2020.10.25

マイケル・ジョーダンがスーパーチーム形成に憤慨「競争の観点からリーグを傷つける」

ジョーダンが“スーパーチーム”について喝を入れた[写真]=Getty Images
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ここ10年間ではヒートの“スリーキングス”、ウォリアーズの“オールスターカルテット”が複数年連続でファイナルへ進出して連覇を達成

 10月15日(現地時間14日)にYouTubeへ公開された『Cigar Aficionado』による「The Uncut Interview」に、シャーロット・ホーネッツのオーナー、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)が出演していた。このインタビューが行なわれたのは2017年で、サイトにはインタビュー映像が掲載されていたのだが、最近になってYouTubeへ公開された。

 ジョーダンは現役時代にブルズで2度の3連覇という偉業を成し遂げた世界的なスーパースター。史上最多となる6度のファイナルMVPと10度の得点王のほか、5度のシーズンMVPなど数多くのアワードを手にし、NBAの知名度を世界的なものへと押し上げた。

 そのインタビューの中で、ジョーダンはスーパースター級の選手たちが1つのチームに集結し、リーグの勢力図を脅かすほどの“スーパーチーム”を形成することに憤慨。この10年間で言えば、ドウェイン・ウェイド(元マイアミ・ヒートほか)が在籍していたヒートにフリーエージェント(FA)のレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)とクリス・ボッシュ(元トロント・ラプターズほか)が加入して“スリーキングス”が完成し、翌11年から4年連続でファイナル進出を果たし、12、13年に2連覇を達成。

2010年夏、ヒートで“スリーキングス”が誕生した(左からレブロン、ウェイド、ボッシュ)[写真]=Getty Images

 16年夏には73勝9敗でレギュラーシーズン最多勝記録を塗り替えたゴールデンステイト・ウォリアーズが、ファイナルでクリーブランド・キャバリアーズに3勝4敗で敗れたことでケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)を補強。ステフィン・カリークレイ・トンプソンドレイモンド・グリーンによる“オールスターカルテット”を結成し、翌17年から3年連続でNBAファイナルへと勝ち進み、2度の優勝を手にした。

 その一方、ジョーダンはブルズで6度の優勝を飾った際、フィル・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)という名将がいて、スコッティ・ピペン(元ブルズほか)というオールラウンダーがいたものの、ほかでは前期3連覇にホーレス・グラント、ジョン・パクソン、BJ・アームストロング(いずれも元ブルズほか)、後期3連覇ではデニス・ロッドマン(元デトロイト・ピストンズほか)、トニー・クーコッチ、ロン・ハーパー(共に元ブルズほか)といった選手たちがいたものの、そのうちオールスター出場経験があるのはグラント、アームストロング、ロッドマンのみ。

現在のトレンドはスーパーデュオ。ウォリアーズの逆襲やネッツの台頭で、来季の覇権争いは今季よりも激化しそう

 ブルズはジョーダンを絶対的な中心としつつ、トライアングル・オフェンスを用いて選手たちに役割を与え、ベンチには職人気質な選手たちを配置することで強さを保ってきただけに、スーパーチームに対してジョーダンは否定的な意見を口にしていた。

「リーグには競争という意味でバランスを保つべきだと私は思っている。もし選手たちがそれぞれ好きなチームを選んだり決めたりできるのであれば、リーグのチームにはいくつか矛盾が生まれてしまうだろう。もしシカゴで皆がプレーしたいなら、全てのベストプレーヤーたちがシカゴへ行ってしまう。今、リーグではスター選手たちが同じチームに集まってプレーしようとしている状況を見ることができるはずだ。でも私はそれによって競争という観点からリーグを傷つけることになると見ている。もしそうなってしまえば、ほんの1、2チームだけすごくて、ほかの28チームはつまらなくなってしまうからだ」。

 90年代後期のブルズは、ジョーダン、ピペン、ロッドマンというスーパースターがそろっていたこともあり、遠征する場所ではほぼ毎回ロックスターのような大歓迎を受けていた。

 だが打倒ブルズを果たすべく、イースタン・カンファレンスではニューヨーク・ニックスやインディアナ・ペイサーズ、マイアミ・ヒート、ウェスタン・カンファレンスではシアトル・スーパーソニックスやユタ・ジャズ、ヒューストン・ロケッツ、レイカーズといったチームが戦力増強を断行し、優勝候補と呼べるチームが複数あったと言っていい。

昨季までの3シーズン、ウォリアーズにはオールスターが4人も在籍していた(左からカリー、デュラント、グリーン、トンプソン)[写真]=Getty Images

 もっとも、昨季優勝したトロント・ラプターズは決してスーパーチームではない。カワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ)の周囲をドラフト下位指名からはい上がってきた苦労人たちがサポートし、ケガ人続出となったウォリアーズを撃破。

 今季はレブロンとアンソニー・デイビスという超強力タッグを結成したレイカーズがリーグを制したものの、レイカーズも2枚看板の周囲にはベテランや若手を織り交ぜたロースターを形成していた。対戦相手のヒートについても、ジミー・バトラーバム・アデバヨというオールスターデュオこそいたものの、その周囲にはチームが育ててきた若手やトレードなどで獲得したベテランが固めており、チームとしての粘り強さで勝ち上がってきた。

 現在、レイカーズやヒート、ウォリアーズのほかに、ブルックリン・ネッツ(デュラントとカイリー・アービング)、クリッパーズ(レナードとポール・ジョージ)といったスーパーデュオを擁しているチームがあるものの、オールスター選手が4人も集まったチームは皆無。

 ほんの数年前と比べれば、ジョーダンが批判した“スーパーチーム”は随分少なくなったと言えるだろう。来季に向けたFA戦線で、打倒レイカーズを実現すべく、大物FA選手獲得を狙うチームは出てくるだろうが、来季はウォリアーズの逆襲やネッツの台頭が期待できるだけに、激しい覇権争いが展開されると期待したい。

今季のファイナルはレブロン(右)率いるレイカーズとバトラー(左)擁するヒートが激突。来季もスーパーデュオを擁するチームが覇権争いをリードしそうだ[写真]=Getty Images