2021.01.25

アレンがハーデンのトレード要員となった率直な気持ちを吐露「本当に辛いことだった」

ジャレット・アレン(右)がトレードされた時の心境を吐露[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 2017年のドラフト1巡目22位指名でブルックリン・ネッツに加入したジャレット・アレンは、派手さはないものの、堅実さとペイント内での存在感が評価され、3年目にはスターターに抜擢。アフロヘアと憎めない顔立ちにはファンも多く、誰もが今後のネッツのインサイドを担うと期待を寄せていたはずだ。

 しかし、ネッツは3年連続のNBA得点王、ジェームズ・ハーデン獲得のために有力株の放出を余儀なくされ、アレンは4チームが絡む大型トレードの末、クリーブランド・キャバリアーズへ籍を移すこととなった。

 アレンはきっと、突如親から転勤を知らされ、明日には引っ越しをしなければならない子どものような気持ちで、荷造りを行ったことだろう。デビューから3年間を過ごし、ようやく居場所を見つけたタイミングでの移籍は、気持ち的にもかなりこたえたはずだ。

 アレンは『HoopsHype』に対して、トレード要員にされた素直な気持ちを吐露している。

「僕にとって、本当に辛いことだった。たとえ、それがバスケットボールというビジネスだと言われても、決して容易に受けられるものではない。でも、結局のところ、バスケットボールはビジネスで、僕は前に進まないといけないんだ」

 アレンは、ネッツで過ごした時間を「飛び石を飛ぶように成長した」と回想する。その一方で、幸運にもトレードで腎臓に腫瘍が見つかったキャリス・ルバートや、チームに残留したジョー・ハリススペンサー・ディンウィディーとの別れは「全員にとってタフなものだった」という。

 それでも、アレンはNBAという厳しい世界で起きたできごとを受け止めようとしている。

「正直に言うと、僕もその立場なら同じこと(トレード)をしていたと思う。レイカーズを見てみなよ。彼らは同じことをして、リングを手に入れた。もちろん、ブルックリンに残留したかったけれど、僕はこうしたできごとに直面したら、出ていかないといけないのは理解しているんだ」

 アレンは、トレード後にキャバリアーズのゼネラルマネージャーを務めるコビー・アルトマンと電話で会話をするまで、キャブスが自身に関心を抱いていることを知らなかったという。キャブスは、大黒柱のアンドレ・ドラモンドジャベール・マギーのビッグマン2人がFAを控えているため、将来的にチームのインサイドを任せることのできる選手を水面下で探していたのだ。チームを率いるJB・ビッカースタッフも「彼はリーグの若手で最高のリムプロテクターだ」と、アレンの実力を賞賛している。

 アレンはすでに前を向き、今ではキャブスでの未来を楽しみにしている。地元紙『Cleveland.com』が、アレンのコメントを伝えた。

「怒ってもいなかったし、悲しくもなかった。ただ、ブルックリンでキャリアを積めないことが残念だっただけだ。それと同時に、クリーブランドのようなチームに加入することができてうれしく思っている」

「必要とされているように感じるし、必要とされるのはいいことだよね。球団が僕や僕の成長に投資し、僕を組織の一員として迎えてくれる。僕はフロントオフィスがやっている仕事や、コーチの指導方法が気に入っているんだ」

「気分はいいよ。自分の居場所のような感じだ。17-18、18-19シーズンのブルックリンのようなバイブスを感じる。僕たちは皆、何かを競い合っている。僕たちはチームとして共通の目標を持ち、ハードに練習をして、遅くまで残り、バスケットボーラーとしてだけではなく、人として成長しようと努力しているんだ」

 くしくも、アレンのキャブス加入後の最初の対戦相手は古巣のネッツだった。しかし、アレンはキャブスの一員として、かつての仲間の前に立ちはだかり、2試合平均15.5得点、8.5リバウンド、2.0ブロックのスタッツを残して、優勝候補相手の2連勝に大きく貢献してみせた。

 辛い経験が、選手を一回りも二回りも成長させるはず。きっとアレンの未来は、明るいに違いない。

 文=Meiji

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