2020.09.09

マンバウィーク関連商品の転売横行にニック・ヤングが憤慨、ナイキに対応を求める

「ブラックマンバ」を着用して試合に臨んだレブロン・ジェームス[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 去る8月23日(日)は、故コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)の誕生日だった。

 ナイキは、今年1月に不慮の事故で命を落としたレジェンドへ敬意を示し、同日から約1週間、マンバウィークと題したトリビュートアイテムのリリースイベントを開催。そこでは、アンソニー・デイビス(レイカーズ)が度々コート上で着用している、レイカーズカラーのコービー 5 プロトロ “5x Champ”や、フロントに「8」、バックに「24」の背番号を配したシティ エディション ユニフォーム “ブラックマンバ”などが発売された。

 しかし、悲しいことに、マンバウィークは転売屋の格好の的になってしまった。本稿の読者にも、購入にトライした人が数多く存在するだろうが、一体そのうちの何人がこれらのアイテムを実際に入手することができただろうか。

 これには、かつてコービーのチームメイトであったニック・ヤング(無所属)も憤慨。GOAT(the greatest of all timeの頭文字を取ったもの。史上最高を意味する)の死を個人のビジネスチャンスにされたことに怒りを隠すことができず、自身のTwitterで以下の言葉を吐き出した。

「マンバウィークに発売されたコービーのパッケージは、心から彼を愛し、彼に感謝している人の手に渡るべきで、利益を得るためだけの人々のためではなかったはずだ……。もし、転売サイトが、転売屋がこれらのアイテムを転売することを禁止すれば、正しい人の手に渡ったと信じている」

「ナイキは、世界がコービーのファンであることを理解している。それと同時に、コービーウィークを非常にクレイジーなものにしてしまった。本当のコービーファンのために、再販をしてほしい。転売屋のために20万円も支払うなんて、彼らのためにならない」

 ナイキの人気商品や限定モデルは常に競争率が高いため、「欲しい人の手に渡らない」「もっと在庫を用意するべき」というクレームは、日常茶飯事的に存在する。今回のマンバウィークの場合、ナイキは「マンバ&マンバチータスポーツ財団」に1億円を寄付したにもかかわらず、それでもこうした批判は鳴り止まなかった。

 では、多くの人の声を代弁したヤングが主張する再販は、現実的なものなのだろうか。実際、近い将来に期間を限定した場合で考察すると、その可能性は限りなくゼロに近い。

 米人気カルチャーメディア『COMPLEX』は、まずはじめに、新型コロナウイルスの蔓延がサプライチェーンに大きな打撃を与えていることを前置き。そして、コービーの死後に彼に関連するアイテムをリリースするためには、彼の知的財産権をクリアしなければならず、同誌は、これによりナイキ主導でコービーの商品を製作することはできないと指摘している。

 一般的に、スニーカー製造業は、商品の構想からリリースまで、約18カ月の時間を必要とする。事実、コービー 5 プロトロ “Big Stage”のシューズの製造日を示すタグを確認すると、同モデルが2019年8月から9月にかけて生産されたことがわかる。すなわち、“Big Stage”はコービー死去の前に製造されたもので、『COMPLEX』が紹介している情報筋によると、本製品はコービーが今年、バスケットボール殿堂の殿堂入りすることを期待されて生産されていたと伝えている。

 ナイキは、誇大なプロモーションと相反する供給量の少なさや、販売専用アプリ『SNKRS』のボット対策の透明性などが度々疑問視されてきた。コービーのコレクションやブランドとしての今後の対応に注目が集まる。

文=Meiji

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