2022.04.15

まさに別格…カイリー・アービングは大一番で“断食”をしたまま試合に臨んでいた

アービングはプレーイントーナメント・キャバリアーズ戦で34得点を挙げた[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 ブルックリン・ネッツは、4月13日(現地時間12日)のプレーイントーナメントでクリーブランド・キャバリアーズを破り、プレーオフ本戦の出場権を獲得した。

 帰ってきたハンドリングモンスター、カイリー・アービングの活躍なくしてこの日の勝利はなかっただろう。ニューヨーク州のワクチン問題を解決し、本領発揮の舞台が整ったアービングは、勝利が絶対条件の一戦でも圧倒的なスキルセットでコートを制圧。34得点を挙げ、フィールドゴール成功率は驚異の80パーセントをマークした。

 勝利への貢献度もさることながら、さらに驚きを呼んだのはこの日の試合後のインタビューだった。なんと、アービングは断食したままこの大一番に臨んでいたのだという。

「ラマダーンをしているのは、僕一人ではないからね。僕と一緒に断食をしている兄弟・姉妹が世界中にいる。僕らの祈り、そして僕らのメディテーションはとても神聖なものなんだ。ラマダーンが明けたとき、僕、君、そしてみんなの中に神が宿るんだよ。僕は信仰心を持って毎日を過ごしていて、それがすべてさ。神様から与えられた才能を、このようなアリーナで披露できることをとても光栄に思っている」


 イスラム教徒の六信五行のひとつであるラマダーン。アービングは昨年イスラム教への改宗を公言しており、断食を実施していた。ヒジュラ暦の9月はイスラムの人々にとって神聖な月と位置付けられており、今年は一般的なグレゴリオ暦(太陽暦)の4月がそれにあたるため、アービングは1カ月にわたってラマダーンを続ける見込みだ。

 ネッツの双璧をなすケビン・デュラントは、宗教上の理由で日の出から日没まで自由な食事・飲食が制限されている中でのパートナーの活躍に舌を巻いている。

「別格だよ。あんなプレーができるんだろ? (ラマダーンをして)もう1週間とか、それぐらい経過しているよね? これこそ、彼が別次元の人間であることを証明している。彼がこのコンディションを維持することを願っている。とにかく、今日の彼は素晴らしいとしか言い表せない」

 プレーオフへ駒を進めたネッツは、4月18日(現地時間17日)からボストン・セルティックスとのファーストラウンドを迎える。そして、第7戦が5月1日(現地時間4月30日)に設定されていることから、セルティックスとの対戦は全試合ラマダーン期間中に実施される。

 しかし、キャバリアーズ戦のパフォーマンスを見ればネッツファンの心配は吹き飛んだに違いない。アービングがプレーオフで活躍する姿に期待したい。

 文=Meiji

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