2020.06.23

13連敗を乗り越え、プレーオフ出場争いに参戦するペリカンズ/2019-20NBA通信簿チーム編29

今年1月下旬の待望デビューから、強烈なインパクトを残しているザイオン[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編29 ニューオーリンズ・ペリカンズ

ウェスタン・カンファレンス(サウスウェスト・ディビジョン)
総合評価:B

■ここまでの戦績
今季戦績:28勝36敗(勝率43.8%/ウェスト10位)
ホーム戦績:13勝19敗(勝率40.6%)
アウェー戦績:15勝17敗(勝率46.9%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:116.2(4位)
平均失点:117.0(27位)
平均リバウンド:47.0本(5位)
平均アシスト:27.0本(2位)
平均スティール:7.6本(15位)
平均ブロック:5.1本(12位)
オフェンシブ・レーティング:110.6(15位)
ディフェンシブ・レーティング:111.6(20位)

レディックは新天地ペリカンズでも高位安定したシュート力を発揮[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:ドリュー・ホリデー(34.9分)
平均得点:ブランドン・イングラム(24.3得点)
平均リバウンド:デリック・フェイバーズ(9.9本)
平均アシスト:ロンゾ・ボール(7.0本)
平均スティール:ドリュー・ホリデー(1.7本)
平均ブロック:デリック・フェイバーズ(1.0本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
特になし

連敗地獄に陥ろうと、勝利を目指して前を向き続けた選手たち

 昨季ウェスト13位の33勝49敗と不完全燃焼に終わったチームは、フランチャイズプレーヤーのアンソニー・デイビスを3チーム間のトレードでロサンゼルス・レイカーズへ放出。その見返りにブランドン・イングラムロンゾ・ボール、ジョシュ・ハートに加え、複数のドラフト1巡目指名権を獲得。

 ドラフトでは全体1位のザイオン・ウィリアムソンのほか、ジャクソン・ヘイズ、ニケイル・アレクサンダー・ウォーカーを指名。さらにはフリーエージェント(FA)でJJ・レディック、トレードでデリック・フェイバーズという2人のベテランを補強した。

 ロースターの半数以上を入れ替えて今季を迎えるも、開幕直前にザイオンが右膝半月板損傷のため、6~8週間の戦線離脱がチームから発表。バックコートにドリュー・ホリデーとボール、フロントコートにレディック、イングラム、フェイバーズでスターターを形成して臨むも、開幕8試合で1勝7敗と沈黙。11月中旬から3連勝するも、翌戦から泥沼の13連敗を喫してしまう。

在籍7年目の最古参ホリデーが連敗中のチームをまとめ上げた[写真]=Getty Images

 だがチームは決して悲観せず、勝利を求めて戦い続けた。

 昨年12月16日のオーランド・マジック戦に敗れて12連敗となった後も、ホリデーは「このような連敗が続いてしまうと、ネガティブになってしまいがちなんだ。だけどどんな状況であれ、僕らはポジティブでいなきゃいけない」と『ESPN』へ切り出し、「僕の個人的な見方にはなるけど、このチームは皆が競争者なんだ。負けることは僕らの本質じゃない。だから今後もプッシュして、勝利する方法を見つけることが大切なんだ。できる限り早く勝利する術を見出したいね。そのうえで、ポジティブにいることが大きな要素になるんだ」と言及。

 チームのトップスコアラーとなったイングラムも「僕は皆が(連敗で)揺れているとは思ってない。僕らは今、プッシュし続けて、ゲームプランを遂行できる方法を見つけ出し、試合に勝利しなければならないということ」と前を向いていた。

 12月19日にミネソタ・ティンバーウルブズを下して連敗をストップすると、4連勝を記録するなど、チームは徐々に白星先行へ好転。1月23日のサンアントニオ・スパーズ戦からザイオンが待望のNBAデビューを飾ると、20試合で11勝9敗と勝ち越し、ウェスト10位まで順位を上げ、7月31日から始まる第二幕への出場権を獲得した。

 ペリカンズはポートランド・トレイルブレイザーズ、サクラメント・キングスと共に3.5ゲーム差で8位のメンフィス・グリズリーズを追う状況なのだが、先日『ESPN』が発表したウェスト8位予想では、ブレイザーズ(35.3%)、グリズリーズ(32.4%)に次ぐ3位の29.4%。ウェストのプレーオフ最後の座は、この3チームによる争いというのが大方の予想のようだ。

