2021.12.06

リラードが自身の思う現役最高ディフェンダー3人やクラッチでの心構えを語る

ブレイザーズでプレーするリラードがファンの質問に答えた[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAは、“アメリカ版2ちゃんねる”こと『Reddit』と独占契約を結び、NBAプレーヤーとファンたちはスレッド内でオープンなコミュニケーションを楽しんでいる。簡潔に述べれば、それは公開インタビューのような形式で、参加者の質問に対して選手たちが返答。過去にはアンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)が参加し、手本にしている選手やキャリアベストのタフショット、使ってみたい超能力などに言及していた。

 このファンフレンドリーな企画に、デイミアン・リラードが登場。ポートランド・トレイルブレイザーズのエースに対しては彼の真面目な人柄を考慮してか、ストレートな質問がぶつけられ、リラードはその一問ずつにビデオ付きでリプライを送っている。

 以下では、その数あるQ&Aから一部の興味深いレスポンスを抜粋してご紹介する。

--NBAに“歓迎”された瞬間はいつ?

「ルーキーイヤーのプレシーズンゲームかな。フェニックスとの試合で、ゴラン・ドラギッチ(現トロント・ラプターズ)がサンズの先発ポイントガードを務めていた。もちろん、1人のNBAファンとしてドラギッチのプレーは何度も見ていたけれど、クリス・ポール(現フェニックス・サンズ)やデリック・ローズ(現ニューヨーク・ニックス)、デロン・ウィリアムスのようにはチェックしていなかった。

 もちろん、尊敬はしていたけど、あそこまでタフな対戦になるとは思っていなかったというのが正直なところだった。実際にプレーしてみると、ドラギッチがピック&ロールを駆使して3ポイントシュートを決めたり、リムアタックを仕掛けてきたりと、俺は悩まされた。最初の試合に出た時は人生で初めて、自分を見失ったような気分になったよ。すべてのスクリーンに当たっている気がしたし、タフショットを決められ、トランジションでも捕まえきれず、彼を止めておくことができなかった。オールスターでもエリートでもない相手との対戦でも、手に汗を握るものがあったね。

 内心そう思っていたから、精神的にも準備ができていなかったんだ。NBAでは毎晩、相手が誰であろうと、自分のことを発揮しなければならないという教訓を得たよ。理解するうえで、時間はかからなかった。だから、あれば俺にとってNBAに“歓迎”された瞬間だったかな」

リラードはドラギッチとの対戦時、「自分を見失ったような気分になった」と明かした[写真]=Getty Images


--オレゴンでお気に入りの場所は?

「俺は自然をこよなく愛しているタイプではないから、あまりいろいろな場所を訪れた経験はないんだ。ただ、確か『エンジェルズ・レスト』というところでハイキングをしたことがある。あまり経験のない俺が言うのもなんだけど、最高にクールだったよ」

--NBAの現役選手におけるペリメーターディフェンダーのトップ3は誰ですか?

ドリュー・ホリデー(ミルウォーキー・バックス)、ベン・シモンズ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、そしてルーゲンツ・ドート(オクラホマシティ・サンター)かな。俺にとってのトップ3は、この3人だ」

オールディフェンシブ1stチームへ2度選出された経験を持つシモンズ(右)をベストディフェンダーの一人に挙げた[写真]=Getty Images


--NBAでも最高のクラッチ選手の一人として知られていますが、そのような状況下で何を考えていますか? なぜ、そんなに落ち着いていられるのでしょう。緊張することはありますか?

「正直に言うと、俺が唯一考えていることは、大一番を思い返すんだ。そして、成功することとトップに立つことを想像している。『もし、失敗したらどうしよう』という気持ちで臨むことはない。

 そのような状況に備えているから、落ち着いていられるのだと思う。オフやシーズン中、練習後のナイトセッションでトレーナーと取り組んだこと。いつもハードでクレイジーなことをしているわけではないよ。ただ、シャープな反復練習をして、シャープな状態を保つように心がけている。生まれつきの自信家だったり、傲慢なのではなく、俺が費やした時間そのものを信じているんだ。

 緊張というよりも、研ぎ澄まされていると思う。2ポゼッションまたは1ポゼッションゲームでは、相手がどう守ってくるかわからない。ダブルチームされるか、シュートを打てるか。ターンオーバーやティップされる可能性だって理解している。だから、本当に極限まで研ぎ澄まされていて、緊張は違う表現なのかもしれないな」

クラッチタイムでは『失敗したらどうしようという気持ちでは臨まない』という[写真]=Getty Images


--もし18歳以下の自分に何かを伝えられるなら、どんな助言をしますか?

「人気者になることを考えるなと言いたい。信念を貫くことを恐れず、他人に流されないようにすること。自分が何者なのか、そして自分が何を感じているかを大切にしてほしい。

 俺が若い頃は、自分が何をすべきで、何をすべきではないか、善悪の判断、思いやり、人との接し方について、自分の考えを持っていたと思う。

 でも、クールなグループの一員であることや友人に溶け込みたいと言う気持ちとのバランスが大切だったね。俺が人生で成功した瞬間は、こうした原則や性格的特徴に基づいて行動していた時だった気がする。本当の自分を貫くと決めて、実際に自分を貫くことで、人生もキャリアも大きく動き出したんだ」

 一つひとつの質問に対して真っ直ぐ答えてくれたリラードのコメントからは、彼の誠実さがひしひしと伝わってくる。とりわけ、重要な局面での心構えとその準備、そして若者へのアドバイスは学生プレーヤーの大きな励み、そして糧となるに違いない。

 文=Meiji

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