ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)は、ロサンゼルス・レイカーズからのタイトル奪還、そして4回目のチャンピオンリング獲得に向けて、新たなギアをコートに持ち込むようだ。
稀代のシューターは、アンダーアーマーから自身の名を冠した「カリーブランド(Curry Brand)」を設立。マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)がナイキで展開するジョーダンブランドと同じく、独自のポジショニングとブランディングでスポーツの世界に新風を巻き起こす。
待望の公式発表を迎えたカリーの新ブランドは、アンダーアーマーとの深いパートナーシップにより、すべての若者が平等にスポーツと親しむことをミッションに掲げる。
同パフォーマンスブランドは、バスケットボールやゴルフを含む複数のカテゴリーでシューズ、アパレル、アクセサリーなどの商品を展開。また、年間売上の一部を利用して、リソースの乏しい世界中のスポーツコミュニティを支援する慈善活動にも注力する。そのひとつは、安全な遊び場の提供。学びや成長の機会を与える刺激的で持続可能なスペースを新設・改装し、2025年までに少なくとも20の安全な遊び場を生み出すという。
同時に、学校や地域団体におけるチームスポーツにも手を差し伸べ、125のプログラムをサポートし、リソースやプロダクトを提供。さらに、リソースや成長の機会が乏しい地域に優れたコーチングスタッフを派遣し、15,000人以上のコーチを育成する機会を提供する予定で、カリーブランドはこれらの活動により世界中で10万人以上の若者を支援することを目標としている。
カリーは今回の発表にともない、プレスリリース内で以下のコメントを伝えている。
「アンダーアーマーと10年以上にわたり行ってきたコミュニティ活動を通じて、才能はどこにでもあるが、機会はどこにでもあるわけではないということを学びました。私たちが一緒に取り組んできたのは、この2つのギャップを埋めて、より平等な場を作ることです」
「今日の自分があるのは、子どもの頃にスポーツをしていたからです。ハードワーク、逆境を乗り越える力、チームワークやコミュニケーション。スポーツは若いアスリートに多くの重要なライフスキルを教えてくれます。だからこそカリーブランドを通じて、誰もがこれらの機会にアクセスできるよう情熱を注いでいきます」
また、カリーは世界的なファッション誌『GQ』の取材にも応じている。
カリーによると、ブランドの構想を思いついたのは直近2~3年のできごとで、本プロジェクトを立ち上げた理由について「人生の全てはタイミング。僕は学ぶべき必要のあるレッスンを数多く習得した」とコメント。
そして、カリーはウォリアーズが本拠地を置くオークランドを例に挙げ、「アメリカにおけるブラックやブラウン(肌の色による人種)のコミュニティには、サービスの行き届いていない、または恵まれていないコミュニティがあります。オークランドは特にそれが顕著で、若者のスポーツへの参加率はコミュニティのわずか17パーセントに過ぎません」と、若者のスポーツコミュニティ支援の意義を強調。『笹川スポーツ財団』は、12~21歳の若者で週1回以上スポーツを実施する割合が全体の63.2パーセント(2019年度)と発表しており、日本とオークランドの現状を比較すると、いかに恵まれない地域への支援が必要なのかがわかる。
社会への還元を最大のミッションに掲げるカリーブランド。オンコートではもちろん、オフコートでの取り組みにも注目が集まる。
文=Meiji