2021.05.12

ウィルト・チェンバレンのルーキージャージに史上最高額の約1億3800万円の値がつく

NBAで数々の記録を打ち立てたウィルト・チェンバレン[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 高騰の一途を辿るスポーツオークション市場。最近ではNFT(非代替トークン=デジタル資産)も脚光を浴びており、その勢いは止まるところを知らない。

 最近ではレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)のルーキーカードが、スポーツトレーディングカードの歴代最高額に並ぶ520万ドル(約5億6500万円)で落札されたことが大きな話題となったが、NBAからまた新たなレコードが誕生した。

 バスケットボールの歴史において、今後塗り替えられることのないであろう脅威の記録保持者、ウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)がルーキー時代に着用したユニフォームに、バスケットボールジャージ史上最高額となる127万5000ドル(約1億3800万円)の値がついた。

「あらゆるスポーツユニフォームの中で最も優れたもののひとつ」

 今回の販売先となったのは、「Collectable(コレクタブル)」という成長著しい投資プラットフォームだ。近年、スポーツグッズはS&P 500をはじめとする金融系投資を大幅に上回る実績を残している。ただし、従来のオークションは一部の富裕層のみだけが参加・購入できる狭き世界だった。そこで「Collectable」は“共同保有”という概念を提唱し、誰もが少額からメモリアルなアイテムの所有権を保有できるサービスを展開している。

「Collectable」に出品されたチェンバレンのジャージは、彼がルーキー時代の1959-60シーズンにフィラデルフィア・ウォリアーズで着用していたホームゲームユニフォーム。チェンバレンといえば、43得点28リバウンドという鮮烈なスタッツでNBAデビューを果たし、その年はルーキーにして得点王、リバウンド王、オールスターMVP、シーズンMVP、新人王とアワードを総ナメにした伝説がある。

 そうした経歴もあって、チェンバレンのルーキーアイテムは、スポーツコレクターたちにとっての人気銘柄のひとつ。「Collectable」によると、1961年に発売されたチェンバレンの「Fleer」社製ルーキーカード(PSA 9)は、ここ数年で市場価格が3万8000ドル(約400万円)から46万1000ドル(約5000万円)と10倍以上に跳ね上がっているという。

 NBAのユニフォーム史において新たな記録を打ち立てたチェンバレンのジャージは、「Mears Memorabilia Evaluation and Research Services」の鑑定で最高クラスのA9を与えられている。また、「Collectable」のサイト内では、スポーツ写真家のニール・ライファーが撮影したカラー写真と一致していることから、1960年1月5日にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたミネアポリス・レイカーズとの一戦で着用されたものと紹介。バスケットボールの世界において、上下がセットになっていることは極めて珍しく、出品者である「SCP Auctions」は、「世界で最も状態の良いバスケットボールのユニフォームであるだけでなく、あらゆるスポーツユニフォームの中で最も優れたもののひとつ」と説明している。

 1口わずか10ドルから投資可能なチェンバレンのルーキージャージは、出品者である「SCP Auctions」の創設者兼社長デイビッド・コーラーが31万8750ドル(3500万円)分の保有権を所持し、残りを約1000人の投資家で分配し、保有する結果に。

 果たして、このジャージは将来的にどこまで価格が上がるのか。いずれにせよ、スポーツオークション市場はもうしばらく、バブルの時期を継続するのではないだろうか。

 文=Meiji

BASKETBALLKING VIDEO