2022.10.10

グリーンがプールに殴りかかる映像、配信メディアは情報提供者に1000万円以上支払った可能性も?

ウォリアーズで起こった事件を巡って、映像流出の“協力金”について報道されている [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAはプレシーズンが開幕し、2022-23シーズンに向けてのボルテージが高まる中、王者ゴールデンステイト・ウォリアーズから流出したショッキングな映像は、リーグを震撼させた。

 ウォリアーズの練習内で、ドレイモンド・グリーンがジョーダン・プールに殴りかかった事件。スティーブ・カーヘッドコーチやステフィン・カリーはその事実を否定しているものの、メディアの報道によると、事の発端はプールがまもなく迫る大型の契約延長をチームに匂わせ、大柄な態度を取っていたことで、リーダーであるグリーンが過度な対処をしてしまったという。

 世界トップクラスの選手が集まり、一致団結して一つの目標を見据え、さらには巨額の契約金が動くリーグともなれば、時には衝突も避けられないだろう。現役時代にマイケル・ジョーダン氏(シカゴ・ブルズほか)と取っ組み合いになったこともあるカーHCは、会見でこの事件に言及した際に「32年間のキャリアで、20回以上のケンカを見てきた」とコメントした。

 しかし、問題なのは事件の映像が外部に漏れてしまったことだ。『Front Office Sports』は、今回のリークにはポケットマネーとは言い難い金額で取引されたと推測。発信源となったメディア『TMZ』は、ウォリアーズの内部映像を入手するための“協力金”として12万ドル(約1700万円)を支払った可能性を示唆している。

 一方、『Front Office Sports』は『TMZ』をよく知る人物にもコンタクトを取っており、この情報源いわく、12万ドルはとても現実的な数字ではなく、むしろ1万ドル(約150万円)以下で取引される場合もあるとしている。

『FOXコーポレーション』傘下の『TMZ』は、アメリカ屈指のエンターテインメントメディアとして膨大な読者を抱えており、この手の報道における競争相手はほぼ皆無に等しく、一人勝ちの状況にある。『TMZ』は特異なトピックを報じることから情報源にも恵まれているが、このようなビデオを売る人々は通常、『TMZ』のトップバナーに掲載されているメールアドレスまたはフリーダイヤルを経由してメディアとコンタクトを取り、そこから金額交渉を行うようだ。

ジャパンゲームズではチームを代表して、八村塁(右)とともに試合前の挨拶を担当したグリーン [写真]=Getty Images

 噂と『TMZ』に精通する者のリーク金額には乖離がある。しかし、同メディアは2014年9月、当時NFLのボルチモア・レイブンズに所属していたレイ・ライス氏がエレベーター内で妻に暴行した映像を購入するために、9万1000ドル(約1300万円)を支払った過去がある。この金額は、『TMZ』がスポーツ選手の映像に支払った最高額と噂されており、練習中の口論と比較すると、計り知れないほどのニュース性があった。そして、ライス氏は報道からまもなく出場停止処分を下されて以降、二度とNFLでプレーすることはなかった。

 このライス氏の映像を機に、NFLは調査手順と家庭内暴力対策の強化・見直しを実施。今回はNBA王者の事件ともあって、NBAもNFLの前例にならい、これらの情報流出リスクに対して今一度向き合うことになるだろう。

 ウォリアーズは、本件について内部調査に乗り出すと発表。もちろん、どのような背景があろうとも、暴力は決して許されるべきものではなく、グリーンも「未熟だった。自分の行為は誤ったものだ」と深い反省の弁を述べている。

 なお、グリーンはほとぼりが冷めるまで、しばらくチームから離脱すると発表。果たして、ウォリアーズはこの一件を円満に解決し、再びリーグの頂点を目指すことができるのだろうか。

文=Meiji

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