2021.02.20

コロナ禍でも成長止まらぬNBA…『Forbes』が2021年版の球団価値ランキングを発表

球団価値ランキングの1位はニューヨーク・ニックス[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAは、世界各国のスポーツリーグがその運営方法を参考にするほど、ビジネス的にも大きな成功を収めている。

 アメリカの経済誌『Forbes』は、NBAの球団価値ランキングの2021年版を発表。昨今のリーグの財政状況の考察とともに、各球団のチームバリューをランキング形式でまとめている。

ウォリアーズがニックス・レイカーズの間に割って入り、2位に

 昨今、最も大きな成功を収めているのは、王朝を築き上げたゴールデンステイト・ウォリアーズだ。サンフランシスコの雄は昨年、10億ドル(約1055億円)以上を費やして新スタジアム『チェイス・センター』の柿落としを迎えた。同球団は、ステフィン・カリーの成長と共に黄金期を築き上げ、2010年代にはNBAファイナルに5年連続出場。昨シーズンは主力の怪我や放出により一転してタンクの1年となったが、それでもその地位が揺らぐことはなかった。

 ベンチャーキャピタリストのジョー・ラコブは、2010年に4億5000万(約475億円)ドルを支払い、ウォリアーズのオーナーに就任した。昨シーズンはカリーやクレイ・トンプソンを欠く厳しい1年だったが、それでも球団はNBA記録となる4億7400万ドル(約500億円)の収益を記録している。しかも、この金額がアリーナ建設費の返済と収益分配を済ませた後のものというから驚きだ。『Forbes』は、もし毎試合満員御礼でレギュラーシーズンを走り抜け、プレーオフに進出していれば、その収益額は7億ドル(約739億円)を超えただろうと伝えている。

ベンチャーキャピタリストのジョー・ラコブ氏が2010年にウォリアーズのオーナーに[写真]=Getty Images

 近年、NBAの球団価値ランキングは、ニューヨーク・ニックスとロサンゼルス・レイカーズが2強を形成してきた。しかし、ウォリアーズは、マイケル・ジョーダンが在籍していた1999年のシカゴ・ブルズ以来初めて、ニックスとレイカーズの間に割って入ってみせた。ちなみに、1位ニックスの球団価値は50億ドル(約5280億円)で、6年連続で首位を堅守。次いで、ウォリアーズが47億ドル(約4960億円)まで価値を上昇させて2位にランクアップし、2019-20シーズンのチャンピオンチームであるレイカーズが46億円ドル(約4860億円)で3位に続くという結果になっている。

 ここで、NBAは人類に大打撃を与え続けている新型コロナウイルスにさえ屈しない屈強なリーグであることを強調しておきたい。昨シーズンは予定の80パーセントしかレギュラーシーズンをプレイできず、全球団がホームゲームやプレーオフの貴重なアリーナ収益を逃した。しかし、利息や税金、減価償却費計算前の額面で換算して、球団の平均収益は6200万ドル(約65億円)と、12パーセントの下落に止めてみせた。このような成果を挙げられた理由には、大規模なテレビ契約と選手たちが給与の減額を受け入れたことが背景にあり、『Forbes』の計算では、NBAの全球団が過酷なシーズンをプラス収益でフィニッシュし、ウォリアーズに至っては2億ドル(約210億円)の営業利益を達成しているという。

昨シーズン、プレーオフがバブルでの開催となったものの、NBA全球団がプラス収益を達成した[写真]=Getty Images

 また、チームの平均価値も、昨年の1億ドル(約105億円)上昇。これは、2010年以来最小となる4パーセントの増加だが、経済が逼迫する今の情勢を考慮すれば上々の出来と言えるだろう。
 
 NBAは、今後もオーナーたちにとっては追い風が続くものと見られている。NBA球団のチームトランザクションを扱うGPSパートナーズの社長、サル・ガラティオトは「プレミアなマーケットにいるこれらの球団は、途方もないブランド価値を所有している」とコメント。投資家たちの関心は年々増していく一方で、NBAは今後もマーケットを拡大し、スポーツエンターテイメントとしての魅力と価値をさらに高めていくはずだ。

 なお、2021年版のNBAの球団価値ランキングとなっている。

1位 – ニューヨーク・ニックス
2位 – ゴールデンステイト・ウォリアーズ
3位 – ロサンゼルス・レイカーズ
4位 – シカゴ・ブルズ
5位 – ボストン・セルティックス
6位 – ロサンゼルス・クリッパーズ
7位 – ブルックリン・ネッツ
8位 – ヒューストン・ロケッツ
9位 – ダラス・マーベリックス
10位 – トロント・ラプターズ
11位 – フィラデルフィア・セブンティシクサーズ
12位 – マイアミ・ヒート
13位 – ポートランド・トレイルブレイザーズ
14位 – サンアントニオ・スパーズ
15位 – サクラメント・キングス
16位 – ワシントン・ウィザーズ
17位 – フェニックス・サンズ
18位 – ユタ・ジャズ
19位 – デンバー・ナゲッツ
20位 – ミルウォーキー・バックス
21位 – オクラホマシティ・サンダー
22位 – クリーブランド・キャバリアーズ
23位 – インディアナ・ペイサーズ
24位 – アトランタ・ホークス
25位 – シャーロット・ホーネッツ
26位 – オーランド・マジック
27位 – デトロイト・ピストンズ
28位 – ミネソタ・ティンバーウルブス
29位 – ニューオーリンズ・ペリカンズ
30位 – メンフィス・グリズリーズ

 文=Meiji

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