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12月15日(現地時間14日、日付は以下同)にマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で行なわれたゴールデンステイト・ウォリアーズとニューヨーク・ニックスの一戦で、NBAに新たな歴史が刻まれた。
ウォリアーズのスーパースター、ステフィン・カリーが第1クォーター中盤までに2本の3ポイントを成功させて、レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか)が保持していたレギュラーシーズン歴代最多成功数の2973本を上回り、2974本でトップに立ったのである。
会場となったMSGには、アレンやレジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ/歴代3位の2560本)、父デル(元シャーロット・ホーネッツほか)や母ソーニャらが駆け付け、観客たちと共にカリーの偉業を祝福したことは言うまでもない。
「格別な瞬間だったのは確かだね。僕はとても感謝しているし、このことはこれからもずっと忘れないだろうね。レイの記録を抜いたんだから。それに彼とレジーという、僕が尊敬してきた人たちと会ってからゲームに臨めたんだ。間違いなく格別なことさ」。
試合後にそう語ったカリー。新記録を樹立後、ケボン・ルーニーのファウルの後にウォリアーズがタイムアウトをコールし、会場全体がカリーの歴史的瞬間を盛大な拍手で祝福し、チームメートたちやスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)をはじめとするコーチ陣たちとも抱き合った。
カリーの3ポイントを最もアシストしてきたのは、4位から順にクレイ・トンプソン(129本)、ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ/153本)、アンドレ・イグダーラ(168本)、そして1位はドレイモンド・グリーン(479本)と、グリーンが圧倒的な本数を記録している。
この試合でも最初の3ポイントはグリーンのスクリーンを使って抜け出したことで歴代最多タイとなるディープスリーを成功。だが意外にも、新記録となる2974本目の3ポイントを演出したのはアンドリュー・ウィギンズだった。
これにはグリーンも「ウィギンズがあんなパスをしたことなんてなかった。これまで一度もね。だから俺はイラっときたんだ。でもすばらしいパスだったよ。インサイドで引きつけてからアウトサイドへ出すことで、簡単に打てるからな」と笑いながら話していたことも印象的だった。
ニックス戦で5本の長距離砲を沈めたことで、その記録を2977本へと伸ばしたカリーは、キャリア平均の成功率でも43.1パーセントで歴代7位という高精度を誇っている。
「僕はレジーやレイといった選手たちがシャープシューターとなるべく基準を設けてくれたことをリスペクトしている。僕としても、自分の旅路においてレンジやボリューム、効率性を作ろうと努力してきたんだ。それらが全て実を結んだんだと思う。だから高い成功率を残していることがうれしいし、(自分の3ポイントで)勝利するのを助けてこれたことに誇りを持っている。そして今、僕はこれをずっとやってこれたことがうれしい。誰も手の届かないところまで数字を伸ばしていけたらいいね」。
アレンの記録を突破したことで、カリーはプレーオフ(470本)、NBAファイナル(121本)とレギュラーシーズンの通算成功数で歴代トップに浮上。そして今季は27試合を終えて平均13.4本を放って同5.4本を成功と、キャリアハイのペースで決め続けている。成功率でも39.9パーセントと、厳しいマークに遭っているなかでこれだけの数字をたたき出しているのは驚異的ですらある。
「僕へスクリーンをかけてくれたり、パスしてくれたり、このシステムを持ち込んでくれた人たち、ウォリアーズの美しいスタイルを作り出してくれた人たちに感謝している」とカリーらしい謙虚な言葉もあった。
だが最も印象的だったのは「この記録を作るまで、僕は自分のことを史上最高のシューターと呼ぶことはなかった。でも今ならそう言える」という言葉だろう。
この日カリーは、名実共にNBA史上最高のシューターという位置へと上りつめたのだから。