 イングラム、ザイオン、ボールという魅力的なヤングコアを擁するペリカンズにとって、失うものなど何もない。オーランドで行われるレギュラーシーズン8試合でどれだけ白星を積み上げることができるか注目したい。

イングラム、ザイオン、ボールという魅力的なヤングコアの躍進に期待大

 昨年8月末。チームの公式ツイッターをとおして「僕は3ポイント成功率をアップさせることができるようにトライしてきたんだ。僕はボールハンドリングを駆使して相手をすり抜けていくクイックネスはあると思ってる。それに身体もすごく強じんだ。でもそういったことも含めて、すべての面で進歩させたいと思ってる。そう、僕はよりクイックになり、強じんになろうとトライして、シューティングも進歩させようとしてきたのさ」と話していたホリデーは、今季自己最高となる平均2.1本の長距離砲を沈めており、昨年12月に通算成功数でフランチャイズ歴代トップに浮上。

 ヤングコアの活躍に注目が集まりがちだが、攻防両面でチームを支えるベテランの存在も見逃せない。キャリア10年目のフェイバーズはフィールドゴール成功率(62.0%)と平均リバウンド、アシスト(平均1.7本)でいずれもキャリアハイをマーク。14年目のレディックも、ここまで3ポイントを平均2.9本成功させ、成功率45.2%という高確率で決めている。

 とはいえ、イングラム、ザイオン、ボールで形成するペリカンズのヤングコアはリーグの脅威となりつつあるだけに、シーズン再開後も話題を集めることだろう。

 レイカーズに所属していた昨季終盤に深部静脈血栓症を告知されたイングラムは、肋骨の一部分を除去する手術を受けた後、約1か月間は動くことすら困難だった。だがリハビリの末に回復。イングラムは開幕直後に『USA Today』へ「今はプレーできていて、目の前の機会を活かしたいと思ってるんだ。復帰までの道のりは大変だったけど、コートに立てることが楽しいよ」と話しており、今季は軒並み自己最高の成績を残し、自身初のオールスター入り。

レイカーズから移籍してきたイングラム(左)とボール(右)は、ペリカンズで自己最高のシーズンを送っている[写真]=Getty Images

 長いリハビリに耐えてコートに立ったザイオンは、デビュー戦の第4クォーターで17連続得点を奪取する衝撃のパフォーマンスを披露。その後も10代の選手としては史上最長の13試合連続で20得点以上をもぎ取る活躍でペリカンズを勢いに乗せた。

 2月24日のゴールデンステイト・ウォリアーズに逆転勝利した試合では、ハーフタイムで「俺はただ、『なぁ皆、俺たちはもっとエナジーを出してプレーしなきゃいけない。今よりもっともっと出していこう』と言ったんだ」と明かし、「そして俺たちが勝利することができた。それ(勝利したこと)が最も重要な部分なのは間違いない」とチームを鼓舞していた。

「彼は普通の19歳ではない。とても成熟しているし、チームメートたちをとてもリスペクトしている。それに選手たちが彼のことを非常にリスペクトしているね。彼は勝利することしか考えちゃいない」と、アルビン・ジェントリーHC(ヘッドコーチ)もザイオンを絶賛。

 そして変幻自在のパスさばきでザイオンを操るボールも、3ポイントに磨きをかけ、自信を持って放っている。特にオールスター後の9試合では平均6.7本放って3.1本を成功。成功率も46.7%と申し分ない数字を残している。

 ザイオンについてはレディックのポッドキャストへ出演した際に「Z(ザイオン)は特別な選手。彼のような選手とは今までプレーしたことがなかったよ。彼は俺の能力をとても上手く補完してくれる。彼と同じチームになれたことがとてもうれしいよ」と話しており、両者によるコンビネーション、特にアリウープは強烈なインパクトを与えていると言っていい。

 オールスター後の9試合で5勝4敗と勝ち越しているペリカンズは、ザイオン(平均25.2得点)、ホリデー(同21.1得点)、イングラム(同21.0得点)と3選手が平均21得点以上を奪っており、危険なチームと化している。シーズン再開後も勝ち越すことができるか、注目していきたいところだ。

ザイオン擁するペリカンズがプレーオフの座を虎視眈々と狙っている[写真]=Getty Images

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