.3(28位)
平均失点:115.0(25位)
平均リバウンド:42.8本(24位)
平均アシスト:25.6本(10位)
平均スティール:8.2本(9位)
平均ブロック:4.6本(19位)
オフェンシブ・レーティング:104.4(30位)
ディフェンシブ・レーティング:113.0(26位)

大幅な戦力ダウンの中、奮闘した若手たち(左からボウマン、パスカル、リー)[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:アンドリュー・ウィギンズ(33.6分)
平均得点:アンドリュー・ウィギンズ(19.4得点)
平均リバウンド:マーキーズ・クリス他2人(6.2本)
平均アシスト:ドレイモンド・グリーン(6.2本)
平均スティール:ドレイモンド・グリーン(1.4本)
平均ブロック:アンドリュー・ウィギンズ(1.4本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:アンドリュー・ウィギンズ、マイケル・ミュルダー(10日間契約→本契約)
退団:ディアンジェロ・ラッセルウィリー・コーリー・スタイン、アレック・バークス

ウォリアーズでチャンスをつかんだクリスは自己最高の成績を残した[写真]=Getty Images

ロースター若返りとケガ人続出により低迷し、昨夏加入した新戦力を放出

 ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)、アンドレ・イグダーラ(現マイアミ・ヒート)、ショーン・リビングストン(引退)といったベテラン勢が退団し、ロースターが一気に若返ったウォリアーズは、昨年6月に左膝前十字靭帯を断裂したクレイ・トンプソン不在の中で今季を迎えた。

 ステフィン・カリードレイモンド・グリーンに加えて、デュラントとのサイン&トレードで獲得したディアンジェロ・ラッセル(現ミネソタ・ティンバーウルブズ)というオールスター経験者がいたものの、開幕から2試合連続で20点前後の大差をつけられて連敗。

「これは一度限りのことじゃない。これが現実なんだ。今シーズンはこういった夜が何度もあるだろうね。こういう敗戦を通じてプレーしていかなければならない。我々はこの状況下で戦い続けて、(チームとして)向上していくことが必要。それが我々のプランなんだ」。

 開幕戦後にスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が言い残したように、ウォリアーズには前途多難な展開が待ち受けていた。3戦目にしてようやくニューオーリンズ・ペリカンズを下して初勝利し、「今シーズンは全てにおいて、僕らは戦い続けることになる。決して綺麗なものにはならないかもしれない。毎晩僕らはプレーするだけじゃなくて、(若手たちに)教えていかなきゃいけないんだ。僕らはそのチャレンジと共に、その責任があることも受け入れる」とカリーが決意を表明したものの、開幕4戦目にカリーが左手を骨折してしまい、長期離脱という窮地に。

今季、ウォリアーズの強固な基盤(左からグリーン、カリー、トンプソン)がそろってプレーすることはなかった[写真]=Getty Images

 その後グリーン、ラッセルもケガのため欠場するなど、ウォリアーズは多くのケガ人に見舞われた。そんな中、カーHCの下でアレック・バークス、グレン・ロビンソン3世(共に現フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、ウィリー・コーリー・スタイン(現ダラス・マーベリックス)といった新加入組と、エリック・パスカルやマーキーズ・クリス、デイミオン・リー、カイ・ボウマンといった若手が奮戦。

 過去5シーズン連続でウェストを制してきたチームとは思えないほど、黒星先行で進む中、12月下旬にはヒューストン・ロケッツ相手に勝利を収めるなど、今季最長の4連勝を飾ったものの、その後の16試合で15敗を喫するなど長いトンネルから抜け出せず。

 するとチームはシーズン終了後に支払うラグジュアリータックス(贅沢税)を削減すべく、次々にトレードを成立。ドラフト指名権との交換で今季加入した選手たちを放出し、ラッセルを含む3選手とのトレードでアンドリュー・ウィギンズをロースターに加えた。

 その後カリーが3月6日のトロント・ラプターズ戦で約4か月ぶりに復帰するも、チームはリーグワーストの成績へと沈み、2013年から続いていたプレーオフ連続出場も7年で途絶えたところでシーズン中断を迎えた。

カリー、トンプソン、グリーン、ウィギンズというコアメンバーを保持して来季に巻き返しを狙う

 新型コロナウイルスの影響により、シーズンが中断してから約7週間が経過した4月29日、カーHCは「我々のシーズンは終わったと感じている。選手たちと連絡を取り合ってはいるが、このチームにとって、今シーズンは終わったように感じているのは間違いないね」と『The San Francisco Chronicle』へコメント。

 指揮官の言葉どおり、ウォリアーズにはすでにプレーオフ出場の可能性がないため、ケガ人とトレードが続出した慌ただしいシーズンは終了したと受け取っていいだろう。

 今季はトンプソンが全休し、カリーはわずか5試合の出場、グリーンもケガがちで、ウィギンズは加入してから約1か月でシーズン中断を迎えており、現有戦力におけるコアメンバーがそろって試合に出場することはなかった。ボブ・マイヤーズGM(ゼネラルマネジャー)はこの4選手を放出せずにキープして巻き返しを図るプランだと『Bleacher Report』が報じているため、周囲にどの選手を配置していくかに注目が集まる。

 スモールフォワードにスコアラーのウィギンズを加えたことで、ウォリアーズはセンター以外のポジションにリーグ有数の実力を持つ選手をそろえることに成功。ジョー・レイコブ オーナーはウィギンズについて「彼は歩く20得点男だ。どんな試合であろうと20得点を挙げることができる。1試合で20得点が可能な選手が3人いれば、勝利するチャンスがあることが分かるだろう。我々にはそういう選手が必要だったんだ」と『The Athletic』へ話しており、今後に向けて手ごたえを感じていた。

 今季終了後のフリーエージェント戦線と、上位指名が期待できる今年のドラフトで、ウォリアーズがどのような戦力補強を行い、どこまで強力なロースターを形成して来季に臨むのか。今後の展開にもやはり注目すべきだろう。

オーナーも期待を寄せるウィギンズ。今後どのようにフィットしていくか楽しみだ[写真]=Getty Images

2019-20NBA通信簿チーム編のバックナンバー

BASKETBALLKING VIDEO