2020.07.03

シックスマンからオールスター選手へと飛躍を遂げたサボニス/2019-20NBA通信簿選手編⑤

イースト有数のビッグマンとなったサボニス[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿選手編⑤ドマンタス・サボニス

所属:インディアナ・ペイサーズ(イースタン・カンファレンス5位)
総合評価:A

■プロフィール
生年月日(年齢):1996年5月3日生まれ(24歳)
ポジション:センター/フォワード
身長/体重:211センチ/108キロ
NBAキャリア:4年目
  
<今季ここまでの功績>
オールスター選出(初)

<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:34.8分(リーグ17位)
平均得点:18.5得点
平均リバウンド:12.4本(リーグ5位)
平均アシスト:5.0本
平均スティール:0.8本
平均ブロック:0.5本
フィールドゴール成功率:54.0%(リーグ16位)
3ポイント成功率:25.4%
フリースロー成功率:72.3%

■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:41分54秒(2度)★(キャリアハイタイ)
得点:29得点(2度)
リバウンド:22本(19年12月10日/対クリッパーズ)★
アシスト:11本(2度)★(キャリアハイタイ)
スティール:3本(20年1月25日/対ウォリアーズ)
ブロック:2本(6度)
フィ―ルドゴール成功数:13本(2度)★(キャリアハイタイ)
3ポイント成功数:2本(3度)
フリースロー成功数:8本(2度)
★=キャリアハイ

今季はキャリアハイとなる11アシストを2度も記録した[写真]=Getty Images

ダブルダブル達成数でリーグ3位、ペイサーズの大黒柱へと成長

 昨夏中国で行われたFIBAワールドカップ2019でリトアニア代表として出場したサボニスは、平均23.8分10.5得点6.3リバウンド3.8アシストをマークし、大会9位でフィニッシュ。

 昨季は最優秀シックスマン賞の最終候補に入ったビッグマンだが、開幕前は現地メディアがマイルズ・ターナーとの共存が難しいのではないか、という理由でトレードのウワサにも挙がっていた。

 ペイサーズは2018年秋にターナーと4年7,200万ドル(当時のレートで約77億7,600万円)の延長契約を結んでいたこともあり、アウトサイドシュートに秀でていない2人のビッグマンがコート上で機能できるのか、と疑問視されていた。

 だがペイサーズはキャリア4年目を控えたサボニスと4年7,490万ドル(当時のレートで約81億円)の延長契約を締結。サボニスはターナーとスターターを形成して今季に臨み、主にペイントエリアで大暴れを見せている。

リーグ5位の平均リバウンド数を記録するサボニス[写真]=Getty Images

 ペイサーズはエースのビクター・オラディポがケガのため1月末まで欠場する中、得点とリバウンドで平均ダブルダブルを稼ぐサボニス、新加入のマルコム・ブログドンTJ・ウォーレンを軸に堅いディフェンスを見せ、イースト5位という好成績でシーズン中断を迎えた。

 サボニスは今季、ダブルダブルの回数でリーグ3位の50回。15リバウンド以上を奪った15試合でチームは11勝4敗を残しており、リバウンド数が少ないチームにおいて、サボニスの踏ん張りはチームの勝利に直結していたと言っていいだろう。また、今年1月20日のデンバー・ナゲッツ戦でキャリア初のトリプルダブルを達成すると、シーズン中断までにさらに3度達成。計4度のトリプルダブルはリーグ6位となっている。

 今年2月に初のオールスターゲームへ出場して2得点6リバウンドをマークしたサボニスは、球宴の舞台についてこう話していた。

「もうクレイジーさ。彼らと一緒にロッカールームにいられただけで夢のような気分だね。僕は毎年、選手として成長しようとやってきた。ペイサーズが僕のことを信じてくれたんだ。僕はチームをリードし、選手として成長を遂げることができたということ」。

 オールスター後は平均19.8得点12.2リバウンド5.9アシストと、プレーメイクの面でもペイサーズで貴重な存在と化しているサボニス。今季の第二幕でも主軸として活躍することが期待されていることは間違いない。

ピック&ロールから中央突破でリング下を強襲するサボニスのフィニッシュに注目[写真]=Getty Images

今季は新人八村の兄貴分として助言、リーグでも存在感を増すビッグマン

 今季オールスターへと成長を遂げたサボニスにとって、ゴンザガ大学の後輩である八村塁(ワシントン・ウィザーズ)の存在も刺激になったのかもしれない。

「ここまですばらしい活躍をしているね。毎年、オフには一緒にトレーニングしているんだ。彼は努力家だし、もっと上手くなっていくだろうね。ものすごい期待を背負っているけど、彼ならこれからもどんどん伸びていくさ」。

 オールスター期間中、八村についてそう語ったサボニスは、兄貴分として「アグレッシブにプレーすること。身体のケアを大切にすること。あとは仕事だと思ってプレーするんじゃなくて、楽しむこと。そもそも、どうしてバスケットをやっているかを忘れないことだね」とアドバイスしていると明かした。

 7月31日からシーディングゲーム(順位決定戦)として行われる8試合の中で、ペイサーズは八村が所属するウィザーズ戦、39勝26敗でゲーム差なしのフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦、そして今季2戦全敗のマイアミ・ヒートとは2試合も組まれており、プレーオフに向けて重要な試合が続く。

ペイントエリアを主戦場とするサボニス[写真]=Getty Images

 7月3日に行われたメディアとの取材で、サボニスはケガのリスクについてこのように話していた。

「多くのケガがすぐさま起こってしまう。それが最も怖い部分だ。どこかを痛めたり、負傷すべき箇所じゃないのに痛みを感じてしまうかもしれない。だから僕らは普段よりも早く、その部分を強化しようとしているんだ」。

 リーグ有数のビッグマンの1人となったサボニス。オーランドで行われる第二幕でも、左手からたたき込む豪快なダンクやリング下で決める巧みなフィニッシュに加え、ハイポスト付近から繰り出す鮮やかなパスさばきにも注目していきたい。

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