2022.07.13

球団への忠誠心…現役フランチャイズプレーヤーで構成したオールスターチーム

グリーン(左)、トンプソン(中央)、カリー(右)は10年以上ウォリアーズでプレーしている[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAでは昼夜問わずケビン・デュラントの移籍先が取り沙汰されるなど、移籍市場が賑わっている。多くの非難を浴びたレブロン・ジェームズのマイアミ・ヒート行きが引き金となり、スター選手はより良い環境が待っているのであれば、複数回移籍することへの抵抗が薄れているのかもしれない。

 一方で、その反動からひとつの球団のためにキャリアを全うする忠誠心には賛辞が相次いでいる。スーパーマックス契約下にあったデイミアン・リラードは、その忠誠心をより明確にするべく、2年1億2200万ドル(約165億9200万円)の超大型契約を締結。その新契約が発表されてからまもなく、リラードはこうコメントした。

「ただ試合に出て得点を重ねるだけでは得られない栄誉だと思う。このリーグに欠けているのは、背中の名前(選手個人)ではなく、正面の背負った名前(球団)に傾ける個性や闘争心、情熱やプライドだ」

ウォリアーズの三銃士は10年以上ともにプレー

『Basketball Forever』は、そんなロイヤリティーに溢れた選手たちに敬意を評して、現役のフランチャイズプレーヤーでオールスターチームを構成した。


 ゴールデンステイト・ウォリアーズのシンボルであるステフィン・カリーは、契約下にある選手では現役選手最長となる13シーズンをひとつの球団に捧げている。さらに、多くのビッグスリーが数年間で解散を余儀なくされる中クレイ・トンプソンは11年、ドレイモンド・グリーンは10年とウォリアーズの三銃士は揃ってサンフランシスコ一筋を貫いてきた。

 そして、この3選手と肩を並べるのが、リーグ屈指のスコアリングガードであるリラードとブラッドリー・ビールだ。両者もグリーンと同様所属球団で10年の時を費やしており、ビールはルーキーイヤーから所属しているワシントン・ウィザーズと5年2億5100万ドル(約340億円)のマックス契約を締結した。

ビールは5年約340億円の契約を結び、ウィザーズに忠誠を示した[写真]=Getty Images


 また、同メディアのフランチャイズオールスターには選出されていないものの、ミルウォーキー・バックスを優勝に導いたヤニス・アデトクンボや、2年連続シーズンMVPに輝いたデンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチも彼らに続くフランチャイズプレーヤーになることが期待されている。

『Basketball Forever』の投稿には「これが本当の忠誠心だ」、「コービー(・ブライアント)、(ティム・)ダンカン、ダーク(・ノビツキー)も彼らを誇りに思うだろう」、「ファンには忠誠心が大切なんだ」、「彼ら皆、英雄として語り継がれる」など、全身全霊を捧げて球団のために責務を全うするフランチャイズスターたちを讃える声が後を絶たない。

 よりゲームが組織化された昨今のNBAにおいて、寄せ集めのスター軍団がリーグ制覇するのは困難になったと感じる。その反面、育成に重きを置いてきたウォリアーズは2015年から今日までの8年間で6度のNBAファイナルを経験し、4つのリングを獲得している。

 フロントと選手の双方が誠意を示し、優勝というひとつの目標に対して情熱を注げる球団には、いつの日か必ず努力と辛抱の対価として成功が舞い込んでくる。ビジネスという言葉が多用される今、リーグは改めてフランチャイズプレーヤーの価値と向き合ってみるべきなのかもしれない。

 文=Meiji

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