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悲願の初優勝に向けて、レギュラーシーズンから快進撃を続けるフェニックス・サンズ。司令塔クリス・ポールを欠くなか、カンファレンスファイナルではロサンゼルス・クリッパーズに先勝し、1992−93年ぶりのファイナル進出へ幸先のいいスタートを切った。
サンズにおいて、チームのエースを務めるデビン・ブッカーの功績には計り知れないものがあるが、こと貢献度に関して言えば、ジェイ・クラウダーも引けを取らないだろう。リーグ屈指の3&Dであるサンズの背番号99は、今年も安定感のあるプレーを続けており、特に持ち前のアグレッシブなディフェンスでは、相手のエース陣を苦しめている。
遡ることプレーオフ1回戦、サンズは昨季王者のロサンゼルス・レイカーズと対戦。クラウダーは、相手の不動のエースであるレブロン・ジェームズとのマッチアップを任され、キング相手にタフな仕事を強いることに成功した。
最近、「ESPN」のPodcastチャンネル『Jalen & Jacob』に出演したクラウダーは、レブロンとの対戦を振り返り、以下のようにコメントしている。
「俺はチャレンジがしたいんだ。他に言い表す言葉がないな。つまり、チームが勝利するチャンスを生み出すために、最高の選手をガードしたいんだ。(相手の仕事を)タフにするだけでも十分いい仕事をしているような気がするね」
「このリーグにおいて、1人の選手を止めるのは簡単なことではないよ。でも、可能なかぎりタフにして、時には汚いこともする。俺はそれを至るところでできるんだ。でも、レブロンが偉大なプレーヤーであることは明白。彼が今、俺たちのリーグで最高の選手であることに疑いの余地はないよ。だから、俺は彼のプレーを難しくして、少しイライラさせたいとも思っていた。物事が上手く進むようにね。結果としてそれが実現できたんじゃないかな」
クラウダーはこのシリーズ、レブロンと執拗にバトルを繰り広げた。キングの卓越した技術により結果としてハイライトとなったものの、第3戦ではライン際でハードなディフェンスを仕掛け、続く第4戦でもレブロンの肩に掴みかかってダンクを阻止。ネクストラウンド進出を決めた第6戦では、試合終了間際にサルサダンスでレブロンを挑発し、退場処分を受けている。
ケガに直結する危険なプレーは容認できないが、勝利が正義とさせるスポーツにおいて、“汚れ役”が必要とされる場面は少なくない。クラウダーはエースたちの影でその嫌われ役を自ら買って出て、チームが勝利する確率を1パーセントでも高めようと尽力しているのだろう。
もしかすると、サンズのNBAファイナル進出の鍵は、クラウダーの狡猾さが握っているかもしれない。
文=Meiji
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